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魚住清彦氏が語る「社会情報学部」の魅力
タフな組織マネジャーを目指せ!
 高度に発達した情報化社会では、特定の分野に秀でたスペシャリストも必要ですが、彼らを束ねるジェネラリストに対するニーズも高くなっています。もともと現実の仕事に文系・理系の区別はなく、文系だからといって情報技術は知らない、理系だから人文社会系の知識に疎くてもかまわないということはありません。

 特に管理職レベルでは、双方に精通した人材でなければ、新しい企画やビジネスを発想・発展させることはできないでしょう。さらに、技術と企画を具体化していくための金融系知識も不可欠です。これからの先端企業には文系と理系の緊密なコミュニケーションが必要であり、青山学院大学の社会情報学部は、そのプラットフォームとなるべき人材育成を主眼としています。いわば現代社会が求める人材像を想定して、そのために必要な科目を集合して誕生した学部なのです。

 入学試験も、この学部を端的に象徴しています。文系の数学が出題されるA方式、数学なしでも受験できるB方式、そして理系の数学(数I〜IIIまで)が出題されるC方式の3つがあります。数学をあまり勉強しなかった文系から、数学も得意な文系、そして理系まで、幅広い学生が集まって切磋琢磨する極めて学際的な学部といえるでしょう。

 カリキュラムは、人文社会学と情報科学を2つの柱として、数理的素養、コミュニケーション能力、論理的思考、情報の高度な応用という4つの力をバランス良く養成できるものになっています。中でも数学は、理工系レベルの高度な学力は要求しませんが、苦手な人でも基礎から鍛えあげていくことができます。今や文系でも統計学や定量分析などで数学が必要となっており、社会調査やマーケティングなどにも欠かせない素養です。経済・経営分野だけでなく、心理・教育分野志望の人にも数学は役に立ちます。このことは、社会に出てから実感することになるでしょう。
 理系志望者についても、情報・数理分野で発展的なプログラムがあるので、自分の得意分野を伸ばしていくことができます。人文社会学と情報科学を折衷させた学部ではなく、この2つの柱の融合によって、知識と知性をどこまでも高めていくということなのです。

 学びの方向は3つ想定しており、まず組織内コミュニケーションについて、知の共有と伝達システム。次に国際社会における金融経済、環境福祉。中でも金融経済は日本にとって重要な分野となっています。そして数理や情報理論によるシステムの開発。  この3つの方向を、自分の将来を考えながら組み合わせていくというカリキュラムになっているのです。

実践的な英語力も徹底的に鍛える
魚住清彦氏

 1年次には青山学院大学独自の教養教育「青山スタンダード科目」を学びますが、文理を融合した基礎も身につけていただきます。社会情報入門、コミュニケーション基礎、基礎数学、情報科学入門、統計入門、コンピュータ実習が必修の基礎科目。それによって、文系理系どちらにも必要なリテラシーを鍛えます。
 また、社会情報演習として、1年次から少人数のゼミを経験するほか、自由科目として基礎数学入門も設定されているので、文系で数学が苦手という人も、それを履修することで追いつくことができます。

 こうした基礎科目では英語にも力を入れており、発音教授法を開発した村川久子教授とネイティブの教員が指導します。英語が読めても話せない日本人は珍しくありませんが、社会情報学部の英語教育はコミュニケーション能力の向上が目的なので、発音から徹底的に身につけるということです。専用ソフトで自習できるCALL(Computer Aided Language Laboratory)教室も用意していますので、どこまでも実力を伸ばしていくことができます。
 もちろんリスニング、ライティング、リーディングなどの基本能力も徹底的に鍛えます。また、希望者にはTOEIC やTOEFL などの英語検定対策も行う予定です。
 2年次には英語実践演習が選択必修となるほか、3年次にもイングリッシュプレゼンテーションが必修となっているので、外国人を前にしても、憶すことなく堂々と、論理的に英語で自分の考えなどを説明できる実力がつくはずです。グローバル社会ですから、これからのビジネスリーダーやマネジャーには英語力が不可欠。それを学部教育で身につけられるのですから、それだけでも価値があるといっても過言ではないでしょう。

3つの履修モデルを設定
魚住清彦氏

 社会情報学部の専門科目は、大きく分けて基盤科目、展開科目、自由科目の3つから構成されています。基盤科目では社会科学系と情報科学系の科目をラインナップしており、2年次には社会科学系でメディアコミュニケーション、心理学概論、経済学入門、社会統計演習、データ分析、プレゼンテーション技法などを履修できます。情報科学系では、確率統計、情報科学、プログラミング、システム分析、データベースの基礎など、また展開科目として数理解析基礎や現象の数理なども2年次に学ぶことができます。

 3年次からは展開科目と自由科目が主体となってきますが、社会科学系、情報科学系に加えて融合系の科目が登場します。認知心理学、組織心理学、ナレッジマネジメント、リスクマネジメント、ウェブコンテンツ作成実習など、社会科学と情報科学が重なる分野について学ぶことになるわけです。

 これらを自分の将来を見据えて選択していくことになりますが、人文社会学と情報科学という2つの柱から導き出された科目群だけに、選びきれないという学生もいると思います。そこで、3つの履修モデルを設定しました。
 まず、数理・情報に強い金融アナリスト。日本の繁栄を築いてきたのは製造業と輸出ですが、周知のように今では格安の労働力を持つ中国などが台頭しています。このため日本は、より高度で革新的な技術開発が必要になっていますが、その一方で、金融も大きな市場に膨張しています。イギリスのシティやアメリカ・ニューヨークの証券取引所がマネーマーケットに大きな影響を与えていることから分かるように、金融は先進国ならではのビジネスといえます。こうした金融は、まさに数理と情報が活躍する分野ですから、金融アナリストにふさわしい科目をまとめることができるわけです。1〜2年次には社会情報や基礎数学、統計、コンピュータ実習なども含まれています。経済学や経営情報、データ分析、プログラミングの基礎も学び、3〜4年次になると数理ファイナンス、金融論、国際ファイナンス、そして高度な投資手法であるデリバティブズなど本格的な科目が登場します。
 たとえば数学や統計学に強く、ITにも詳しい金融の専門家といったイメージです。企業と経済活動に金融知識は不可欠ですから、やはり現代社会が必要とする人材なのです。

 次に、タフな組織マネジャーを目指すモデル。タフとは、情報における文系・理系のスタッフを束ねて、一つの方向に彼らの能力をまとめ上げていくことを指します。文系だから情報科学は理系にお任せということではなく、企画から開発、運営まで、すべてのフェーズで指導力を発揮できる人材。まさに現代社会が求めているビジネスリーダーのことです。基礎数学、統計、コンピュータ実習から心理学、データ分析、プログラミングの基礎も科目に含まれています。3〜4年次にはプレゼンテーション技法やリーダーシップの理論と実践、経営戦略論から組織心理学、リスクマネジメントなども学びます。
 たとえばITのエンジニアと、彼らの言葉を使っても議論できる経営幹部といったイメージですね。

 3つ目として、組織に明るい情報システムスペシャリスト。これは情報科学系からの発展です。1〜2年次には経営情報、数理情報、プログラミング基礎、それにシステム分析・設計、コンピュータネットワークなどを学びます。3〜4年次には知的財産法、マルチメディアプログラミング、データベースシステム応用などに加えて、経営分析、コーポレートファイナンスも履修します。
 経営系の知識や理論もしっかりと身につけたシステムエンジニアというイメージです。外国語ではビジネスライティングも設定されているので、外資系あるいは国外でも活躍できる人材というわけです。

 これはあくまで履修モデルであり、これを発展させたり、別の科目を加えることもまったく自由。学科やコースではないので、この履修モデルをベースとして、自分なりのオリジナリティを加えていただきたいと思います。

卒業研究も実践的

 3〜4年のゼミからスタートする卒業研究も、文理融合の実践的な課題に取り組んでいただきたいと考えています。例えばバイオマス・エネルギーですが、とうもろこしの澱粉によるエタノールは、二酸化炭素の総排出量が変わらないということで高い注目を集めています。とうもろこしは光合成で空中の二酸化炭素を吸収するので、それを燃焼した排出量も全体として同じになる。つまり、二酸化炭素による地球の温暖化を抑制すると考えられています。
 ところが、それを促進すればするほど、今度は食料としてのとうもろこしが足りなくなる、あるいは価格が高騰するという問題が出てきました。このように環境問題は単純に科学だけで解決できるものではなく、経済活動まで視野に入れなければなりません。こうした文理融合の課題を、社会情報学部特有の取組みにしていきたいのです。もちろん金融や証券取引でも文系と理系双方の知識が不可欠な課題もあるので、この卒業研究が就職時の大きなアピール材料にもなってくると思います。

 いずれにしても、情報系で文系・理系双方の知識を持つ人材はまだまだ限られているので、就職先は情報・通信・システム分野はもちろん、商工サービス、金融保険、マスメディア関連から、公共、教育、研究関連まで幅広くなるはずです

大学院も同時にスタート
魚住清彦氏

 この社会情報学部に接続する大学院も2008年度から同時に発足します。社会情報学研究科社会情報学専攻という名称ですが、2つのコースがあり、キャンパスも異なります。
 まず、社会情報学コースは学部での学習をさらに高度化、深化した研究を行います。このためキャンパスは相模原となり、社会科学系と人間・社会・情報融合系、そして情報科学系という3つの視点から、課題を研究していきます。

 もう一つのヒューマンイノベーションコースは、社会人も前提としているので、都心の青山キャンパスに設置されます。組織の上に立つ人を想定しており、人と企業などの組織を変革できる人材の育成が主眼です。学習学(主体的に問題に取組み、その取組みを通して人とともに学ぶ能力)や構想学(問題の発見・解決につなげるための協調的な場や仕組みを作り出す能力)という独自の分野をベースに課程が構築されているほか、情報通信技術(ICT)を駆使した学習環境を設定する予定です。

 機械化、コンピュータなどによって、現代の仕事は人間しかできないことに集約されつつあります。そうなると、マネジャー・レベルの課題は、職場の人間の能力をいかに高めていくか、効率化できるかということになります。そして、そのためにはどんな組織がふさわしいのか。ヒューマンイノベーションコースは、この課題に対応した「組織学習アプローチ」による知的創造環境(仕組み)のデザイナーおよびプロデューサーの養成を目標としています。
 仕事には問題発見・分析・解決というプロセスが不可欠ですが、これはマネジャーだけの責務ではなく、組織内の全員が取り組むべきことです。ヒューマンイノベーションコースでは、「自ら思考し、自ら学ぶ組織づくり」を実現する改革を研究すると言いかえてもいいでしょう。いわゆる人材資源管理やマネジメントを超えて、人間の心理など内面に一歩踏み込んだ組織活性化手法を見いだせる研究科なのです。

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