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2010年2月号

革新的な自動化がもたらした、論理的な文章作成トレーニング

社会情報学部 稲積宏誠 教授

 学生による文章作成能力の向上が全国で求められるなか、青山学院大学の開発している、文章作成の自動化による革新的なトレーニング方法が脚光を浴びています。人員不足の打開、そして教育効果を促進させる、その画期的な取り組みについて、社会情報学部の稲積教授に伺いました。

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社会情報学部 稲積宏誠 教授

学生の文章力向上の切り札に

 大学教育の現場では、学生の基礎学力、とりわけ文章による表現能力の低下が、深刻な問題となりつつあります。残念ながら、短いレポートですらきちんと書けず、長い卒業論文ともなれば、内容以前の文章指導に手を焼くような学生が増えているのです。原因としては、少子化と表裏一体の就学率上昇、ゆとり教育の影響、社会全体の活字離れの傾向など、さまざまなものが考えられますが、根本的な問題は、初等・中等教育における国語教育の内容にもあるようです。

インタビュー時の稲積教授 大学教育、そして社会に出てからの実務の場で求められるのは、事実を客観的に伝え、それと区別して自分の意見を的確に述べるといった、論理性と説得力を備えた文章を書く能力です。ところが、現在の国語教育は、芸術性の高い文章の読解を通して、豊かな感受性・創造性を養うことに重点が置かれています。その分、正確でわかりやすい文章表現のためのトレーニングに、ほとんど時間が割かれていないのです。

 ここ数年、多くの大学はそれぞれの初年次教育プログラムの中に、「アカデミック・スキルズ」養成のための科目を設置し、文献調査・情報収集の技術などとともに、文章作成の指導を行うようになっています。また、文章表現のノウハウを教えるための教科書も、数多く出版されています。しかしそれらは、期待されるほど学生の文章力向上にはつながっていないというのが現状です。

 これは、実際に文章を書き、推敲する訓練を積み重ねることが、文章力を養う上で不可欠だからです。ところが現実には、必要となる個別の細かい添削指導を行なう教員スタッフの確保が難しく、また、訓練を効率化するための演習環境も圧倒的に不足しているのです。

 このような実態を知ったとき,コンピュータを使って、添削指導や演習問題作成の多くの部分を自動化、e-ラーニング化するシステムを作ることができれば、今述べた状況の大幅な改善が図れると考えました。その結果、まず,共同研究者の大野博之氏(前本学理工学部助手)と研究開発を開始し,引き続き青山学院大の取組としての、以下に紹介する「学士力としての論理的な文章作成能力育成」プロジェクトを立ち上げました。

 なお、本プロジェクトは、文部科学省の「質の高い大学教育推進プログラム」に採択され、来年度までの3年間の補助事業として実施しています。