心臓の病気でいちばん怖いのは、心筋梗塞です。我々の病院では、心臓の血管を風船で広げるカテーテル治療を4万6000人に行ってきました。心筋梗塞の患者さんも毎年300人ほど診ています。その経験から、心筋梗塞にならないための「とっておきの
秘訣」をお話しします。
心臓に栄養分を送る冠動脈の詰まり方には、2通りあります(図表4)。1つは、血液中を流れるコレステロールが、血管の壁に雪のように積もり、詰まりそうになるタイプ。この場合、階段や坂道を上ると胸が痛くなります。これが「狭心症」です。この段階なら、血管を風船で広げ、ステントを入れて、治すことができます。詰まる前に広げれば、心筋梗塞にはなりません。
もう1つは、血栓によって血管が完全に詰まり、心臓の筋肉が死んでしまい、心臓が動かなくなってしまうタイ プ。これは「心筋梗塞」です。この場合は前兆がありません。心筋梗塞の約7割がこのタイプで、治療を受けられずに亡くなる可能性も大きい。
心筋梗塞の予防は、生活習慣の改善です。禁煙、食事、運動を見直して、善玉と悪玉のバランスをよくすることが大切です。コレステロールの塊を小さくしておけば、心筋梗塞にはなりません。まず悪玉コレステロールをしっかり下げます。
ただ、それだけでは不十分です。我々の病院で2006年からの1年間に心筋梗塞で入院した371人のうち、悪玉(LDLコレステロール)が100mg/dL未満でも38%が心筋梗塞を起こしていました。これには我々も驚きました。このうち8割の人が、LH比が1・5以上でした。つまり、善玉が少なかったのです。
悪玉を下げるだけで、安心しないでください。善玉も増やして、バランスをよくすることによって、心筋梗塞になりにくくなる。これが最近わかってきたことです。
LH比が2を超えると血管内のコレステロールの塊は大きくなり、1・5を切ると小さくなると言われています。病気のない方はLH比を2以下に、病気のある方は1・5以下にすれば、心筋梗塞になりにくいと思います。
タバコは善玉を減らしますから、絶対にやめてください。運動は善玉を増やします。薬剤でバランスをよくすることもできます。
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LH比(LDLコレステロール÷HDLコレステロール)が高くなるにつれて、動脈硬化はどんどん進行します。
血管の中がLH比によってどのように変化するか。内視鏡で撮影すると、LH比が1以下だと、血管の内膜はツルツルで赤ちゃんの肌のようです。1・5を上回ると、血管の壁にコレステロールの輪ができ始めます。2を超えると、コレステロールの塊が血管全体にこびりついてきます。2・5を超えると、コレステロールの塊がいつ破裂するかわからない状態になります。
LH比がよくコントロールされていれば、血管内はいつまでもきれいです。ぜひとも、注意していただきたいと思います。
日本大学医学部附属板橋病院 心臓血管外科 
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