エネルギーの未来

岸博幸さん 大学院教授
1986年、通商産業省(現・経済産業省)に入省し、エネルギー政策などを担当。経済財政政策担当大臣補佐官などを歴任。現在、慶應義塾大学大学院教授。
乙葉さん 女優・タレント
1999年にデビュー後、女優・タレントとして、映画、ドラマ、バラエティーなどでマルチに活躍。2017年10月よりTBS系ドラマ『監獄のお姫さま』にも出演中。

私たちのくらしや未来にエネルギーはどんな関係があるのか、岸先生の授業で、乙葉さんと一緒に学んでいきましょう。

自然のエネルギーを利用してはどうですか?

岸:
乙葉さん、お子さんは今おいくつですか?
乙葉:
もうすぐ10歳になります。
岸:
お子さんのいる主婦という視点で、エネルギーや電力について何か気になることはありますか?
乙葉:
もちろん電気代も気になりますが、子どもが大きくなってからの将来のことも気になります。だからといって詳しくわかっているわけではなくて。
岸:
そうですよね。例えば今の日本は、くらしや経済活動に必要なエネルギーを国内でどれくらいまかなえているかご存知ですか?
乙葉:
かなり少ない気がします。
岸:
答えは7%。つまり、日本はエネルギーの9割以上を海外からの輸入に頼っているのです。これは、他の先進国と比べてもきわめて低い状況です。【図1】
乙葉:
これから先、もし輸入できなくなってしまったら、と考えると、すごく不安になりますね。
岸:
では、この「エネルギー自給率」を上げるためにはどうしたらいいと思いますか?
乙葉:
環境のことを考えたら、太陽光など自然の力を利用することがいいのかな、と思いますが…。
岸:
確かに、太陽光や風力は自給率の向上には役立ちます。でも実は、いくつか課題もあるんです。その一つが、安定して発電することができるかどうか。例えば太陽光の場合、夜間は発電できませんよね。

乙葉:
雨の日もあるので、発電できるのは思ったより短い時間なのかも。
岸:
そうですね。発電量が変動する太陽光や風力に頼り切るのは、現実的には難しい。
もう一つ、太陽光や風力はコストが高い、という問題もあります。そのため、国は、こうした再生可能エネルギー(再エネ)の普及を国民全体で支える仕組みを導入していて、乙葉さんのご家庭でも、毎月の電気料金とあわせて「賦課金」を支払っているんですよ。その金額は、標準的なご家庭で年間8千円を超えています。
乙葉:
それほど負担しているとは知りませんでした。

将来のエネルギーについて考えるべきことは何ですか?

岸:
電力は社会に欠くことのできないものです。そのため、特定の発電方法に頼るのではなく、なるべく多様化してリスクを分散しておく必要があります。これを「エネルギーミックス」といいます。
乙葉:
ちなみに、今の日本はどんな状況なのですか?
岸:
現在、天然ガスや石炭などによる火力発電が全体の約8割を占めています。かたよってますよね。国は2030年度の組み合わせをどうすればよいか、目標とする数値を出しています。【図2】
乙葉:
再エネも増やすし、原子力も増やして、バランスをとっていくということですね。でも、原子力の安全性は大丈夫ですか?
岸:
原子力については、世界で最も厳しいといわれる新しい基準のもとで、安全性が確認された発電所のみが動いているということをまず知っていただきたいと思います。
また、震災後に原子力発電所が停止したため、震災前に約6割だった火力発電への依存度が約8割になった。その結果、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が増えている、という事実もあります。
乙葉:
そうしたことも知りませんでした。正しい情報や知識がないと、判断もできないですし、自分が今後どうしていくべきかを考える上で、まずは知ることが大事だと改めて感じました。
岸:
資源に乏しい日本では、さまざまな発電方法をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」が、子どもたちの将来のためにも大変重要です。ぜひ覚えておいていただければと思います。
授業を終えて

子どものため、未来のため、現実を知ることから始めたい。

 エネルギーについては、正直、あまり関心を持っていませんでした。でも、岸先生から、原子力・火力・再エネをバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」の必要性について教えていただき、子どもたちの将来にもつながる大切な話だと感じました。自分で判断していくためには正しい知識が必要で、まずは現実をしっかりと知ることから始めていきたいと思います。これからも、家族でエネルギーについて考えていきたいです。

「エネルギーミックス」についてさらに詳しく知りたい方は

なるほど!日本のエネルギー ~エネルギーミックスを考える~

協力 電気事業連合会

広告企画・制作 読売新聞社広告局

ページトップへ