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※掲載の肩書は取材当時のものです。

【世界の今】 明らかになった新たな対立軸――フランス大統領選から

ガルシア・クレマンス (学習院大学国際社会科学部准教授)

エマニュエル・マクロン、新しいフランス大統領

 新しい政治団体「アン・マルシュ(En Marche!)」を設立してから一年間しかたっていないにも関わらず、エマニュエル・マクロンはフランス大統領選挙で勝利した。39歳、歴史上一番若い大統領となった。伝統的な政党の支援を受けず、「国民戦線(Front National)」の候補者マリーヌ・ル・ペンと戦い、全投票の66%を取得した。

新しい大統領

 フランソワ・オランド前大統領の経済大臣であったエマニュエル・マクロンは、フランス第五共和制において、例外的な人物である。最近まで社会党に所属していたものの、大統領選挙のために離脱し、政党と独立した選挙運動を展開し勝利した。こういった動きは、フランス人の政治団体に対する支持が以前ほど強くなくなってきていることを反映している。第1回投票において、社会党の候補者のブノワ・アモンが獲得したのは全投票の6%に過ぎなかった。有力候補だった共和党のフランソワ・フィヨンも、20%しか獲得できなかった。その結果、民族主義的なマリーヌ・ル・ペンと、無所属のエマニュエル・マクロンが第2回投票に残ることとなった。

 今回このような事態となったわけだが、フランス大統領選挙において政界のスキャンダルが混乱をもたらすことは、実は珍しくない。5年前の有力候補者のドミニク・ストロス・カーンと同様に、フランソワ・フィヨンが大統領選挙運動の途中で訴えられたことは、今回の選挙における共和党が敗北した理由の一つに間違いない。また、社会党のブノワ・アモンの低い得票率は、社会党全体の評判の悪さを反映しているように思われる。これらの動きの結果、主役になったことがなかった「モデム(※)」がエマニュエル・マクロンを支持することによって選挙に決定的な影響を与えたのである。

明らかになった新たな対立軸

 エマニュエル・マクロンに対して、民族主義的政党の「国民戦線」は34%の支持しか得られなかった。これはEU離脱派にとっては、大きな失望をもたらすスコアであったが、社会党のブノワ・アモンから共和党のフランソワ・フィヨンまで、全ての選挙候補者が第2回選挙でエマニュエル・マクロンへ投票をするように支持者に訴えかけたにも関わらず、15年前のジャン・マリー・ル・ペンのスコアより高いという結果になった。

 つまり、今回のフランスの政局によって、今までの社会党・共和党の対立軸が消失し、新しい「グローバル化主義」対「国家主義」 の対立軸が生まれたことが明確になったのである。

※モデム(Mouvement Démocrate, MoDem):フランスの中道派、欧州派の政党

[2017.5.29]
プロフィール

ガルシア・クレマンス (学習院大学国際社会科学部准教授)

ガルシア・クレマンス (学習院大学国際社会科学部准教授)
2002年、フランス・パリ第1パンテオンソルボンヌ大学経済学部卒業。03年、フランス・パリドフィーヌ大学大学院修士課程修了(会計学修士号取得)。同年、同大学助手。04年、フランス外務省奨学生として京都大学大学院にて留学。06年、明治学院大学経済学部専任講師。10年、パリドフィーヌ大学大学院博士課程修了(経営科学博士号取得)。15年4月より現職。専門領域:多国籍企業の会計、M&Aの会計。

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