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※掲載の肩書は取材当時のものです。

【世界の今】 持続可能な開発の実現に向けて SDGs解説

山﨑 泉(学習院大学 国際社会科学部 准教授)

 2017年12月21日、滋賀銀行が「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:以下SDGs)」を推進し、社会課題の解決に取り組む企業を対象に金利優遇などを行うと発表した。地方銀行で「SDGs宣言」を表明するのは初めてとのことだ(『京都新聞』2017年12月22日)。新年に目標を立てる方も多いと思うが、国内外で今後さらに注目されるであろうSDGsの概要と日本での取り組みについて解説したいと思う。

SDGsとは

 SDGsとは、2015年9月25日に「国連持続可能な開発サミット」において採択された国連加盟国が取り組むべき目標である。その内容は「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(Transforming our World: The 2030 Agenda for Sustainable Development)」に明記されている。

 SDGs以前は、2000年に国連で採択されたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:以後MDGs)というものがあった。MDGsは貧困削減のために開発途上国(とそれらの国々を支援する先進国や援助機関)が取り組むべき8つの目標と21のターゲット(小目標) を掲げており、これらの目標の達成期限が2015年であった。そのため、2015年にMDGsの達成状況を振り返り、今後の新たな目標を設定するために「国連持続可能な開発サミット」が開催されたのである。

 SDGsは17の目標と169の小目標で成り立っており、2030年までの15年間で取り組む。貧困や飢餓をなくすなどMDGsから引き継いだ目標に加え、技術革新、気候変動、平和などより多くの地球規模の課題の解決を目標に掲げている。またSDGsでは、その名の通り「sustainable(持続可能な)」、さらに「no one left behind(誰も取り残さない)」、「inclusive(包括的な)」、「resilient(強靭な)」が重要なキーワードとなっている。

 MDGsは開発途上国の開発における目標であったが、SDGsは開発途上国に限らず先進国にも取り組みを求めるものである。なぜなら環境、経済など開発途上国だけでは解決できないグローバルな問題が喫緊の課題となっているからである。また、貧困削減などこれまでは開発途上国の主な課題と考えられてきたような目標の多くは先進国の中にもある。

日本の現状

 SDGsに関する国内の動向であるが、日本でも内閣総理大臣を本部長として全閣僚がメンバーとなる「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の設置」が2016年5月20日に閣議決定され、日本が取り組むべき8つの優先課題と具体的施策に言及した「SDGs実施指針」を採択した。先月12月6日には第4回会合である持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議が開催されている。「ニッポン一億総活躍プラン」に基づいたSDGs達成のための具体的施策では「貧困」「教育」「ジェンダー」「経済成長と雇用」「格差」「持続可能な生産と消費」などが挙げられている。

 ドイツのベルテルスマン財団が出版したSDGsインデックス&ダッシュボードの2017年のレポートによると、日本のSDGsの達成度はデータ分析ができた157カ国のうち11位であった。質の高い教育、やりがいある仕事と経済成長、産業/技術革新/インフラの3つの目標を達成しているとの評価がなされている。10位以内は北欧諸国を中心にヨーロッパの国が占める。日本は、10位以内には入らなかったものの第一の経済大国のアメリカがどの目標も未達成で42位、第二の経済大国中国も貧困削減の目標以外は未達成で71位という評価であることを考えると、第三の経済大国としてまずまずの成績であるといえる。一方で、日本はジェンダーの平等、責任ある消費と生産、気候変動への取り組み、陸上生態系の保護、目標のためのパートナーシップの5つの目標において達成からは程遠いという評価がなされている。

 日本でもSDGsを取り入れる企業が増えてきており、先進事例としてよく紹介される企業の一つである味の素グループでは、ガーナ・マラウイにおける栄養改善プロジェクトに取り組んだり、社内で女性活躍を推進したりするなど、社内外の様々な分野で積極的にSDGsに基づいた活動をしている。(「味の素グループ サステナビリティデータブック2016」より)このような日本企業のSDGsへの取り組みは今後さらに社会から求められると予測される。

[2018.1.9]
プロフィール

山﨑 泉 (学習院大学 国際社会科学部)

山﨑 泉(学習院大学 国際社会科学部 准教授)
2002年京都教育大学教育学部英文学科卒業(教養学士)。世界銀行中東北アフリカ地域総局人間開発局教育部コンサルタントを経て、2005年神戸大学国際協力研究科修士課程修了(国際学修士)。2012年コロンビア大学ティーチャーズカレッジ教育経済学プログラム博士課程修了。2015年国際協力機構JICA研究所研究員。2016年より現職。
専門領域は、アフリカ地域研究、教育経済学、開発経済学、ミクロ実証分析。

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