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※掲載の肩書は取材当時のものです。

【G-Days】 学習院大学に入学して、私の人生を変えた出来事

冨田 侑希(学習院大学経済学部経営学科卒業、株式会社dot代表)

 こんにちは!

 2018年3月、学習院大学経済学部を卒業した冨田侑希です。

 私には、マーカーでよれよれになった愛読書があります。ハーバード大学で最も学生の人気を集めた「伝説の授業」を書籍化したベストセラー『ハーバードの人生を変える授業』(大和書房)。人生を変えるような学びを仲間と体験し、行動に反映させることが重要と書かれていました。

 ハーバード大学と言えば、選りすぐりのエリートが、年間700万円を超える学費を支払って集まる最高の評価を得る大学。世界でもごく一握りの人たちが通える、いわば学びの理想郷です。

 いま、私がお伝えしたいことは、「誰でもフリーで参加できる学びの理想郷が、学習院にはある」ということ。これから私の不思議な実体験をお話させていただきます。

人生を変える授業との出会い

 大学3年生の時にたまたま受けた講義『起業論』がきっかけで、私の人生は大きく変わりました。それは、現役起業家で、2016年に新しく経済学部経営学科に特別客員教授として就任した斉藤徹さんの授業です。

 「経営の本質は、人を幸せにすることだと僕は思う」

 「僕の夢は、人を幸せにする起業家を育て、一緒に優しい世界をつくることなんだ」

 「机上で学ぶだけでなく、実際にアイデアをカタチにしよう」

 衝撃的でした。

 こんなに楽しそうに学生たちに語りかける先生は初めてだったし、自分の夢を情熱的に話す大人に出会ったこともありませんでした。夢を持って、堂々と伝えられるってすごいな、と純粋に思いました。

 当時、私は起業については考えたこともなかったけれど「人を幸せにするアイデアを、学生でもカタチにできるかもしれない」ということにすごくワクワクしたことを、今でも鮮明に覚えています。

イノベーションチームdot(ドット)誕生

 授業では、身近な悩みや課題を発見し、解決策を考えます。学生は取り組むうちに本気になり、授業だけでは物足りず「ビジネスコンテストに挑戦したい」「自分たちのアイデアをほんとうにカタチにしたい」と思いはじめました。そこで生まれた自主ゼミが「イノベーションチームdot」です。単位も出ないのに自発的に集まる、不思議なコミュニティが誕生したのです。起点となった斉藤さんもメンバーの一員のようにフル参加。多くの時間を割いて支援してくれました。

 翌年2月には、日本最大級の学生ビジネスコンテストJBMCに参戦。私も学生視点の就活イノベーションを掲げて参加しました。でも結果は準決勝敗退でした。走馬灯のように不甲斐なさが溢れ出てきました。結論のでない会議を何度も繰り返してしまったこと。自分だけでは何もできないのに一人で抱え込んでしまったこと。共感してくれていたメンバーの顔から笑顔がなくなっていったこと。悔しくて涙が止まりませんでした。これほど一つのことに熱中できたのは、生まれて初めてのことでした。

株式会社dot/イノベーションチームdot支援メンバー

 そして数日後、私の中には何か新しい感情が湧き出てきました。やっぱり、このアイデアをカタチにしたい。そのためにもっとじっくり学びたい。就活中で内定もいただいていましたが、斉藤さんに親身になって相談にのってもらい、同じくdotでの活動継続を望む井手崇偉くん(当時学習院経済学部経済学科4年生、株式会社dot副代表)とともに株式会社dotを創業することを決意しました。イノベーションチームdotの活動をフルタイムでサポートする学生ベンチャーが立ち上がり、私は期せずして就学中に会社代表となりました。この時、私の中で人生の方向が変わったのです。

 それから1年あまり。今やdotは70名を超え、他大学(慶應義塾大学、早稲田大学、青山学院大学、東京理科大学など)からも参加する学生団体になりました。dotの主要活動は3つあります。

① マイプロジェクト

 「デザイン思考」や「リーンスタートアップ」などの最新手法を学び、アイデアをカタチにする活動です。ちなみに私がJBMC後も育ててきた就活プロジェクトは「Z-1チャレンジ」という名で世に出すことができました。

 (参考記事)「売り手市場ってどこだ!100社エントリー、半数は就活苦戦——“学生視点”サービス起業も」

② ラーニングルーム

 アイデアをカタチにするための技術を学生同士が学びあう教室で、科目はAI、プレゼン、デザイン、SNSと動画。私の担当はプレゼンルーム。どんな内容にすればプレゼンが楽しくなるか、参加メンバーと相談しながら考えます。

③ Z世代会議

 私たちZ世代(1990年以降生まれの世代)のニーズやインサイトを発見したいという企業とのコラボの場です。朝日新聞社、講談社、パナソニック社、マンダム社など著名企業と協業し、私たちの声を社会に届けています。リアルな事業課題を考える機会はとても貴重で刺激的です。

Z世代会議@パナソニック社

 素敵な仲間が共感でつながった、実践的な学びの場。ありのままの自分でいられる、居心地の良い場所。一年前からは想像できないほどワクワクするチームにdotは成長していました。

dotメンバー、生の声

 dotのメンバーは私も含めていたって普通の大学生だけど、個性はとっても豊かです。絵を描く人、本を読みまくっている人、みんなを引っ張る人、場を和ませる人、マジシャンの人など。そんなメンバーの生の声をリレーでつなぎます。dotのカルチャーを体感してください。

 “部活をやめて、今いるゼミにもいる意味が見出せない。自己肯定感も低く、いつもの友達とグダグダ過ごして一日が終わっていました。ですがdotに入ってからは生活が一変。学生たちはやる気に満ちていますが、無理に何かを押し付けたり、押し付けられたりすることもありません。みんな楽しく生きることに全力を注いでいます。”(学習院3年 ゆかちん)

 “dotのお陰で人生が明らかに好転している気がします。だからこの場所をもっと素敵にして、自分みたいに、「来てよかった!」って思ってくれる人が一人でも増えてくれるように、精一杯自分のやれることを頑張りたいと思うんです。”(学習院2年 あさにゃんこ)

 “私たちの中に共通してある「ペイフォワード」という考え方。世界中を幸せにするために必要なのは「恩返し」ではなく「恩送り」であるということ。損得感情だけでない付き合い方です。その気持ちを持った学生が集まったdot では全員が当たり前に優しくなり、自分で考え、行動をしています。”(学習院4年 みなみちゃん)

イノベーションチームdot/写真中央に斉藤徹特別客員教授

 “私にとってdotは、夢や幸せについて考える事ができる学習院唯一、最高の集団であると思っています。この一年間で活動してきことは一生の財産になると確信していますし、学生時代で最も有意義な生活を送れる場所だと思います。”(学習院4年 こーだい)

 dotメンバーみんながとてもポジティブで自己肯定感も次第に高まってゆくのは、イノベーション手法だけでなく、最新のソーシャルキャピタル・チームワーク理論やボジティブ心理学を学び、実践の中で体得していることが大きな要因だと思います。

 「期待実感、貢献実感、成長実感、帰属実感。愛されるチームになるためには、メンバーが4つの実感を感じることがとても大切だよ」

 これは斉藤さんが私たちに教えてくれたこと。dotみんなが大切にしている価値観です。

優しい未来を目指して

 私は高校1年の時に父を亡くしました。大学で学ぶことができたのは、母が働いてくれているおかげです。でも、学びたくても機会に恵まれない人々もいます。そういった人たちにもこの素敵な学びの場を広げていくことができたら、世界がもっと優しい場所になるんじゃないかと思います。

 dotは、愛あるイノベーションを体験し、発信する場所。もし目の前に、こんな場を求めている人がいたら、いつでも仲間として迎え入れたい。みんなで、人をハッピーにするアイデアを世に出していきたい。そして、その喜びをシェアしたい。私自身の考えが、dotに参加してから自然と変わっていきました。

 このdotというチーム名の由来はDraw out our talent(才能を引き出す)、このネーミングに込められた思いがあります。

 私たち一人ひとりは素晴らしい才能がある。もし私はそんな事ないと思うなら、それはまだ引き出されていないだけ。仲間と信頼しあい、お互いの才能に気づいて、高めあって。その才能は目覚めていきます。

 dotは、点。私たちは、自分が小さな点である事を自覚した上で、集まり、つながる事によって、点描画のように新しい世界を描け(draw)ます。何事も一人きりでは成し遂げられない。私たち点は、それぞれの色(才能)を持って、世界を描いていきたい。

 そんな仲間と出会い、みんながハッピーになれるところ、それが dot の目指す先です。

 一人ひとりは点だけど、つながって優しい未来を描く線になる。経験、喜び、受けた恩が隣人に伝わり、みんなにとってかけがえのない居場所になってゆくこと。

 これが、学習院大学に入学して、私がようやく見つけた夢です。

[2018.5.29]
プロフィール

磯崎 典世(学習院女子大学教授)

冨田 侑希(学習院大学経済学部経営学科卒業、株式会社dot代表)
1996年生まれ。千葉県出身。2018年学習院大学経済学部経営学科卒業。在学中にイノベーションチームdot学生リーダーを務め、大学4年在学時に株式会社dotを設立、代表に就任。株式会社メンバーズ主催CSVコンテスト最優秀賞受賞。公益財団法人丸和育志会ソーシャルビジネス支援事業優秀プロジェクト賞受賞。「学生発、人を幸せにするイノベーションを世界に」を掲げ、株式会社dot代表として現在も活動を続けている。

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