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※掲載の肩書は取材当時のものです。

中・高等科 国際化への取り組み

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多様性を尊重し、生徒の自主性を育む教育を目指す学習院中等科・高等科では、時代の流れである国際化と真摯に向き合いながら、独自のグローバル教育を推進している。高等科の国際交流主任を務める米山周作教諭が、学習院ならではの国際化への取り組みについて語った。そのインタビューの模様をお届けする。

世界の多様性に触れる機会を提供

——幼少時代から海外生活が長かったそうですが、そうした生い立ちがご自身に与えた影響についてどう思われますか。教員の道に進まれた経緯についてもお聞かせください。

米山 周作(学習院高等科 教諭/高等科国際交流主任)

 私は父の仕事の都合で小学校1年までをアメリカで過ごし、その後、高校に入学するまで日本、スイス、アメリカの各学校で教育を受けました。今でこそ帰国子女はそう珍しくありませんが、特に当時の日本では受け入れ体制が整っておらず、勉強や人間関係で苦労をした覚えがあります。

 一方、小6から中2の夏までを過ごしたスイスのインターナショナルスクールでは、様々な人種や国籍や母語の子ども達が、英語という言語を介して共に学び合う経験をしました。多様性は自然なことであって、多様性に対する寛容さを「身に着けた」という意識はありません。子どもだったからこそ、当然のこととして受け入れたのでしょう。また、スイスで出会ったイギリス人の恩師は非常に人間味にあふれた先生で、勉強はもちろん、スポーツやボランティア活動など様々な場面で多くの学びの機会を与えてくれました。その後、私は日本の高校に通うことになり、将来の目標を英語教師に定めることになるのですが、それはこのスイス時代の恩師に憧れの気持ちを抱いたことが一番の理由です。

 大学卒業後、公立校での教師生活や海外留学を経て、学習院の高等科で教鞭を執るようになって11年が経ちますが、今年度より新設された中・高等科の国際化を推進する「国際交流主任」としての業務は、海外生活で得た自身の経験を若い世代に還元できる絶好の機会だと思っています。

グローバル化を見据えた多彩なカリキュラム

——学習院中等科・高等科における、国際化を見据えた具体的なカリキュラムについてお聞かせください。

 まず中1から高3までの英語教育が挙げられます。中等科1年生からネイティブスピーカーによる英会話授業を行うほか、高等科2年生では週に最大7時間の英語の授業を必修科目として組み込んでおり、その上で高等科の選択授業を利用すれば最大で週11時間の英語の授業が受けられます。一部科目では1クラスを2つに分ける「分割授業」による少人数教育を取り入れ、一人ひとりに対するきめ細かな指導を行っています。また高2・高3では、フランス語、ドイツ語、中国語も選択科目として揃えていますので、「英語+もう1言語」という生徒のニーズにも対応しています。

 さらに生徒達がより早い段階から国際交流の機会を得られるように、多彩な留学プログラム、海外研修、校内ワークショップの場を中・高等科を通して設けています。

 中等科2年生の春休みには、希望者を対象に10日間のニュージーランド研修を行っています。毎年約25名の生徒がニュージーランドの名門、キングス・カレッジとセント・ピーターズ校の2校に分かれて、語学研修とホームステイを経験します。

 また、2000年にスタートしたアメリカ東部メリーランド州の伝統校・セントポール校との交換留学協定に基づき、セントポール校へは毎年2名の高等科生を1年間派遣しており、最大7名のセントポール生を短期(3週間)と中期(3か月)で受け入れています。学校同士も着実に結びつきを強めており、互いの教員を交換して授業を行う「教員交換プログラム」が2014年度より始動しています。高等科の教員がセントポール校で専門科目の他日本語や日本文化を紹介する一方で、セントポール校の教員には中・高等科の授業に参加してもらい、放課後には中・高等科生を対象にオール・イングリッシュのワークショップを行ってもらっています。昨年はセントポール校のドイツ語教員が「日・米・独の政治比較」と題したワークショップを行い、中1~高3まで約40名の生徒が3日間のワークショップに参加しました。

 さらに学習院では国際化推進事業の一環として毎年、ハワイの名門私立高校・プナホウ・スクールのサマープログラムに高等科および女子高等科の生徒をそれぞれ3名派遣しています。ヨーロッパ、アメリカ、アジア約10か国の高校生約80名が参加するこの国際会議は、毎年研究テーマとして課される地球規模の問題について参加者同士で議論・発表を行い、国際的に活躍できるリーダーとしての素養を身につけると同時に、国を超えた高校生同士のネットワークを築くことが目的です。リサーチもディスカッションもプレゼンテーションも全て英語で行われますので、当然、参加する生徒には分析力、発表力、語学力そしてコミュニケーション能力が必要となり、事前に入念な準備を重ねた上で本番に臨むこととなります。生徒たちにとっては大きなチャレンジであると同時に、世界の多様性に触れるチャンスにもなっているのです。

 毎年4月にはAFS留学生を、9月にはロータリー留学生をそれぞれ1名1年間受け入れており、授業・部活動を通して中・高等科生と接する機会を設けています。留学生の帰国後もフェイスブックやスカイプを通して連絡を取り合っているようです。

 元々、学習院には多様性を受け入れ、広く世界に目を向けてきた歴史がありますが、近年は保護者や生徒の側からも国際化を見据えた教育を欲する声が大いに高まっており、今年4月に行われた2016年度の留学希望者を対象とする留学説明会には、2日間で約160名が参加しました。昨年度は28名の高等科生が1年間海外に派遣されており、その派遣国は米国、カナダ、メキシコ、ドイツ、フランス、デンマーク、チェコ、ニュージーランド、アルゼンチンと9か国に及びます。帰国した留学生の経験は中・高等科にとっての財産であり、より広く中・高等科生に還元できるような体制作りを今後も考えていきたいと思っています。

 8年前には、高等科生有志による「国際交流委員会」が学内に発足しました。留学予定者、経験者、関心のある生徒が意見交換・情報交換を行う場ができた他、文化祭では留学経験者による発表展示を主宰するなどの活動を行っており、生徒たちが自主的に学内の国際交流を盛り上げようとする動きが年々高まっています。教員の側から投げかけるのではなく、このように自然な形でグローバル化への関心が高まっているのは、生徒たちが時代の流れを敏感に感じている表れと言えるでしょう。また、留学や国際交流に特別関心があったわけでもない生徒が、クラスメートや部活仲間が何人も普通に1年間留学し、クラスに戻ってくるので、「海外で学ぶということが非常に身近に感じられる」とよく言うのも、高等科の特徴なのかも知れません。

 近年はホストファミリーとしてセントポール生の受け入れをご希望される家庭も非常に増えています。ほんの数年前まではホストファミリー探しに非常に苦慮したものですが、家庭内の異文化体験としてあえてご希望されるご家庭が増えているということにも、時代の変化を感じさせられます。特に自分の息子を留学へ送り出すご家庭がホストファミリーを希望されることが多く、良い具合に相乗効果が現れているように感じます。

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