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※掲載の肩書は取材当時のものです。

学習院の理系一貫教育について

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大学から幼稚園までの一貫教育の観点から、学校の枠を超えた様々な教育の機会を設けている学習院。今回は“本物に触れさせる”教育を重視する学習院ならではの「理科系一貫教育」の特徴について、学習院大学から理学部化学科の持田邦夫教授と理学部物理学科の渡邉匡人教授、そして学習院初等科の染谷優児教諭が語った。その模様をお伝えする。

理学部と初等科が連携する「理科研究体験」

——学習院大学理学部と初等科との連携で行われている「理科研究体験」を始めた経緯や教育上のねらいについてお聞かせください。

持田 邦夫(学習院大学 理学部化学科 教授)

持田
学習院大学理学部の企画で2001年にスタートした「理科研究体験」は、学習院初等科の5年生を対象にした一貫教育プログラムです。当時、この企画を立案した背景としては、理学部では中等科・高等科の生徒の理科嫌いが進んでいるのではという危惧感を持っており、どうすれば大学で理系の道へ進む若者を増やすことができるのか考えようという気運が高まっていました。特に私が所属する化学科ではこうした問題について深刻に捉えており、学習院全体における理科教育に関する「教科連絡会」などを通じてアイデアを出し合っていたのです。そうした中で実際に試みたのが、中等科・高等科の生徒向けに専門家が化学の面白さを語る講演会や、夏休みの「理学部研究室体験」でした。しかし、5年ほど続けても思うように生徒が集まらず、若者の理科離れを改めて痛感させられていたところ、発想を転換して目を付けたのが、初等科の児童です。色々なものに素直に関心を示すこの世代の子どもたちに理科を好きになってもらえたら、もっと上の世代にも良い影響があるのではないか――そんな思いで初等科の染谷先生に相談を持ちかけたところ、具体的に話が進んでいくことになったのです。「理科研究体験」は初等科生が対象ですが、扱う内容は我々が見ても非常に興味深いもの。子どもたちは非常に楽しんで参加してくれるため、こちらとしてもやりがいを感じます。「見て、触って、考える」という学習院における理系教育のモットーである言葉があるのですが、まさにそれを実践する催しとなっています。
染谷
「初等科生向けに、大学理学部の研究室や実験室の活動を体験できる場を設けてみてはどうだろうか」――このように持田先生から話を持ちかけられ、私はまず願ってもないことだと感じました。学習院大学の理学部には、若い研究者からその道の権威まで個性的で優秀な先生方がそろっています。そうした先生方が初等科生に向けて理科の楽しさを伝える催しが、大変刺激的なものになることは容易に想像がつきました。私はふたつ返事でこのアイデアに賛同しました。すると、翌年の夏休みに「理科研究体験」は実現の運びとなって、今年で16年目を迎えます。その間、参加した児童が、学習院大学の理学部に進学して持田先生の研究室に入ったという例もあり、非常に夢のあるすばらしい企画となりました。たとえ理系の道に進まなくとも、子どもたちが理科の面白さを感じ、理科が興味深いものだと感じてもらうきっかけになるだけでも、大変意義のあることだと考えています。
渡邉
初等科生向けの「理科研究体験」は、私が学習院大学に着任したのとほぼ同時にスタートしたため、企画された経緯については詳しくないのですが、“理科離れ”という意味で特に危機感があったのは、やはり高校生に対してでした。そこで私はこの初等科生向けの「理科研究体験」の成功にならう形で、中等科・高等科向けに「夏休み理学部研究室体験」を企画しました。しかし初等科生に比べると、部活や受験などで忙しい中・高校生の参加人数は、どうしても減ってきてしまい、課題は少なくありません。ただ、ひとつ面白いのは、全体の人数はさほど増えないのですが、年にひとりかふたり、理科に強い関心を示す生徒が出てくるということです。夏休みの間に研究室に通い詰めて、実際に研究を行ってしまうような優秀な高校生も時々いるので、こうした地道な努力が大切だと感じています。
 
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