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※掲載の肩書は取材当時のものです。

世界初、死海で動く微生物モーターの仕組みを理学部学生が解明~英科学誌ネイチャーの姉妹誌に掲載~

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学習院大学理学部・西坂崇之教授の研究グループが、東北大学の内田就也博士と共同で「アーキア」と呼ばれる微生物の運動メカニズムを世界で初めて明らかにした。この研究内容は英科学誌「ネイチャー・マイクロバイオロジー」において原著論文として発表された。研究の中心を担った学習院大学理学部 生命科学専攻 博士後期課程3年生の木下佳昭さんが、快挙の中身について語った。その模様をお伝えする。

極限環境に適応するアーキアの神秘に迫る

――木下さんの研究テーマについてお聞かせください。

木下 佳昭(学習院大学 理学部 生命科学専攻 博士後期課程3年)

 私が研究対象としているのは「アーキア」と呼ばれる微生物の運動メカニズムです。生物界は主に3つのグループに大別することができますが、ひとつが我々人間や動物、植物などを含めた真核生物。もうひとつが大腸菌などのバクテリア。最後がアーキアです。アーキアの形態はバクテリアに似ていますが、海底火山や死海のような極限環境や低栄養の環境に適応して進化した特殊な微生物です。そのため、研究の場でアーキアの生存環境を作り出すことは難しく、また培養そのものも難しいことから、これまでほとんど研究されてきませんでした。

 生物が動く運動メカニズムに注目すると、真核生物、バクテリア、アーキアの3つのグループはそれぞれ違う性質を持っていることが知られています。例えば真核生物はミオシンやダイニンといった分子モーターがアデノシン3リン酸(ATP)を使って細胞骨格の上を動くことで、筋肉の収縮や細胞内輸送を行っています。バクテリアはこのモーターを持たず、代わりにべん毛と呼ばれる繊維構造を「イオンの流れ」を使って回転させることで水中を泳ぎます。このように真核生物やバクテリアの運動メカニズムについては、かなり明らかになっています。

 一方、アーキアについてはおよそ30年前、細胞の端からアーキアべん毛と呼ばれる繊維状突起構造が生えており、それを回転させながら動くという発表が、ドイツのグループから一報あっただけです。こう聞くと、アーキアの運動メカニズムはバクテリアと似ているようですが、アーキアべん毛の構成タンパク質や運動のエネルギー源はバクテリアのそれとはまったく異なっており、類似性はないことが明らかでした。私がアーキアの研究に取り組もうと考えたのも、これまでバクテリアや真核生物がよく調べられてきたのに対し、アーキアは本当に謎そのものである点に興味を覚えたからです。そして今回、私はこのアーキアの培養に成功し、西坂研究室で独自に開発した光学顕微鏡を使って、アーキア独特の繊維状の構造をつぶさに観察することができました。

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