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※掲載の肩書は取材当時のものです。

横溝正史ミステリ大賞 受賞作家を輩出~個性を伸ばす学習院中・高等科の教育~

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 昨年、学習院中・高等科の卒業生である逸木裕さんが、第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞した。高等科時代の主管(担任)は、国語科教諭であり現在は中・高等科長の武市科長。師弟として共に3年間を過ごした二人が、当時の思い出や中・高等科の教育について語り合った。

中・高等科時代からの夢を30代で実現

——横溝正史ミステリ大賞を受賞した際のお気持ちを教えてください。

逸木 裕(小説家)

逸木
中等科の頃から作家になりたくて、中等科時代から小説を書いていたので、長年の夢がかなったという喜びがありました。でも、それよりも大きかったのは恐怖心です。数か月後には書籍として出版されると聞いていたので、それまでに原稿をしっかり磨き上げられるかどうか不安でした。出版後に読者から好評をいただいたことで、ようやくホッとして少し自信を持てたように思います。
武市
受賞を聞いたときは、私も非常に嬉しかったですね。ちょうど高等科教員の歓送迎会の最中だったので、同僚の教員に触れ回ってしまいました。逸木君とは卒業後もSNSでやり取りをしていて、小説を書きたかったことも、賞に応募していることも知っていました。逸木君が自分のやりたいことを持続し、受賞でそこへ進む道をつけられたことを嬉しく思います。
逸木
ありがとうございます。でも実は、大学卒業後は「書きたいけど書けない」という状況が10年以上も続いていました。社会人になって時間がなかったこともありますし、自分の作品と読んできたものとの差が大きすぎて、書いては消してばかりで。ちょうどその時期に、武市先生とお会いする機会があったのですが、「小説書かないの?」と言われて胸が痛かったです(笑)。3年前ぐらいにようやく「とりあえず一本、最後まで書いてみよう」と決意して、それから3作目で受賞することができました。

武市 憲幸(学習院 中・高等科長)

武市
17~18歳の頃の夢をずっと持ち続けて、大人になってからも努力できるなんてすばらしいことです。逸木君の代はなぜかそうした生徒が多く、30歳を過ぎてから夢をかなえている人が少なくありません。その意味では、生徒の好きなことや「やりたい」という気持ちを、少しでも将来につなげる手伝いができたのかなと喜びを感じています。高等科時代の逸木君は、とにかく作文の出来が群を抜いていたので、大学進学時には文学部を強く勧めました。
逸木
そうでしたね。僕自身は文学部へ行きたかったのですが、結局は就職難だったことなどもあり、法学部に進みました。でも、法学部を出てITの仕事に就いていなかったら、受賞はもちろん作品自体が書けなかったでしょう。内容にしても、受賞という目標に向けた行動にしても、僕にとっては社会人経験が大いに役に立ちました。
武市
文学部へ進んでいたら、いまこの場所にいなかったかもしれませんね(笑)。人生はどこでどう進むかわからないけれど、逸木君は十代の頃から思い描いていた場所へとしっかり道をつなげた。こういうことがあるたびに、教員をしていて本当によかったなと思います。
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