人には相談しにくい〝お金の悩み〟どうしていますか?
暮らしとお金の専門家、ファイナンシャル・プランナー(FP)を交えて座談会

加藤 梨里先生

CFP認定者(上級ファイナンシャル・プランナー)。保険会社、銀行、FP会社などを経て2014年にFPとして独立開業。家計相談、セミナー講師、雑誌・WEB等での執筆を中心に活動。

田中 真希さん(仮名)

40代。パートに出つつ、中学生、小学生の二人の子どもの面倒を見る主婦。夫が給料の使い道や資産形成をきちんと話し合おうとしないところがちょっと不満。企業系FPに資産運用を相談した経験がある。

森本 里香さん(仮名)

30代の会社員。生涯独身かも、と将来への漠然とした不安から、友人の紹介で独立系FPに相談したことがある。

鈴木 静香さん(仮名)

40代。夫と二人の子。これまでお金のことを深く考えたことがなかったが、長男が来年大学受験を控え、教育費が不安に。FPに関心があるが、「ハードルが高そう」と躊躇している。

人生につきまとうお金の悩み。しかし、なかなか他人には相談しにくいものです。みなさんはそんな時、どうしていますか? 暮らしとお金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(=以下FP)に相談した経験のある方と未経験の方が、FPへの相談体験談や上手な活用法を、現役FPを交えて話し合ってもらいました。

難しいことを言われそう?でも行ってみたらフレンドリー

―鈴木さんはFPに関心があるけれど、相談したことはないということですが、FPに対してどういうイメージをお持ちですか。

鈴木
お金持ちが相談するイメージでしょうか。私みたいな普通の人間には、少しハードルが高い印象があります。相談に行っても、「こんな家計じゃダメです」とお説教されるんじゃないか、という不安もあります。
森本
私も最初にFPに相談するまで、同じ印象を持っていました。自分に金融の知識がないので、難しいことを言われても判断できないかもしれないし。ただ、友人に「お勧めだから」と背中を押されて行って見たら、とても話しやすくて好印象。その方は40代の独立系女性FPで、私の悩みをじっくり聞いて、初歩的なところから分かりやすく説明してくれました。
田中
私は父が亡くなった時に金融機関に勧められて、そこに勤める企業内FPに資産運用の相談をした経験があります。そのFPは自社商品のエキスパートで、いかにも専門家という感じでした。
加藤先生
FPとひと口にいっても、いろいろなタイプがいます。金融機関などに勤めている企業内FPは自社商品に強いので、具体的に買いたい商品があるのなら、企業内FPに説明してもらうのが一番早いです。一方で、自分は何を買えばいいのか、いくら買えばいいのか、そんな出発点から相談したいのであれば、独立開業のFPに聞くのがいいでしょう。独立系FPは相談者から料金をいただく代わりに、中立的な立場で相談者の利益を優先して考えます。私自身は、独立系FPとして活動しています。
鈴木
私は来年長男が大学受験で、意外に教育費がかかることを知り、今のままでやっていけるのか心配なんです。ただ、他人に相談しづらいですよね。親も友人も、家の給料などお金の踏み込んだ話はとてもする気になれません。FPも関心はあるけど、難しいことを言われそうだし、しかも有料だし。

田中
分かります。いくら親しくても、友達とはお金の話はできない。うちは主人がお金の話をぜんぜんせず、秘密主義で今後どうするつもりなのかも教えてもくれないんです。以前相談したFPも、自社商品には詳しくても、全体的な人生相談みたいなのはしてくれなくて・・・
森本
私も、今後どうしたらいいのか、全体的な人生相談、そういう漠然とした悩みでした。独身ですが、このまま独身かも、と考えるようになって、それならどれだけ貯蓄が必要なのか、といったライフプランを意識するようになりました。たまたま、そんな話をしていた友人からFPを紹介してもらいましたが、友人の後押しがなければ、FPに相談しなかったと思います。
加藤先生
鈴木さんや田中さんのようにFPにハードルを感じている人は、日本FP協会で行っている50分間の無料相談会を利用するのもいいかもしれません。雰囲気はつかめるし、自分との相性もはかれると思います。また、日本FP協会のホームページ内に検索システムがあって、地域や相談したいテーマから実際にFPを探すこともできます。相談事例を紹介しているページもあるので参考になると思います。
森本
行って見たら意外に良かった、というのは確かに分かります。

漠然とした不安、〝カウンセリング〟ですっきり

―有料相談の相場と、具体的な相談の進み方は?

加藤先生
相談料は1時間あたり5000円~1万円が相場と言われています。相談時間は、1時間で終わる場合もあれば、数時間かかるケースもあります。また時間制以外の料金体系もあるので、相談前にFPに確認しておくと良いと思います。相談の進め方ですが、私の場合、相談したいテーマをメールなどで教えていただき、相談日を決めます。事前に仕事や年収、家計の状況などについて教えていただいたり、家計簿や保険関係の書類を見せていただいたりすることもあります。相談後、ある程度調べないとお答えできないケースもあるので、そのフォローアップのメールは数回分は無料という場合もあります。

―何を相談したいか決めてから行ったほうがよいのでしょうか。

加藤先生
そんなことはありません。森本さんたちのような“漠然とした不安”でいらっしゃる方が実は一番多いんです。皆さん、何から話せばいいかわからない。お金の不安はいろいろな要素が絡まり合っています。じっくり話を聞いて解きほぐし、整理するのもFPの仕事です。話をするだけでも「すっきりした」と表情が明るくなる方も多い。その意味では、腕利きFPはカウンセラーに近いとも思っています。

森本
私が相談したFPも〝寄り添ってくれる〟雰囲気があって助かりました。こちらの知識レベルに合わせて専門知識を解説してくれた上で、具体的にこれくらいの資産運用をすれば大丈夫と助言してくれたので、これからどうしたらいいのかイメージができて、安心感を得られました。
田中
独立系FPはカウンセラーですか。そういわれると、相談に行きやすく感じます。
鈴木
同感です。漠然と不安だから、というところから相談に乗ってもらえる専門家なら、安心して行けます。でも、「あなたの家計は手のうちようがない」といわれたらどうすればいいのか(笑)
加藤先生
私の経験だと、皆さんの年代なら大体何とかなりますよ。収入に合わせて支出を考えれば、普通の家庭なみに老後までやっていけます。大してひどくもないのに悲観している人も結構多いです。皆さん、自分の家が「普通の家計」と比べてどうなのか、はっきり分からないから不安になる部分もあるんですね。FPがそこを整理して説明することで、だいぶすっきりしますよ。

夫婦で話し合う“きっかけ”にも

田中
でも、うちは主人がまったくお金の話をしてくれない。家計費を渡すだけです。どうしたらいいんでしょうか。
鈴木
うちも似たような感じです。だから、急に子どもの教育費の問題が出てくると、すごく不安になってしまうんです。
加藤先生
そういうご家族、多いですよ。逆に、奥さんに任せっぱなしという家も多いです。ではどうしたらいいのか。その辺の“作戦”を伝授することもできますよ。例えば、給与明細やカードの請求書、そういう断片的な情報でも、ある程度、全体像を想像することができます。そこから「ここだけはご主人を問い詰めた方がいい、話し合った方がいい」というアドバイスもできます。ご主人と一緒にいらっしゃっていただければ、専門家として、きちんとお話させていただきます。将来についてもやもやとしたものを抱え続けるより、ちょっと勇気を出して相談に来ていただければ、すっきりとした気持ちになれるかもしれません。それがFPの仕事でもあるんです。
田中
それはいいかも。なんだか、有料でもFPに相談したくなってきちゃいました(笑)

―以前、FP相談した際は、あまり良い印象がないようでしたが?

田中
今日のお話を聞いて、お金を払ってでもFPに相談する価値があることがわかりました。
森本
私の場合、確かにFPに相談して、もやもやが晴れてすっきりした実感があります。またいつか必要があれば、FPに有料相談に行こうかなと思っています。

ファイナンシャル・プランナーは
悩みを解決してくれるの?

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