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宇宙航空研究開発機構(JAXA)嘱託、月探査に関する懇談会委員(内閣府)、生物多様性戦略検討会委員(農林水産省)などを務め、著書多数。

科学は知的好奇心からの探究、工学はそれを実用化するものと言われる。イオンエンジンを搭載し、約3億キロ離れた小惑星イトカワの探査から帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のミッションは、まさに長年の人類の知的好奇心と、それを実現するための工学との融合。そこにはエンジニアたちの究極の挑戦があったはずだ。
7年間ハラハラさせられただけに、「はやぶさ」が無事に帰還した反響は大きく、エンジニアリングに興味を持った少年少女も増えた。驚くべきことに、私の著書「小惑星探査機はやぶさの大冒険」も科学読み物のベストセラー1位をキープし続けているが、これは、今まで工学や理学に関心のなかった人が、科学技術に目を見開いて応援する時代に入ったということ。「はやぶさ」が“日本は大丈夫だ”と思わせてくれたということではないか。
成功するかどうかわからない研究を応援することも大切で、無駄かもしれないことでも見届けてこそ、革新、進化が起こる。科学技術は人を元気にワクワクさせるもの。研究予算があるとかないとかいうこととは無関係でなくてはならない。
エネルギー問題も同じで、人類の危機を克服することは、誰もやったことのない革新的でエキサイティングな仕事だ。そこには投資が必要であることを忘れてはならない。日本はいまや先進国ではなく、「先進衰退国」だ。新しい先進国として蘇るには、「低炭素先進国」となることが必要と考える。
2100年には、気温は最大8・6度上昇すると予測されており、専門家はこれを4度に抑えたいと言っている。しかし、それでもかなりの生物の種が絶滅する深刻な事態が起きる。稲もネギも牛も、食料品の多くが得られなくなることを意味している。
ハイブリッドカーが環境に優しいというが、たとえ燃費が4分の1になっても、車の台数が10倍になれば意味はない。やはり地球全体のことを考えたエンジニアリング、だれもがスイッチをひねるだけでできる新技術の開発が待ち望まれている。