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松平健の錦秋公演が、今月2日(土)から新宿コマ劇場で始まった。芸能生活三十周年を記念する座長公演とあって、お馴染みの「暴れん坊将軍」が、今回は何やらすごいことになっているらしい。おまけに、日本中で話題沸騰の「マツケンサンバ II」をようやく生で見られるのだ。これがワクワクせずにはいられようか……公演3日目の月曜日、期待に胸を膨らませながら新宿コマの入り口をくぐった。
公演は、いきなり歌で始まった。まばゆいライトの中、ちょんまげや日本髪に着物という姿の人々が声も高らかに歌い、舞台狭しと踊り回る。そう、今回の芝居は「暴れん坊将軍ミュージカル版」なのだ。時代劇とミュージカル、この奇想天外な組み合わせに、観客はプロローグからいきなり舞台に釘付けになってしまう。
やがて舞台は江戸城中に移り変わり、将軍・吉宗の扮装に身を包んだ松平健が登場。観客席から大きな拍手が湧き起こるとともに、あちこちから溜息がもれる。なんと言っても時代劇の大スターである。テレビでお馴染みではあっても、生で見るとやはり輝きが違うのだ。
芝居は、巡礼が歌う子守歌を中心に据え、江戸の町で暗躍する悪人たちの欲望、町娘たちの友情や恋愛物語などが絡み合って進んでいく。しっかりとした脚本に、この公演のために書き下ろされたというオリジナル曲や踊りが組み込まれ、見る者を飽きさせない。
あるときは、松平健が町娘と手を取り合って恋の歌を歌い出す。またあるときは、芸人一座が華麗でアクロバティックな舞を見せる。金に目のくらんだ悪役たちまでもが、「悪党ほど面白い商売はない」と歌い踊り出す。芝居の中で何が起こるか分からない、だから目が離せない。まさに「生」の醍醐味ここにあり、といった感じの舞台なのだ。
実はこの芝居、すべての謎が解決し、悪役も捕まって一件落着した後、またひとつどんでん返しが待っている。詳しいストーリーは劇場に足を運んで直接見ていただくとして、芝居のラストで「そういうことだったのか」と驚いている間に、今度は松平健の歌をメインにしたエピローグが始まるのだ。観客は、芝居から一気に華やかな歌謡ショーの世界に連れて行かれる。
締めくくりは、誰もが待ちかねていた「マツケンサンバ II」。陽気なイントロが流れ出すと同時に、大きな歓声と手拍子が湧き起こった。ペンライトを取り出す人、舞台に向かって手を振る人、立ち上がって踊り出す人までいる。ちょんまげにキンキラキンの衣裳をまとった松平健が華麗なステップを踏みながらステージ上に現れると、会場中から「キャー!!」という黄色い声が。
曲が中盤にさしかかる頃には、舞台上はすごいことになっていた。松平健をはじめ、町娘や浪人から悪代官、腰元まで、出演者みんながまばゆく輝くキンキラキンの衣裳を着て、思いっきり陽気に明るく踊っている。その姿がまた、うらやましいくらいにカッコイイのだ。この突き抜けたステージングを見れば、小さな悩みやストレスなんてあっという間に吹っ飛ぶに違いない。
この公演、従来の時代劇ファンや松平ファンはもちろん、時代劇に触れたことのない若い世代の人にもぜひおすすめしたい。新宿コマ劇場での錦秋公演は29日(金)まで。
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