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第3回 大日本インキ化学工業株式会社
大日本インキ化学工業株式会社 代表取締役社長 小江 紘司氏
インキ事業で世界トップ!
化学で「快適」を提案したい
小江 紘司氏
大日本インキ化学工業株式会社 代表取締役社長
インキ事業で世界最大手の大日本インキ化学工業は2008年に創業100周年を迎える。「化学で快適を提案する」をキーワードに、新しい時代の経営に取り組む小江紘司(おえ こうじ)社長に、今後の方針や抱負を聞いた。(聞き手・読売新聞東京本社編集委員 近藤和行)
人々の生活に身近な広範な製品を提供
――来年、100周年を迎える老舗(しにせ)企業ですね。
首インキ・着色剤等に使われている有機顔料
明治41年(1908年)2月の創業です。群馬県出身の創業者が、東京・本所で、数人の仲間と印刷用のインキ製造を始めました。当時、印刷技術は国の力を反映し、文化水準のバロメーターでもありました。印刷に欠かせないインキを通して、この1世紀、日本経済の発展に役立てたのではないかと思っています。
――インキ事業で世界トップです。
1986年に、アメリカの印刷関連企業「サンケミカル」社を買収して首位に立ちました。80年代は、印刷事業がグローバル化した時代ですが、当社は早くからM&A(企業の合併・買収)で規模の拡大を志向してきました。現在、世界のインキ市場で約3分の1のシェア(占有率)があります。
――インキ以外の多角化も進められているようです。どんな事業があるのですか。
意外に消費者の皆さまの身近にある商品に関連するものを扱っています。例えば、色彩ビジネス。様々なプラスチックの着色剤には、わが社の製品が多く使われています。また、テレビや家電などに液晶パネルが使われていますが、そのSTNタイプの液晶材料ではシェアが50%ほどあります。素材を提供する会社なので、あまり知られていないのは残念ですが。
健康食品など多彩な事業展開
――意外といえば、健康食品に実績があるとか。
30年間飲まれ続けている「リナグリーン21」
藻類の一種であるスピルリナの人工培養技術を世界に先駆け開発し、30年前に栄養補助食品としての販売を開始しました。スピルリナはビタミン・ミネラル・アミノ酸が豊富な食品で、「リナグリーン21」や「ザ・スピルリナ」のブランドで多くの愛用者がいます。今年、スピルリナ本来の良さを残しつつ、最近注目されているGABAを含む「GABAリーナ」を発売しました。またスピルリナは、生育する際に二酸化炭素を吸収し酸素に変えますので、微力ながら地球環境問題に貢献していると自負しています。
――子会社にフィットネスクラブもあるようですが。
フィットネス大手の「ルネサンス」があります。テニスコート床の素材を扱っていたことがきっかけで、社内ベンチャーでスタートしましたが、今は約90店舗を全国展開するまで成長しました。高齢社会に入ってきましたが、皆さまの健康維持に役立ちたいと考えています。
「安全・安心」な製品で豊かな未来を創造
――経営の基本方針を聞かせてください。
「化学で快適を提案する―Color & Comfort by Chemistry―」を経営ビジョンに、06年度から中期経営計画を進めています。わが社はあらゆる産業に、基礎的な素材を提供しています。そんな「個性豊かなファインケミカルメーカー」として、豊かな未来の創造に貢献してゆきたいのです。
――具体的にはどんなことに力を入れるのですか。
年間10万人が訪れる千葉県の川村記念美術館
高度成長期は、便利であることが最も重視されましたが、今はもっぱら、安全と安心が求められています。環境にやさしく、快適さを提供できる素材という観点で製品開発に取り組んでゆきます。どうすれば安全、安心を提案できるのか、常に考えて行動するよう意識の浸透をはかってゆきます。
――社会貢献への取り組みはどうですか。
90年に千葉県佐倉市で川村記念美術館を開館しました。庭園散策路を併設しているのが特徴です。美術作品だけでなく、庭園の景色と合わせ、年間10万人の来場者に楽しんでいただいています。また、グラウンド、テニスコートなどの運動施設も開放しています。
――会社は“新世紀”を迎えます。どんな企業を目指しますか。
長い間、インキを中核事業としてきました。社名も「大日本インキ化学工業」で、名実ともにインキ中心の会社でしたが、100周年を機に社名を変更するつもりです。「人類の進歩のためイノべーティブな製品を作り続ける」というコンセプトで、それを反映した名称を考えています。現社名に愛着はありますが、新しい社名で新しいブランドを構築してゆきたいと思います。