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企業ナビ特集

第11回 スカパーJSAT株式会社

秋山 政徳氏

暮らしに「安心と楽しみ」を届ける
スカパーJSATの衛星・放送事業

秋山 政徳氏
スカパーJSAT株式会社 代表取締役 執行役員社長

 テレビ中継の要として、また災害時には頼りになる通信手段として私たちの生活を支えている「通信衛星(CS)」。日本で衛星事業を一手に担っているのが、アジア最大の衛星事業会社スカパーJSAT(株)だ。有料多チャンネル放送事業も展開する同社の秋山社長に、衛星の役割やテレビ放送の未来について聞いた。(聞き手 読売新聞東京本社編集委員 鈴木嘉一)

通信衛星が災害時にも ライフラインをしっかりサポート

衛星を地上からコントロールする設備の一つ、茨城ネットワーク管制センター
衛星を地上からコントロールする設備の一つ、茨城ネットワーク管制センター

――まず、スカパーJSATの成り立ちについて説明してください。

 当社は、衛星通信事業者の「JSAT」と「宇宙通信」、有料多チャンネル放送事業者の「スカイ・パーフェクト・コミュニケーションズ」という三つの企業が一体化して誕生しました。通信分野の企業は今、国際的に再編・統合が進んでいます。私たちも統合によって、衛星事業と多チャンネル放送事業を両輪として、より信頼性が高く、安定した経営基盤の企業に生まれ変わることができたと考えています。

――衛星の保有数とその用途は?

 現在 12機の衛星を保有しており、保有数、営業収益ともに世界第5位の地位にあります。このうち4機は「スカパー」を中心とする放送事業、8機は国内外の通信事業に使われています。日本をはじめアジア、中東、オセアニア、北米などの地域に様々なサービスをお届けしています。

――衛星事業の分野で、重点的に取り組んでいるのは何ですか。

 まず、官公庁や地方自治体、公共事業体へのサービスが挙げられます。衛星は地上の通信網ではカバーできない地域をつなぎ、災害や事故の際には非常用通信手段として力を発揮します。また、安定供給が欠かせない電力やガスなどライフラインを支える監視・制御システムの回線として利用されています。「暮らしの安全・安心」を守るという重要な役割は、しっかり果たしていかなければなりません。二つ目は、移動体でも衛星を介したインターネット通信を可能にするサービスの提供で、4月から新タイプの海洋ブロードバンドサービス「Ocean BB」を始めます。従来のサービスのエリアを拡大し、世界の主要海域でインターネットが利用できるようになります。三つ目はグローバルなビジネス分野。より幅広い地域にサービスを提供できるよう、他国の衛星事業者と組んで衛星を打ち上げるプロジェクトが進行中です。

多チャンネル、ハイビジョン、3D… テレビの可能性を広げる「スカパー

目黒メディアセンターは、高画質の多チャンネル放送を支える拠点
目黒メディアセンターは、高画質の多チャンネル放送を支える拠点

――もう一つの柱の「有料多チャンネル事業」では、どんなことに力を入れていますか。

 私たちが運営している「スカパー」は、テレビ、ラジオを含め有料放送では日本最多の約280チャンネルを有しています。昨年10月に本格開始したハイビジョンサービス「スカパーHD」は現在、72チャンネルですが、2年後には100以上をめざしています。

――話題の「3D(3次元)」番組はいつから放送されるのでしょうか。

 映画「アバター」の大ヒットもあり、3D放送への関心はますます高まっていますね。「スカパー」では今年の夏、3D専門チャンネルをスタートさせ、スポーツやコンサートの生中継、映画などを中心にして、魅力的な番組をお届けします。今年は「3D元年」とも言われており、3D対応テレビも各メーカーから続々と発売される予定です。私たちは放送の分野で先頭に立ち、3Dの普及を進めていきたいと思っています。

――番組の供給については、どんな戦略を立てていますか。

2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ 全64試合ハイビジョン生中継! スカパー  オフィシャルコメンテーター イビチャ・オシム氏 (C)スカパー
2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ 全64試合ハイビジョン生中継! スカパー オフィシャルコメンテーター イビチャ・オシム氏 ©スカパー

 ハイビジョン放送や3D放送では、やはりそれにふさわしいコンテンツ(番組)が必要ですので、お客様目線でよいコンテンツを探していくつもりです。「スカパーHD」では、6月に開催される2010 FIFAワールドカップ 南アフリカの全64試合をハイビジョン生中継します。この機会にぜひ、ハイビジョン映像の素晴らしさを体感していただきたいですね。

――日本で有料放送が始まって約20年。加入者数はどこまで伸びるのでしょう。

 現在、有料多チャンネルサービスの加入者数は「スカパー」が約370万世帯、CATV(ケーブルテレビ)が約700万世帯、あわせて1100万世帯ほどです。これは日本の総世帯のざっと2割ですから、加入者数が増える余地はまだ十分にあります。ハイビジョン放送は、そのきっかけになると考えています。

社会的責任の重さをかみしめ、時代の声に応えてさらなる進化を

――政府の宇宙基本計画や、新BSデジタル放送への対応は?

 衛星に関する事業は、国の主導による研究開発から、官民共同で産業振興に役立てようという方向に変わってきています。私たちも、政府系衛星の運用を担うなどの業務を想定し、準備を進めています。また、2011年7月に予定されている地上デジタル放送への完全移行に伴い、BS放送のチャンネル枠が拡大します。私たちも、この新BS放送とCS放送との一体的普及をめざし、来年10月からBS放送で新たに1チャンネルの放送を始める予定です。

――今後の展開についてお聞かせください。

 私たちの強みはやはり、多チャンネルの放送サービスです。少子高齢化が進む今、世代によって価値観や趣味、好みはかなり分散しています。しかし、「スカパー」は子どもから大人までそれぞれに合った番組のパッケージを用意できます。豊富なジャンルの中からいつでも見たい番組を楽しめる放送事業者であり続けたいと思います。

――社会にどう貢献していきたいと考えますか。

 放送・通信は免許事業なので、非常に公共性が高い分野です。当社は合併によって社会的な信用が高まりましたが、それは同時に、社会的な責任が増したことを意味します。社員一人ひとりがそれを自覚し、ライフラインのサポートや多チャンネル放送サービスを提供することの重要性を認識し、衛星を使って暮らしに安心と楽しみを届けてまいります。

スカパーJSATの通信衛星群
スカパーJSATは、CSデジタル放送、ライフライン制御システムの主回線などを担う12機の通信衛星を保有。日本で唯一、アジア最大の衛星通信事業者として幅広い分野で事業を展開している。

http://www.sptvjsat.com

スカパーJSAT株式会社
〒107−0052 東京都港区赤坂1−14−14 TEL:03−5571−7800(代)

スカパーJSAT

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