インタビュー 1

東洋大学×YOMIURI ONLINE vol.1 竹村牧男 学長
「グローバル人財」育成に向け
革新を続ける東洋大学

竹村 牧男(東洋大学 学長)

明治期の哲学者・井上円了の創立した「私立哲学館」を前身とし、間もなく創立130周年を迎える東洋大学。現在は11学部44学科を擁する総合大学へと発展し、哲学を礎とする建学の精神を受け継ぎつつ「グローバル人財」の育成に注力している。その根底となる考え方や、地球規模で活躍できる人財育成への取り組みについて今後の計画を伺った。

哲学を基盤として世界に貢献する人財を育成

 本学は、1887年に井上円了によって創立された「私立哲学館」を前身としています。円了が示した建学の精神の一つ「諸学の基礎は哲学にあり」を大切に受け継ぎながら、時代のニーズに応えてさまざまな分野を擁する総合大学に発展してきました。

 建学の精神には、他に頼らず自主的・主体的に行動する「独立自活」、学力と人間力を兼ね備える「知徳兼全」も掲げています。本学の最大の特色は哲学教育であり、これら三つの建学の精神に基づき、「自ら考え、判断し、行動できる」人財の育成に注力するとともに、円了が目指した豊かな社会の実現に貢献すべく、さまざまな取り組みを行っています。

 貧困や格差、環境問題など、世界には今なお未解決の課題が数多くあります。今後の社会では、こうした課題の解決に主体的に取り組んでいける人財が求められるでしょう。そして実際に解決するためには、クリエイティブな解決法を提案するための知力や、他者の問題を自分のこととして受け止められる人間力も必要です。それらを併せ持った、社会の財産としての「人財」を数多く育成することが、私たちの使命だと考えています。

学生が持つ能力を磨き、真のグローバル人財へ

 この使命を果たすため、本学では「哲学教育」「国際化」「キャリア教育」を教育の三つの柱に掲げています。特に「国際化」については、海を渡ることが困難な明治期に、三度にわたり世界を回る視察旅行に出かけ、日本人が海外で渡り合えるように教育すべきだと提言した創立者・井上円了の精神を受け継ぎ、グローバル化した現代社会の要請と相まってグローバルリーダーの育成に全力を注いでいます。そのためには、基礎・専門学力や語学力だけでなく、コミュニケーション力や社会人基礎力、異文化を理解し活用する力、さらには自国の文化を理解し発信する力も必要です。

 本学は2014年度に文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援(タイプB)」に採択されました。これを受けて、現在「TOYO GLOBAL DIAMONDS」という新たな事業構想が進行中です。同構想では、ダイヤモンドの原石である学生を磨いてグローバル人財へと成長させ、ピラミッド型ではなく中間層に厚みのあるダイヤモンド型の人財集団の育成を目指します。同時に国際編入制度の確立などにも取り組み、国際的リーダーの集うアジアのハブ大学へと進化していきたいと思います。

新たな学部学科を新設、さらなる進化に挑戦

 2017年度には、この事業構想の一環として新たな学部学科の新設を予定しています。一つ目は「国際学部」で、ここには「グローバル・イノベーション学科」を設けます。同学科では、全授業を英語で行い、長期海外留学を義務づけ、定員の3割を留学生とするなどの取り組みを通して、国際舞台で先端的な役割を担うニューエリートを育成していきます。

 二つ目は、「国際観光学部」です。自国の文化・歴史に関する知識やグローバルな視点を養い、日本文化を世界に発信することができ、観光立国・日本を牽引する人財を育てます。

 三つ目は「情報連携学部」です。東京都北区に開設予定の赤羽台キャンパスに設置し、設置構想の委員として「ユビキタス」で知られる坂村健先生(東京大学大学院教授)をお招きしています。同学部では、情報ネットワークをベースに、分野やシステムを超えた相互連携により、イノベーションを生み出せる人財を養成したいと考えています。

 この3学部に加え、文学部には新たに「国際文化コミュニケーション学科」が誕生します。こちらでは、学生が英語能力の確保を基礎としつつ、日・英・仏・独の言語や文化への深い理解と発信力を身につけることができる教育プログラムを展開します。

 今後の東洋大学は、「世界標準の大学」となり、さらに国際的に評価される大学を目指していきます。そのために、各国の優秀な大学と連携して教育や研究、社会貢献活動を推進し、グローバル化・ボーダーレス化した社会のニーズに応えていきます。円了の志を継いで今後も奮闘努力を続け、世界のため、人のために働くことに喜びを感じられる人財を育成していきたいと思います。

※2017年度に開設予定の学部・学科の名称は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。

東洋大学 学長
竹村 牧男(たけむら・まきお)
1948年生まれ、東京都出身。東京大学大学院人文科学研究科(印度哲学)修士課程修了。同大文学部助手、三重大学人文学部助教授、筑波大学教授(哲学・思想学系)、東洋大学文学部長などを経て2009年から現職。専門領域は仏教学および宗教哲学。主な著書に『入門 哲学としての仏教』(講談社現代新書)、『日本仏教 思想のあゆみ』(講談社学術文庫)など。受賞歴に日本宗教学会賞、第17回中村元東方学術賞など。