インタビュー06

好きなことを仕事にする、
その一歩を踏み出して。

大島 里子さん(旅行業・スペイン在住)

世界を舞台に活躍する人材を育てる東洋大学。日本を飛び立ったその卒業生たちは、今どんな舞台に立っているのだろうか。ここでは、海外で働く卒業生たちのインタビューを連載。国境を越えて活躍する彼らの軌跡や思いを追うとともに、後輩へのメッセージも紹介する。

仕事と家庭の両立をスペインで実現

 私が支店長を務めるJTBスペインでは、 マドリードとバルセロナにオフィスがあり、日本からの個人や法人のお客様への企画提案から見積もり、現地日本語ツアー運行など旅行に関わる全ての手配やトラブル発生時の対応まで、幅広い業務を行っています。スタッフの半分以上がスペイン人ですので、日本で働くのとは勝手が違う場合も多々ありますが、優しくおおらかな国民性は大きな魅力。職業柄か女性比率も約9割と高いのですが、国の育児休暇制度や時短勤務制度なども整っており長く働ける環境ができています。

 スペインに来る前も日本で、同じJTBグループの会社に勤めていました。現在の同僚の何名かは当時からの仕事仲間です。そこからスペイン遊学を経て現在の会社に入り、マドリード在住18年目になります。その間に家庭も持ちましたので、この国はすでに第二の故郷。1回は海外で生活してみたいと思っていましたが、こんなに長く暮らすとは考えていませんでした。すでに生活の基盤がスペインになり、心地よい居場所を見つけたという感じです。

大学時代にヨーロッパに惹かれて

 私は大学時代にアメリカ西海岸とロンドンで1か月ずつ、合計2回のホームステイを体験し、ロンドンでのホームステイ後にはバックパックで3週間ほど友人とヨーロッパを旅しました。そこで各国の人々と接しているうちに、文化の奥深さや歴史の重さを感じて「ヨーロッパは面白い」と思うようになったのです。なかでも特に印象深かったのが、開放的でゆるい感じのバルセロナ(スペイン北部の都市)でした。

 この経験で海外旅行の楽しさに目覚め、もともと英語を使った仕事をしたいと思っていたこともあり、迷わず旅行会社に就職。幸いにも希望のヨーロッパ部に配属され、さまざまな機会にスペインと関わるようになり、現地を訪れるうちにますます興味を持つようになりました。まずはスペインに行って言葉を習得せねばと考えるようになり、ついに一念発起して現地へ語学勉強に行きました。当初は1年経ったら帰国してスペイン語を使った仕事をしたいと考えていましたが、1年程度ではたいした語学力もつかず、こちらの生活も楽しくなっていたところに、運よく今の会社に声をかけてもらい、現在に至っています。

「想像力」と「創造力」を大切に

ポルトガルやフランスと国境を接し、日本人の旅行先としても人気の高いスペイン。 北東部のバルセロナは首都マドリードに次ぐ大都市として知られる。

 大学時代は英米文学を専攻しており、授業やゼミは充実したものでしたし、アルバイトやバスケットサークルも楽しくて仕方なかったです。特にサークルには考え方も年齢も違うさまざまな人がいて、人間関係の築き方、生き方などたくさんのことを学びました。ここで得た友人や楽しかった思い出は、今も私の宝物です。

 私は高校生のころから、好きな仕事を見つけて自立したいと考えていました。もちろん家庭もほしいと。家族の協力がなければ、ここまで仕事を続けることもできなかったので、とても感謝しています。今後も、お客様の要望をくみ取る「想像力」と、スペインやポルトガルの魅力を発信する「創造力」を大切にしながらこの仕事を続けていきたいですね。そして海外で仕事をしたいという思いがある学生の皆さんは、勇気を出して1歩を踏み出していただきたいです。好きなことを仕事にする、ましてそれを続けるのは大変なことですが、その分楽しさもひとしおです。皆さんの活躍を期待しています。

JTBスペインマドリード支店長
大島 里子(おおしま・さとこ)
新潟県出身。1990年、東洋大学文学部英米文学科卒業。卒業後、JTBワールド(現JTBワールドバケーションズ)に入社し、ヨーロッパ部に所属。7年間の勤務後退職してスペインに遊学。98年にJTBスペイン マドリード支店に入社。企画・手配・現地対応など一連の業務を行い、2011年7月よりマドリード支店長に就任。ヨーロッパの一拠点として日本人スタッフや現地スタッフとともに、日本からの観光客のスペイン・ポルトガル旅行手配や斡旋、サポートサービスなど旅行全般に関わる現地対応にあたっている。
大島 里子