インタビュー10

思い切って踏み出せば
新たな世界が広がる。

谷野 駿さん(青年海外協力隊員・モンゴル在住)

世界を舞台に活躍する人材を育てる東洋大学。日本を飛び立ったその卒業生たちは、今どんな舞台に立っているのだろうか。ここでは、海外で働く卒業生たちのインタビューを連載。国境を越えて活躍する彼らの軌跡や思いを追うとともに、後輩へのメッセージも紹介する。

バレーボールのナショナルチームをサポート

チョイルでの活動の様子

 現在、私はモンゴルの首都ウランバートルで、青年海外協力隊のバレーボール隊員として活動しています。中学時代から続けてきたバレーボールを生かした仕事で、役割はモンゴル国男子ナショナルチームのコーチアシスタント。5月にモンゴルで開かれる東アジア地区の国際大会に向けて、実力強化のサポートをしています。日本人ヘッドコーチの指示のもと、選手への球出しやトレーニング指導などを担当しており、強化合宿にも同行しました。

 ウランバートルの前は、同じモンゴルのチョイルという地方都市で6か月ほど、子どもたちにバレーボールを教えていました。最初は言葉の壁に加え、男子チームの子どもたちが私の言うことを聞いてくれず、悩みました。ところが、意を決して片言のモンゴル語で理由を聞いてみると、「強い女子チームばかり面倒を見て、自分たちは放っておかれている」と感じていたことがわかったため、アプローチの仕方を変えたところ、彼らも素直に話を聞いてくれるようになりました。

きっかけは二人の先生との出会い

東洋大学在学時、サークルの仲間たちと

 例え異なる文化背景でも、人間関係を築く上で大切なことは同じです。子どもたちのおかげで、コミュニケーションをとること、しっかり向き合うことの重要性に改めて気づくことができました。モンゴルでの任期は約2年間。帰国後は、青年海外協力隊での経験を生かして高校教員になりたいと思っています。

 大学在学中はずっと教員を目指して勉強し、免許も取得したのに、なぜ卒業してすぐに青年海外協力隊に入ったのか──。きっかけは大学での二つの出会いでした。

 一人目はコーチング概論の講義でゲストスピーカーとして来られた、元青年海外協力隊の体育隊員だった方です。それまで海外に行きたいと思ったことすらなかったのに、この方の経験談を聞いてからは青年海外協力隊の仕事に強く引かれるようになりました。二人目はゼミの金子元彦先生(健康スポーツ学科准教授)です。海外で2年を過ごしてから教員になることを迷っている私に、先生は「あせらず、ゆっくり、遠回りでもいいじゃないか」と言葉をかけてくださいました。

帰国後は教員として海外での経験を伝えたい

モンゴル国男子ナショナルチーム

 今思えば、私は大学に入る際に1年浪人したので「人に追いつかなきゃ」「早く教員にならなきゃ」という気持ちが強かったようです。しかし金子先生の言葉で、遠回りでもいいからやりたいことをやってみようと思えるようになりました。モンゴルに来て1年弱、まだまだここでの経験を総括できる段階ではありませんが、将来教員になったら、生徒たちには「世界は広く、知らないことがたくさんある」と伝えたいですね。

 モンゴル国内には今も貧しい子どもたちがたくさんいて、日本では考えられないような場面にも出くわします。そして日々、自分が今まで何も知らなかったということを痛感させられています。学生の皆さんも、海外に出ることに不安もあると思いますが、思い切って踏み出してください。そこには新たな世界が広がっていて、違う環境に身を置いて初めてわかることがたくさんあります。そうした経験は今後、日本で生きていく上でも必ず役に立つと思います。

JICA 青年海外協力隊 バレーボール隊員
谷野 駿(たにの・しゅん)
1991年生まれ、兵庫県出身。2014年、東洋大学ライフデザイン学部健康スポーツ学科卒業。在学中に高校の教員免許(保健体育)を取得。卒業後、大学で学んだコーチングの知識と特技のバレーボールを生かして、JICA 青年海外協力隊のバレーボール隊員となる。同年7月よりモンゴルの地方都市「チョイル」に派遣され、地域の少年少女にバレーボールを指導。15年1月からは首都ウランバートルで、モンゴル国男子ナショナルチームのコーチアシスタントを務めている。
谷野 駿