インタビュー13

グローバル人材に求められる『異文化の人々と協働できる人間力』
国際学部グローバル・イノベーション学科※の人材育成に期待

小野 文明氏(日本マニュファクチャリングサービス株式会社 代表取締役社長)

2017年4月、東洋大学に新たに「国際学部グローバル・イノベーション学科※」が誕生する。同学科ではイノベーション能力や異文化コミュニケーション力、起業家精神を併せ持った「グローバル人財」の育成を目指す。世界で活躍するために必要な力や企業が求める人材像について、グローバルに事業を展開する日本マニュファクチャリングサービスの小野文明社長に聞いた。

人材サービスとモノづくりを融合した事業を展開

 日本マニュファクチャリングサービス(nms)は、製造派遣・請負やエンジニア派遣などの人材サービス事業と、電子機器の受託生産を行う製造事業を軸としている。この二つを同時に展開している企業は日本ではまだ多くなく、同社代表取締役社長の小野文明氏は「人材サービスとモノづくりの融合によって、開発・設計から製造、物流、修理、カスタマーサービスまでをワンストップで提供できることが私たちの大きな強み」と語る。

「当社が目指すのは、常に一歩先を行く“革新的なグローバル企業”です。そのため、国内はもちろん海外での事業展開にも積極的に取り組んでおり、中国、ベトナム、タイ、マレーシアに合計20の拠点を置いています。現在の社員数はnmsグループ全体で約9,500人。そして、そのうちおよそ6,000人が海外で活躍中です」

 日本国内の市場は縮小を続けており、この傾向はこれからますます強まると言われている。成長を続けるために海外へと進出する企業が増えており、同社も例外ではない。今後も海外での拠点整備に力を入れ、メキシコ、インドなども視野に入れながらグローバルな事業拡大を図っていくという。

我々の財産は人。人材を世界中から求めたい

 小野氏は、こうした海外展開を進めるうえで一番重要な財産は「人」だと語る。「モノづくりは人づくり」という考え方から、採用後はもちろん採用前の教育にも積極的に取り組んでおり、すでに中国やベトナムの複数の大学において、日本語や異文化コミュニケーションなどを学ぶ「nms2年間プログラム」の導入を実現している。

「こうした取り組みは、高い技術と国際力を備えた人材を早期に獲得するためのもので、当社では国内はもちろん中国やベトナムなど世界中から広く人材を求めています。採用や海外勤務を決めるうえで私たちが重要視する資質は、異文化の人々と協働できる人間力。つまり、コミュニケーション力や異文化理解力、リーダーシップなどですね。加えて語学力があれば、期待もさらに大きくなりますし、大学でそうした人材を育成していくことに意義はあると思います。」

 2017年度に東洋大学に新設される「国際学部グローバル・イノベーション学科※」が目指すのは、世界の舞台で先端的な役割を担う国際的リーダーの輩出だ。グローバルな視点に立ち、新しい時代に合ったシステムや価値を創造できる──そんな社会の財産としての「人財」を育てるため、特色あるカリキュラムを展開する予定であり、小野氏の言うグローバル人材像と重なる部分が大きい。

グローバル・イノベーション学科※で大きな成長を

 例えば、日本人学生には海外への1年間の留学を必須とし、同時に、アジアを中心とした留学生の受け入れ目標を入学定員の30%としている。こうした学生たちの流動性はクォーター制(4学期制)を導入するなどして促進を図る。また、英語で授業を行うことを原則としており、企業や社会における価値創造を促す「イノベーション能力」や起業家精神の習得に力を注ぎ、国際感覚やリーダーシップに秀でた人財を育て上げていくことを目指す。

「東洋大学のこうした取り組みは、当社のような企業にとって非常に喜ばしいことです。特に1年間の留学必須化は大きな魅力。私の経験から言えば、海外で1年過ごした人は、日本での3年に相当する成長を遂げます。異文化の中で過ごすことで心が鍛えられ、人間力も磨かれるのだと思います」

 また小野氏は「外から日本を見ることで、改めて自国の良さや日本人としてのアイデンティティーを自覚する人も多い」と語る。海外でのビジネスは、現地の人に合わせるばかりではうまく回らないことがある。相手の文化に理解を示したうえで日本人として考え、行動することが重要という持論から、海外留学の成果に大きな期待を寄せているそうだ。

「このグローバルな感覚は、学生時代にきちんと基礎を学び、海外を体験することで身につくもの。私は今になって学生時代に、『もっと勉強しておけばよかった』と後悔していますが、アルバイト先の建設現場で出会った人々や海外への貧乏旅行から得たことが大きな糧になりました。グローバル・イノベーション学科※で学んだ学生たちが人生の糧を得て、そしてグローバル人財となって日本のモノづくりを支えてくれる日を心待ちにしています」

※2017年度に開設予定の学部・学科の名称は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。

日本マニュファクチャリングサービス株式会社 代表取締役社長
小野 文明(おの・ふみあき)
1959年生まれ、長崎県出身。東洋大学法学部経営法学科卒業。教育研修会社、人材派遣・業務請負会社、人材スカウト会社などを経て2002年、日本マニュファクチャリングサービス(旧NMS)代表取締役に就任。04年、NMSホールディングス代表取締役社長に就任。製造請負、製造派遣、製造受託、修理受託、技術者派遣などを中心とした製造アウトソーシング事業を、国内のみならず海外でも積極的に展開している。