インタビュー19

ITと他分野の連携による新たな価値の創造は、
今後も進み続ける

及川 厚博氏(マクロパス株式会社 代表取締役)

自動車や住宅、家電など、あらゆるものがインターネットとつながるIoT(Internet of Things)社会で、重要なキーワードになるのが「連携」。東洋大学は2017年4月、情報通信技術を活用してシステムや人を連携させることのできる人材を育成する「情報連携学部※」を開設する。最先端の情報分野ではどんな人材が求められているのか、活躍するためにはどんな知識・能力が必要なのか。東洋大学在学当時に、ITとヘルスケア分野を連携させたベンチャー企業を立ち上げたマクロパス株式会社 代表取締役の及川厚博氏に聞いた。

Webサービス「Dr.Note」を新規開発

マクロパス株式会社 代表取締役
及川 厚博氏

 及川氏が代表取締役を務めるマクロパス株式会社は、IT分野の受託開発と新規開発事業を軸に据えている。受託開発ではアプリやWebサービス関連のソフトウェアを開発。開発拠点をベトナムとインドネシアに置き、コストを抑えている点が大きな強みだ。一方、新規開発ではIT分野と関わりの薄い分野をITと組み合わせることで、新規事業の開発を行っている。2015年にはITとヘルスケアを連携させた独自のWebサービス「Dr.Note(ドクターノート)」をスタート。医師の監修のもと、ユーザーの健康管理に役立つ情報を発信している。

「インターネット上では多くのヘルスケア情報が出回っていますが、確かな医学的根拠に基づいたものはまだ多くはありません。そこで、ITを活用して信頼性の高い情報を発信してはどうかと思ったのです。少子高齢化の時代の中で、ヘルスケア情報へのニーズは今後も高まっていくはず。この分野の将来性にも着目し、ビジネスとして成り立つと考えました」

 質の高いヘルスケア情報とユーザーをつなぐ試みが功を奏し、「Dr.Note」は順調に展開している。しかし、会社設立当初は軸になる事業がなかなか見つからず、試行錯誤の連続だったという。起業メンバーの3人でマクロパスを立ち上げたのは大学3年生のとき。以来、SNS運営、エンジニア養成スクール、コンサルタント養成塾と様々な事業に挑戦したが、いずれも思うように利益が上がらず、最終的に手応えを感じたのがフェイスブックページの受託開発だった。

大学時代に学んだ経済と経営の知識が今に活きている

「受託開発が軌道に乗り始めてからも、より利益率を高めるため、開発拠点を海外に移したり営業部門を別会社として独立させたりと工夫を重ねました。この仕事が軸になったおかげで新しいことに取り組む余裕が生まれ、『Dr.Note』を事業化できたのです。企業にとって、自社独自のサービス誕生は大きなターニングポイント。経営者としては、これでようやく情報分野で戦う挑戦権を得たという気持ちですね」

 大学入学当初から起業への思いが強く、経済学部では公認会計士を目指して猛勉強を続けたという。

「公認会計士の道は諦めましたが、その時に学んだことが今に活きています。IT分野での起業を目指すなら、インターネットの世界でも共通言語である『英語』で情報収集し、サービスを創り出す技術としての『プログラミング』を身につけ、そして利益を生み出すために『財務会計』の知識が必要だと思います。今、経営者として財務会計をしっかり見ることができているのは公認会計士の勉強をしていたおかげ。さらに、経済学部で土台となる経済学を学んだことも役立っています」

ITと他分野の連携は今後も進む

 さらに、及川氏は「現在、私たちを取り巻くあらゆる分野でITが使われており、この流れはさらに進み続けるでしょう」と話す。そのような時代に、東洋大学が2017年4月に新設する「情報連携学部※」では、ICTを活用して様々な分野のシステムや人を連携させ、新しいアイデアをすばやく形にできる人材の育成を目指す。そのために、CS(Computer Science)教育とプログラミング教育、日・英コミュニケーションを集中的に学ぶ。学舎となるのは、東京都北区赤羽台に誕生する新キャンパス。ここで将来のエンジニアやWebデザイナー、情報ビジネスコンサルタントなどを育てるとともに、在学中のベンチャー起業も奨励する方針だ。

「私もこの学部で学びたかったですね。学部が起業を後押ししてくれる仕組みは非常に画期的だと思います。私は起業当初、IT関連の知識がまったくなかったので、技術担当者の話についていくため独学で勉強しました。この分野の経営者は、設計からデザインまで幅広い知識がないと現場の人々を連携させることができません。それと、これからのIT業界では技術者も連携する力、つまりコミュニケーション能力が必須。新学部ではITスキルだけではなく、システムや人を連携させる力も磨くそうなので、情報連携学部※で学び、社会に出てくる人材に期待しています」

※2017年度に開設予定の学部・学科の名称は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。

マクロパス株式会社 代表取締役
及川 厚博(おいかわ・あつひろ)氏
1989年生まれ、北海道出身。2013年、東洋大学経済学部卒業。11年、在学中にマクロパス株式会社を創業。国内企業向けに、インドネシア・ベトナムを拠点にしたアプリの受託開発と、ITと他分野を連携させる新規事業開発を行う。15年4月、「一人ひとりの生活にヘルスケア・トレーナーを」をコンセプトとしたWebサービス「お医者さんとつくるカラダのレシピ Dr.Note(ドクターノート)」をリリース。