インタビュー22

日本のカルチャーを世界へ──
発信力のある人材の育成に期待

中川 悠介氏(アソビシステム株式会社 代表取締役)

急激に進展するグローバル社会において、世界の人とのコミュニケーションには、日本の文化、そして世界の文化について深く理解していることが求められる。そのようなグローバル社会で必要となるスキルを身につけた人材を育成するため、東洋大学では2017年度に「国際文化コミュニケーション学科※」を開設する。目指すのは、真のコミュニケーション力と日本文化を世界に発信する力を身につけた人材の育成だ。

新たな日本文化として、きゃりーぱみゅぱみゅさんをはじめとする原宿のポップカルチャーを生み出し、国内外に発信しているアソビシステム株式会社代表取締役の中川悠介氏に“原宿”を日本文化として発信するに至った経緯から、これから求められる人材について聞いた。

原宿というカルチャーを世界に発信

 中川氏が代表取締役を務めるアソビシステム株式会社は、きゃりーぱみゅぱみゅさんをはじめとするアーティストのマネジメント事業や、海外に向けて原宿のポップカルチャーを発信する「MOSHI MOSHI NIPPON」プロジェクトなどを手がけている。原宿という街が生み出すさまざまなコンテンツを、一過性のブームではなくカルチャーとして成長させていく──その活動の始まりは、東洋大学在学中の学生時代にまでさかのぼる。

「もともと人と話すことや人がたくさん集まる空間が好きで、大学1年生のころから原宿でイベントを開催していました。そのうちに仲間が増え、音楽イベントやファッションショーも主催するようになって、その延長線上でアソビシステムを設立しました。自分がやりたいことを続けていたから、今の自分があると思います。また、『HARAJUKU』や『KAWAii』といった新たな日本独自の魅力や文化を発信していると言われますが、根底にあるのは自分が好きな人やモノ、空間を多くの人に伝えたいという気持ち。私は原宿の街や人、つまり原宿というカルチャーが好きなんです。自分たちの活動を通して、日本だけでなく世界に原宿カルチャーが広まっていくとうれしいですね」

 アソビシステム株式会社が生み出してきた“HARAJUKU”“KAWAii”といった日本独自の文化は、新たな日本の魅力として世界から注目を集めているが、それらは海外向けに発信したわけではなく、日本でやっていることがそのままの形で世界に認められたのだと中川氏は言う。

2021年以降の「日本の魅力」を考える

 クールジャパン戦略推進会議のメンバーを務める中川氏は、“原宿”にとどまらず、2021年以降の日本に対して自分たちに何ができるかということを考え、インバウンド拡大の波や東京オリンピック・パラリンピックが終わった後も、引き続き日本の魅力を高めていく方法を模索している。

「日本には、エンターテイメントなど高いクリエイティビティーを持ったカルチャーがたくさんあります。世界に通用する日本の力は、それらのコンテンツ力だと思うので、もっと海外に発信したいのですが、現状ではそれぞれが点のままで存在していて、線ではつながっていない。それらを線でつなぎ、面にしてどのように発信するか、どんなコラボレーションをしたらより魅力的になるかということを考えていきたいですね。新しい価値を創り出すことが求められていると感じています」

 日本文化への理解を深め、何が魅力になるかを考え、新たな価値を創造していくことが求められるこれからの社会において、若者には「人間力」を磨いてほしいと中川氏は語る。語学スキルを身につけるだけではなく、例えば大学のゼミやサークルでさまざまな地域出身の人や背景を持つ人と出会い、コミュニケーションをとり、友人をつくる経験などでも「人間力」は磨かれていく。こうした「人間力」を土台として、伝えたいものへの愛情を持ち、発信力を身につけた人材が必要となってくる。

さまざまな国の文化を学ぶことがプラスになる時代

 2017年度に東洋大学文学部に誕生する「国際文化コミュニケーション学科※」では、国際社会で通用するコミュニケーション力を身につけるため、自文化や異文化を理解し、発信する力を持った人材を育成する。読解、聴解、文章表現など質の高い英語運用力を身に付けた上で、英・独・仏・日の多言語でのコミュニケーション能力や、国際比較研究による世界の文化や歴史に対する知識を習得していく。また、異文化交流や情報発信を実践的に学ぶため、海外の協定大学との交換留学や語学研修を積極的に進める方針だ。

 国や価値観の違いを越えて仲間を作る力を磨き、伝えたいことを正しく発信する力を養う──中川氏は「今はそうした学びが大きなプラスになる時代」と期待を寄せる。

「どんなにテクノロジーが発達しても、カルチャーを創るのはやはり生身の人間。そのため、さまざまな国の文化に触れる機会の多い学びの環境には期待感があり、そういった人材の育成はとても大切なことだと思います。国や文化の違いを越えたコミュニケーション力を身につけ、マーケットを日本国内だけでなく、世界にも拡がっている感覚を持って、どんどん新しい価値を創造し、発信していってほしいと思います」

※2017年度に開設予定の学部・学科の名称は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。

アソビシステム株式会社 代表取締役
中川 悠介(なかがわ・ゆうすけ)氏
アソビシステム提供
1981年生まれ、東京都出身。2005年、東洋大学経営学部商学科(現マーケティング学科)卒業。在学中からさまざまなイベントを主催し、07年にイベントプロモーションやアーティストマネジメントなどを行う「アソビシステム株式会社」を設立。ファッションや音楽、ライフスタイルなど原宿の街が生み出すカルチャーを国内外に発信している。主な事業に、ファッション&音楽イベント「HARAJUKU KAWAii!!」、日本発信プロジェクト「MOSHI MOSHI NIPPON」など。内閣官房「クールジャパン戦略推進会議」構成員。