早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

YOMIURI ONLINE | 読売新聞

  • トップ
  • オピニオン
  • ニュース
  • 研究力
  • 文化
  • 教育
  • キャンパスナウ
  • 早稲田評論
  • English

ホーム > キャンパスナウ > 2016 盛夏号  Front Runner―活躍する若者―

キャンパスナウ

▼2016 盛夏号

Front Runner―活躍する若者―

学生生活のなかで身につけた視点や能力を活かして活躍している学生と若手校友をクローズアップして紹介するコーナー。
第10回は文学部3年の遠藤聡平さんと、すいな綜合会計事務所の下村和也さんにお話をうかがいました。

専門性を強みにすれば、自分らしく働き、夢を叶えられる

略歴はこちらから

下村 和也さん/すいな綜合会計事務所 パートナー 公認会計士

 下村さんは、障がいを悲観的に捉えていない。早稲田大学を選んだのも、自由な校風で個性的な人が多く、障がいを個性と捉える自分の価値観に合うと思ったからだ。在学中は、障がい学生支援室の立ち上がりの時期で、下村さんも意見を出しながら、職員の方や学生ボランティアと試行錯誤し、講義の受講の方法を考えたという。

「私は聴覚に障がいがあって、読唇術でコミュニケーションをとっているのですが、ノートテイクやパソコンテイクの支援によって情報の漏れがなくなり、授業に参加できる環境づくりをしていただきました。そのとき知り合った学生とは、今でもお付き合いがあります」

 大学時代は、公認会計士の資格試験のための勉強が中心だったという下村さん。障がいがあっても、国家資格があれば就職に有利。そう決断すると、何の迷いもなく試験勉強に打ち込んだ。その甲斐あって、4年生のときに公認会計士論文式試験に合格。有限責任あずさ監査法人に就職した。海外にある子会社の監査など、英語を使う機会が多く、次第に留学を意識するように。一方で、経営者とのコミュニケーションが重要な公認会計士の仕事では「、聞こえなくてもできる仕事を一生懸命こなす」だけでは、同僚に勝てないと思うようになった。そこで、米国で音声認識の勉強をしようと一念発起。米国に留学し、英語、米国手話、コンピューターサイエンスを勉強しながら、シリコンバレーのIT企業への就職を目指した。しかし、周囲の学生のレベルは予想以上に高く、必死の努力をもってしても状況は厳しかった。やがて帰国を決意。

「夢は破れましたが、大きな発見もありました。米国では、ビジネスシーンにおいても障がい者を支援する体制が当たり前にあり、日本では考えられないくらいバリアフリーでした。それを見て、一人でできないことも聞こえる人と組めば問題はクリアできる。“ 自分の働き方”を確立したい、と考えるようになりました。また、米国で出会った人たちの逞しさにも感化され、メンタルも強くなりました」

すいな綜合会計事務所のパートナーの渡口さん(左)とともに、商談中

 帰国後、独立を意識しながら税理士法人で経験を積んでいたところ、かつての同僚から誘いを受けた。「彼は私の障がいと海外経験を事務所の強みにしようと考えてくれた。見る目があるな!と思って、誘いに乗りました(笑)」

 現在、聴覚障がい者の公益社団法人をはじめ、自分の強みを生かしてクライアントを増やしている。「専門性を持っていることは、どんな仕事においても武器になると思います。夢は世界中で仕事をすること。会計士という専門性、手話や英語を強みに頑張ります」

 経験を無駄にせず、一歩一歩着実に夢を叶えていく下村さん。この先、どんな困難があっても前向きに乗り越えていくだろう。

下村 和也(しもむら・かずや)さん/すいな綜合会計事務所 パートナー 公認会計士

兵庫県出身。2008年3月早稲田大学社会科学部卒業。4年生のときに公認会計士論文式試験に合格し、2008年4月から有限責任あずさ監査法人で金融商品取引法監査、会社法監査、米国基準監査、システム監査等に従事。2012年に退職し米国に留学。プログラミングなら聴覚障がい者でも力を発揮できると考え、コミュニティカレッジを経てロチェスター工科大学に編入。帰国後は税理士法人に就職し、税務の経験を積んでいたところ、あずさ監査法人時代の同僚に誘われて独立、現在に至る。趣味は旅行。今年の夏は友人が住むフィンランドを訪れる予定。

  • 早稲田大学東日本大震災復興支援室 早稲田大学東日本大震災復興支援室
  • 大学体験web もっと動画でワセダを体験したい方はこちら
  • QuonNet まなぶ・つながる・はじまる、くおん。