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ホーム > キャンパスナウ > 2017 早春号 第二世紀へのメッセージ

キャンパスナウ

▼2017 早春号

第二世紀へのメッセージ

早稲田大学に関係のある方にお話を伺い、客観的な視点により、早稲田大学の魅力や課題を浮き彫りにします。

消費者庁長官
岡村 和美さん
略歴はこちらから

早稲田に散らばる「本物」の材料が学生を育ててくれる

岡村 和美さん/消費者庁長官

消費者庁長官を2016年から務める岡村さん。弁護士、検事、法務省、人権擁護局長と多彩な仕事を経た岡村さんに、学生時代の思い出や法律家としての心構え、早稲田大学に期待することをお聞きしました。

“人生劇場”の舞台に放り込まれた学生時代

――早稲田大学に入学して、一番心に残っていることは何ですか。

 高校時代に先輩の勧めで早稲田大学を志望しました。ロジカルに考える学問が自分に合っていると思い、法学部に進みました。心に残っているのは、周りの学生があまりに多様だったことです。同じ学年でも年齢、出身地はさまざま。個性豊かな人たちに触れた4年間が私を成長させてくれたと思っています。

――弁護士を目指して勉強されていた頃のエピソードを聞かせてください。

 大学入学当時から将来は法曹の道に進むことをなんとなくイメージしてはいたのですが、友人や先輩の話を聞いて本格的に弁護士を志したのは3年生になる頃でした。同学年の学生と比べるとスタートは遅く、当時は授業に出てくる法律用語すら理解できない状態。そこからは根を詰めて勉強しました。もともと知的好奇心は旺盛ですが、“試験勉強”は苦手。この生活を長引かせるのは逆効果だと思い、「できるだけ早く司法試験に受かるしかない!」と自分にプレッシャーをかけたものです。早稲田祭でキャンパスがにぎわっているときも勉強したり、誰よりも遅く残ったりするようなつらい期間でしたが、スタートの遅い私にも学ぶ機会をたくさん与えてくれた、早稲田の“やりたいことをやらせてくれる”カルチャーには感謝しています。その時も実感したことですが、なんでもやると決めたら集中することが大切。仕事として専門家を選んだからには、とことん勉強する必要があると思います。

「次の景色」を目指し続ける人生

――司法試験合格後は、弁護士になって渡米し、そして検事になられたそうですね。日米で積まれたさまざまな経験やキャリアについてお聞かせください。

 私は、ひとつの目標を達成すると、次の目標に向かう人生を歩んできました。これも早稲田の「進取の精神」と言いますか(笑)、ひとつの山を越えると、もうひとつ山を登って、新しい景色を見たくなるのです。

 司法試験合格後は、弁護士の中でも企業の法務に対応するビジネスロイヤーになろうと考えました。ビジネスの世界で仕事をするなら、本場米国に身を置き、英語ができたほうが良いと考えて渡米。外資系金融機関で仕事をして、国際金融の最前線を学びました。帰国後、日本支店勤務も含めて10年ほど働いた後は、行政サービス、特に人権や環境に関する仕事に興味を持ちました。学生時代に聞いた環境権についての講演会が面白いと思ったことや、米国で人権や環境関連の公益活動に携わるうちに、この分野への思いを強くしたことが理由です。そして法律家としての知見を生かすため、検事に任官して各省庁へ出向しました。検事は、裁判所で刑事事件を担当するだけが仕事ではありません。企業の法務に弁護士が必要なように、各省庁にも法律や条約を扱う法律家が必要で、それも検事の役割なのです。

――法律家として、またお仕事を通して大切にされていることは何ですか。

 どの職場でも、法律の専門家として頼られる人になろうと努力しました。今も、法律に関して常に専門知識を深めるのと同時に、その周辺の分野にも反応できるようにアンテナを張っています。

 また、今の仕事では、基本的にひとりで動く弁護士とは違い、チームワークが求められます。現在は消費者庁の長官として、消費者行政のプロである職員たちがそれぞれ最大限に力を発揮できる環境、組織づくりを心がけています。その上で、法律家としてプロであり続け、持続可能な世界の実現のために力を尽くしたいものです。

目の前のやりたいことに一生懸命になれば、自分の道は築ける

――学生に伝えたいメッセージをお聞かせください。

 極々普通の高校生だった私。入学後も、最初は明確な目標もなく「ふわっと」大学に通っていました。しかし、その分柔軟に人の話を聞くことができたので、目の前のやりたいことに一生懸命になりながら自分の道を築くことができました。皆さんも、最初は「ふわっと」していたって不安にならなくて大丈夫。そのうちに少しずつ、自分で考え、選択できるようになっていく。大学はそんな訓練の場でもあります。

 また、新しいことにも恐れず取り組んでほしい。今、キャリアは自分でデザインする時代です。女性が弁護士になり、さらに公務員になるという私が歩んだ道は、当時あまり理解されていませんでしたが、今は責任あるポジションも任されるようになりました。自分の進む道を枠にはめずに挑戦してほしいです。

――早稲田大学に期待することをお聞かせください。

 総合大学として、学問の場として、ポテンシャルの高い場所であり続けてほしいです。私はキャンパスでは、法律を勉強する法律サークルで同学年や先輩と交流し、他の場所でも他学部の学生と話したりして、彼らが本気で取り組んでいる学問や芸術に触れました。授業外で演劇博物館を見学したり、有名な先生の課外講義を聴いたりして、世界水準の研究や作品に触れたことも自分の糧となり、そうして得た教養は大人になった今でも思いがけない場で私を助けてくれています。早稲田には人を成長させてくれる「本物」の材料がゴロゴロと転がっていて、それは大きな魅力だと思っています。今後も多様性をもって学生を成長させてほしいですね。

人権擁護局長時代、2016年4月沖縄国際映画祭のレッドカーペットにて。人権啓発活動中の1枚

弁護士1年目のころ。親しかったアメリカ人同僚の妹が来日、一緒に金華山へ

岡村 和美(おかむら・かずみ)さん/消費者庁長官

1980年早稲田大学法学部卒業。1983年弁護士登録(長島・大野法律事務所)。1988年ハーバード・ロースクール修士。ニューヨーク州の弁護士登録後、1990年からモルガン・スタンレー・ジャパンに勤務。2000年検事任官。法務省、金融庁、最高検察庁を経て2014年7月に法務省人権擁護局長。2016年8月から現職。

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