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ホーム > キャンパスナウ > 2017 盛夏号 第二世紀へのメッセージ

キャンパスナウ

▼2017 盛夏号

第二世紀へのメッセージ

早稲田大学にゆかりのある方に、早稲田の魅力や目指すべき姿を語っていただきます。今年度、株式会社みずほ銀行で史上最年少の頭取となった藤原弘治さんに、今も息づいている早稲田大学での学びや、大学に期待することをお聞きしました。

株式会社みずほ銀行 取締役頭取
藤原 弘治さん
略歴はこちらから

変化を創り出す者が生き残る
私の“新”進化論
溢れるエネルギーで道を切り開いて

藤原 弘治さん/株式会社みずほ銀行 取締役頭取

恩師に学んだビジネスマンとしての生き方

――学生時代はどのようなことを学ばれましたか。

 父が早稲田出身だったこともあり、野球の早慶戦、ラグビーの早明戦は幼少の頃からの家族行事でした。「いつか私も早稲田で学ぶんだ」と強い思いを抱くようになり、自然と早稲田への進学を決めていました。

 学生時代には、故・林文彦先生のゼミに所属して経済学を学びました。そこで身に付けたのは、経済の基礎はもちろん、ビジネスマンとしての生き方でもありました。林先生からいただいた言葉の一つひとつは、今も私の中で生き続け、財産になっています。

 特に、私が普段から意識している言葉が3つあります。ひとつは「自分の悩みは自分しかわからないと思った瞬間、必ず間違った判断をする」。だから、何事も一人で考えず、友人との関わりを大切にせよということです。私がこうして頭取になれたのは周囲のおかげですし、運と縁の賜物だと思っています。つぎに「個性こそ我が命」。文字通り、仕事をする上では個性を磨き、周りに流されずに「自分は今、何のためにこの仕事をしているのか」を大切にして仕事を続けてきました。そして「No Challenge, No Life(挑戦なき人生は歩まない)」。周りの優秀な人と力の差を感じても、劣等感ではなくプライドを持ち、諦めず挑戦し続ける。努力する才能は自分の長所ともいえるかもしれませんね。

――銀行への就職を決めた経緯をお聞かせください。

 土木関係の仕事をしていた父は、私の就職活動にあたって、実は「銀行だけはやめろ」と言っていました。今思えば、目に見えるものを造る土木の仕事と、見えないものを取り扱う銀行の仕事では、追い求めるロマンが違っていたのだと思います。そんなに父が嫌う銀行にはどんな人がいるのかとかえって気になって(笑)、好奇心から入社試験を受けました。選考を通して見えてきたのは、銀行員は「日本の産業を支える」という大きな夢を持っていること。その夢に次第に惹かれ、共感した私は、父の中での銀行のイメージを変えたいと思って入行を決めました。決意を伝えた時、父はしばらく押し黙った後「決めたからには最後までやり抜け」と言ってくれたことを覚えています。

人生のターニングポイント 確かな自信を得た海外経験

――入行後、米国赴任・留学で大学院に2度通われ、MBAまで取得されました。海外でお仕事を続けながら、厳しい道へのチャレンジをされたのはなぜでしょうか。

 海外赴任を希望したのは、学生時代の留学がきっかけでした。3年生の時に1ヵ月間、米国のスタンフォード大学に留学したのですが、米国の壮大さ、世界の多様性に圧倒されましたね。日本の常識が世界で通用しないこともあると気付いてからは、「日本は本当にこのままでいいのか。私もチャンスがあるなら、日本のために役に立ちたい」と思うようになりました。ニューヨークに赴任中、MBA取得に踏み切ったのは、この思いがあったからです。支店勤務と大学院の授業・課題のために、毎日2、3時間しか寝ない過酷な日々が続いても、思いの強さで乗り切ることができました。

――ご自身の経験を踏まえ、海外へ出ることの意味をどのようにお考えですか。

 ニューヨークという当時の金融の最先端の地において英語を駆使しながら仕事をしたこと、さらに働きながら多様なバックグラウンドを抱える人々にも巡り合えた大学院に通ったこと、ふたつの経験に思い切って挑戦したことで、仕事の専門性を高められたし、物事の見方も変わりました。人生のターニングポイントであり、自分自身に確かな自信を得た大切な経験です。海外で暮らすことは、これまでの常識を疑い、日本人としてのアイデンティティー、日本のプレゼンスを考える貴重な機会です。自分の可能性やポテンシャルに気付くこともできるでしょう。しかし、若者にはあまり意味や意義を考えすぎずにチャレンジしてみてほしいと思います。いつだって、一歩踏み出す経験は決して無駄にはなりません。

既成概念を壊し日本の銀行が世界をリードする

――頭取となった今、今後の銀行に必要だと思われることは何でしょうか。

「課題解決のベストパートナー」になることです。さまざまな制度改正によって、銀行免許がなければできない仕事は減っています。しかし日本の銀行には、信用力を生かして国内外をリードし、さまざまな社会課題を解決できるポテンシャルがあります。私は銀行がお客さまと社会にとって有用な存在であり続けるためには、もちろん今まで連続的に積み重ねてきた既存の業務も大切ですが、既成概念を壊し、非連続的なことを始めるエネルギーが求められていると考えています。そのためにも、私は人を育て、組織を鍛え続けていきたい。

 進化論を唱えたダーウィンは「最も強い者でも賢い者でもなく、変化に対応できる者が生き残る」と述べたと言われています。私はこれにならい、藤原“新”進化論として「変化に対応できるだけでなく、自ら変化を創り出す者が生き残る」と提唱していきます。

――早稲田大学に期待することや、学生に期待することをお聞かせください。

 早稲田は自由と可能性に溢れたフィールドで、全ての学生に挑戦と成長の機会を与えてくれる場所。学生時代に人と出会い、社会と接点を持つ中で、自分の環境を生かして挑戦していけば、経験は必ず自分の身になるはずです。早稲田に望むのは、この自由闊達な空気が変わらないこと。そして、非連続の未来を創るエネルギーに満ちた若者を社会に送り出すことです。頼もしい後輩の活躍に期待したいですね。

藤原弘治さん(ふじわら・こうじ)さん/作株式会社みずほ銀行 取締役頭取

1985年早稲田大学商学部卒業。同年、株式会社第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。92年、ニューヨーク支店に赴任中、ニューヨーク大学経営大学院修了(金融学)。みずほホールディングス(当時)創設時の統合準備などを担当し、2004年にはマサチューセッツ工科大学経営大学院修了(経営学)。株式会社みずほフィナンシャルグループ IR部長、同取締役兼執行役常務企画グループ長などを経て、2017年4月より現職。

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