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キャンパスナウ

▼2014 早春号

NEWS REPORT

世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する研究を目指して

「研究の早稲田」から最先端の成果を報告

早大エジプト学研究所チームが岩窟墓を発掘

墓の前室全体は美しい壁画が施されている

 12月29日、エジプト学研究所(所長・近藤二郎文学学術院教授)が、エジプト・アラブ共和国南部のルクソール市対岸のアル=コーカ地区で、色鮮やかな壁画が描かれた保存状態の極めて良い岩窟墓を発見しました。同研究所が2007年に開始して以来、7回目の発掘調査が行われた新王国第18王朝アメンヘテプ3世治世末期の高官ウセルハト墓の調査中の出来事でした。

 この墓は、古代エジプト新王国ラメセス朝時代のもので、被葬者は「ムウト神殿の醸造長」「ムウトの工房の長」の称号を持つコンスウエムヘブであると判明。墓の前室北側には、彼とその妻のムウトエムヘブ、娘のアセトカーの座像があり、前室の壁面には、コンスウエムヘブとその家族がオシリス神など古代エジプトの神々を礼拝する姿、前室の天井の中央には、太陽の船と「太陽神への讃歌」が記され、コンスウエムヘブが礼拝する姿などが鮮やかな色彩で描かれています。今後の調査により、この地域の岩窟墓の造営の歴史や当時の葬送儀礼、埋葬習慣など多くのことが判明することが期待されます。

遺伝情報の調節に働く染色体構造を世界で初めて解明

 胡桃坂仁志理工学術院教授および同研究室大学院生の有村泰宏さんが、木村宏大阪大学准教授、佐藤衛横浜市立大学教授らのグループと共同で、精巣に特異的に存在する遺伝情報の調節に働く染色体構造を世界で初めて解明しました。

 ヒトの全遺伝情報が書き込まれている2メートルもの長大なゲノムDNAは小さく折りたたまれて細胞核内に収納されていますが、必要な遺伝情報の発現には折り畳みの部分的解除が必要です。今回の研究は、ヒストンH2A.Bと呼ばれるタンパク質がその折り畳みをゆるめ、DNAが機能しやすい環境を作っていることを明らかにしたもので、ゲノムDNAの修復・複製・転写のメカニズムを解明するために重要な発見です。加えて、精子形成過程の機構理解にも重要な知見を与えるもので、生殖医療の発展への寄与も期待できる成果であり、Nature PublishingGroupの『Scientific Reports』に掲載されました。

ヒストンH2A.Bを取り込むと折り畳みがゆるむ

水中で細胞の温度を測るレシオ型ナノ温度計を開発

水中で、外部環境に応答せず温度だけを測るナノ温度計

 早稲田バイオサイエンスシンガポール研究所(WABIOS)の鈴木団主任研究員、理工学術院の武岡真司教授らのグループが、水中で触れることなく細胞の中の温度を測定する「レシオ型ナノ温度計」の開発に成功しました。2012年、細胞内の局所的かつわずかな温度変化の測定を可能にする細胞内を歩くナノ温度計の開発に続く研究成果です。

 これまでの蛍光強度を測るナノ温度計では、対象の温度変化のみの測定でしたが、今回の開発では細胞が動いても測定することが可能となりました。

 今回の成果は米国化学会(ACS)発行のナノテクノロジー専門誌『ACS Nano』に掲載されました。

雄の攻撃性を制御する仕組みを解明

 教育・総合科学学術院の筒井和義教授・産賀崇由研究助手らのグループは、雄の攻撃性を生殖抑制ホルモンが制御する仕組みを解明し、英オンライン科学誌『Nature Communications』に発表しました。

 筒井教授らは、その存在の予想から約30年見つからなかった新たな生殖抑制ホルモン(GnIH)を2000年に発見し、2012年にはGnIHが動物の攻撃性を抑制することを発表。今回は、攻撃性の高いウズラの雄の脳にGnIHや女性ホルモンを投与するなどの実験を実施し、GnIHが女性ホルモンを合成する神経細胞に作用して女性ホルモン合成酵素を活性化し、その結果、女性ホルモンの合成が著しく高まることにより雄の攻撃性が抑制される、という制御の仕組みを解明したものです。また攻撃性は女性ホルモンが微量だと増し、大量になると抑制されることも明らかにしました。

 今後、人間についても同じ仕組みが存在することがわかれば、人間の攻撃性を安定させる方法の開発が可能となり、社会における平和や秩序に貢献することが期待されます。

ウズラの攻撃行動の10分間における回数(バーはともに①通常、②GnIH発現抑制、③②にGnIH投与、の状態)

超音波診断ロボットの遠隔操作実験を実施

遠隔地の医師がタッチパネルを用いてプローブ(探触子)を操作すると、左のエコー映像と同じものが医師の手元に映し出される

 岩田浩康理工学術院准教授らが1月29日、超音波診断ロボットを利用し、遠隔地からの妊婦への超音波診断を想定した実証実験を公開しました。

 機材の重さなど、妊婦への安全面の課題で実用化されていない遠隔超音波診断ですが、同准教授らの装置は構造面の工夫で課題を解決。エコー映像の取得に要する接触力以外の荷重が腹部にかからなくなり、妊婦の身体への負担を大幅に低減しました。

 実験では、超音波に対して人体に似た特性を持つ素材に装着したロボット本体を配置した神奈川県産業技術センター(海老名市)と、医師のいる神奈川県立こども医療センター(横浜市)とを通信で接続し、映像・音声・ロボットへのコマンドを双方でやりとりしながら今後の課題を明確化。緊急の妊婦健診の時間短縮をはじめ、僻地や在宅での診察などさまざまな状況での実用化を目指しています。

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