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ホーム > キャンパスナウ > 2013 早春号  SPECIAL REPORT

キャンパスナウ

▼2013 早春号

SPECIAL REPORT

地域で活躍するグローバルリーダーを育てる

大学と地域の幸せな関係

創立150周年となる2032年に早稲田のあるべき姿を示した中長期計画“Waseda Vision 150”。ここで掲げられるグローバルリーダーとは、海外で活躍する人材だけではなく、グローバルな視点や感覚をもって地元に戻って地域のために活躍する人材という意味も込められています。こうしたグローバルリーダーを育成することで大学と地域の連携は一層深まるでしょう。よりよい地球の未来を築くため、早稲田にできることは何かを探ります。

「地域×早稲田×学生」連携の取り組み

早稲田大学では課外活動の一環として、社会連携推進室とWAVOCを中心に、地域について学ぶ機会を提供しています。プロジェクトの一部を紹介します。

社会連携推進室

INTERVIEW
大学と地域連携について

根本 進 教務部事務部長、社会連携推進室長

 大学は広く社会に開かれた存在であり、決して高等学校からの進学者だけのものではありません。人材育成の窓はいつも地域や社会に開かれてきました。しかし、文系の学術知識が社会に貢献できる可能性が多くある一方で、研究分野に比べ教育分野の産学連携が盛り上がりに欠けてきたのが日本の現状です。

 早稲田大学はその長い歴史の中で、常に社会連携における教育を試みてきました。會津八一による昭和初期の奈良実習もその草分け的活動の一つです。2006年に発足した社会連携推進室は、この伝統を受け継ぎ、社会と大学とが共に学生を育てる場を創りだすという目的のもと、両者の架け橋として重要な役割を担っていると言えます。また、2007年発足の「プロフェッショナルズ・ワークショップ」も実践型連携教育の一例で、企業や自治体と大学とが協働で人材育成を行うという取り組みも積極的に進めています。木島平村のプロジェクトは今年で4年目を迎えました。

 日本各地で過疎化が進み限界集落が深刻化している今、早稲田のような都市型の総合大学に通う学生にとって、地域の方々に触れ現実を知ることは、何にも替えがたい“学び”の機会です。フィールドワークと大学という、実体験と理論学習の融合により、学びの枠を広げつつ本質に迫りながら、学問の必要性を再認識することができるからです。

 近年“グローバル人材”がクローズアップされていますが、グローバル人材育成に欠かせない要因の一つに「ローカルな視点」があります。他国の文化や考え方に触れた時に、それまで“いかに自分が生まれ育った地域を見てこなかったか。日本人としてのアイデンティティや特徴を理解していなかったか”に気づく人は多いでしょう。グローバルとはリージョナルの集合体に過ぎないのです。

 また、近頃は学生が自主的に地域とつながる活動も盛んで、このような学生たちの「社会/地域のために」と思う純粋な気持ちをサポートすることも、社会連携推進室の守備範囲に入る気がしています。“集まり散じて人は変われど”社会とつながり、地域を大切にする人材を育てる大学でありたいと考えています。

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PICK UP

佐賀県×早稲田×学生
佐賀学生稲門会プロジェクト

 大隈重信を縁とした連携強化のため、佐賀県と早稲田大学は2006年に協定を結び、研究・教育・人材育成など、さまざまな分野で連携しています。2012年度は、同県出身の在学生30名で組織された公認サークル「佐賀学生稲門会」と連携し、漁業体験プログラムと佐賀城築城400年記念シンポジウムへの参加という2つの連携事業を行いました。

 漁業体験プログラムでは、佐賀の漁業(海苔)の現状や有明海の自然環境について漁業者と意見交換を行い、消費拡大策を探りました。また、シンポジウムでは佐賀をより魅力的なまちにするための活動を提案。佐賀城周辺の調査や、住民との意見交換などを通して、学生は多くの学びを得ました。

INTERVIEW

人を通じて視野を広げ「誇れる故郷」を感じてほしい

社会連携推進室(佐賀県庁より派遣)
大串晃平さん

 今回のプロジェクトは、学生が佐賀のまちで暮らす多くの人に直接会うことで、「人」を知り、「本当の故郷」を肌で感じてほしいという狙いで企画しました。「地域を知る」という目標はその地域の「人を知る」という要素を外しては達成できません。こういった考えで企画を進め、学生と行動する中で、人を通して故郷を改めて見る過程や、その地域が抱える課題を同じ目線で考える過程から故郷への「誇り」が生まれてくるのだと実感することができました。

 実際に、現場で学生を本気にさせたのは、熱心に現状や課題を説明していただいた地域の方々の姿勢でした。私は、学生の意見に対して「それが解決策なら、なぜそうしていないのだろう」と、常に相手の立場に立って考える質問を繰り返しました。しかし、そう言いながらも、私自身が同じ目線に立つことで初めて知った“佐賀”という地域の深さに気づかされていました。

 私は今後、佐賀に戻るわけですが、このプロジェクトによって得た経験を元に、深く地域に関わり、「人」を中心とした地域の魅力に触れ、それを発信し続けたいと思います。

地元佐賀の魅力を再認識することができた

佐賀学生稲門会 幹事長
井口航太さん(人間科学部4年)

 「同郷を基盤とした気軽な交流の場」として立ち上げた佐賀学生稲門会。大串さんとの協働により地元佐賀への貢献に幅がでました。佐賀城築城400年記念シンポジウムでの提案を検討するため県庁職員の方々と議論したときのこと、私自身「これで良いじゃないか」と思った意見に対して、職員の方々は何度も吟味し「本当にこれでいいのか」と考え続けていらっしゃいました。その姿勢から、実社会では多種多様な価値観や考え方を持った人に自分の意見を論理的に伝えることが重要だと痛感しました。

 普段は気づかなくても、視点を変えると地域の資源はたくさん見えてきます。以前は佐賀の魅力をうまく伝えられず、佐賀出身であることをアピールするのにためらいがありましたが、プロジェクトに参加したことで佐賀の良さを再認識。全国で圧倒的なシェアを誇る佐賀海苔、幕末から明治にかけて活躍した偉人など。何より大隈重信侯も佐賀出身です! 今は“佐賀県観光大使”のつもりで、日々生活をしています。佐賀は素晴らしいところですよ!

平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

PICK UP

宮城県気仙沼市×校友×学生×早稲田
気仙沼の復興ボランティア関連プロジェクト

 WAVOCは、学生・教職員・校友の総合力・多様な力で長期的に東日本大震災の復興支援に関わることが大切だと考え、これまで延べ26の被災市町村へ学生を中心に3,336名のボランティアを派遣しました(2013年1月末現在)。特に気仙沼市では現地校友との連携を図り、さまざまなプロジェクトを展開。泥かき・瓦礫撤去のボランティア派遣とともに、震災関連科目の提供を行いました。また、チャリティイベントやシンポジウムなども開催。学生が、ボランティア現場での経験から気づいた課題を社会の中に位置づける力を養うことができると考えています。

 多くの活動が地域の信頼につながり、市の刊行する報告書『記録―東日本大震災・被災から前進するために』の翻訳ボランティアを企画。海外への発信に尽力しましたし、同報告書は今後心配される世界各地での大震災に向けた防災教育の一つの指針として重要なツールとなると期待されています。“オールワセダ”の協力体制でこれらの活動が実現しました。

作業終了後の一コマ。中央は本学校友高橋正樹氏

気仙沼市観光戦略会議で学生のプレゼンテーションの様子

小野記念講堂で被災地の“いま”を知るためのシンポジウムを開催

191ページに及ぶ報告書。表紙は龍の姿となった岩井崎の松

早稲田大学周辺商店連合会のかつお祭りで早稲田と気仙沼を盛り上げた

INTERVIEW

人とのつながりが人間的資質を養う

気仙沼市教育委員会
白幡勝美 教育長

 今回翻訳をお願いした「報告書」は、被災直後の学校の様子や児童の学びの有り様を記しています。そのため行間に潜む思いを汲み取ってほしい、それが可能なのは被災直後から瓦礫の撤去や学び支援など幅広く活動していただいた早稲田の学生以外にないと考えました。同時に、学生の皆さんには翻訳を通して学校現場での対応を改めて理解いただき、災害と災害に立ち向かった多くの人々の有り様を後世に伝えてほしいとの願いもありました。地域に出て人と関わることは、人間的資質を養い、学びの新たな方向性が得られます。本市では持続発展教育を開始して10年になります。ぜひ学生の皆さんに飛び込んでいただきたいです。本市のリーダーの多くが実は早稲田の卒業生であることも、地域における皆さんの活躍の意義を一層大きくしてくれているでしょう。

 支援の形は次第に変化し、創造的復興に本質的に関わる知的要素の高い支援が必要になっています。早稲田との連携は、本市にこれまで以上の誇りと、さまざまな分野で新しい活力をもたらすものと期待しています。

地域と自分とのつながりを意識するようになった

下元翔太郎さん
(法学部4年)

 以前から社会問題に関心があった私は、東日本大震災後にWAVOC東日本大震災復興支援プロジェクトの活動を始めました。学生チームを立ち上げ、仮設住宅・観光案内所・高校を拠点とした継続的な支援を行っています。今は気仙沼地域の復興に貢献したいという思いに加え、気仙沼の人々と早稲田、自分とのつながりへの関心が強まっています。今後も、後輩と共に試行錯誤しながら、何十年経っても校友としてボランティアや交流に携わり続けたいと考えています。

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