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文化

羽鳥 隆英(はとり・たかふさ) 略歴はこちらから

企画展『寄らば斬るぞ! 新国劇と剣劇の世界』に向けて

羽鳥 隆英/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助手

 20世紀、それは剣劇(チャンバラ)の世紀でした。剣劇はジャンルやメディアを超え、ジェンダーやイデオロギーを超え、さらには国境を超え、人々を熱狂の渦に巻き込みました。今秋10月1日(水)より来春2月4日(水)まで、早稲田大学演劇博物館2階を会場に開催される企画展『寄らば斬るぞ! 新国劇と剣劇の世界』(監修:児玉竜一副館長)では、主に演劇と映画に焦点を絞りつつ、20世紀の日本芸能史における剣劇の意義を多角的に検証します。

 今回の企画展で特に着目するのが、俳優の澤田正二郎(1892年‐1929年)が同志とともに創立し、早稲田大学との縁も深い劇団「新国劇」(1917年‐87年)です。演劇博物館設立の立役者である坪内逍遙(1859年‐1935年)の薫陶を受けた澤田は、新国劇を旗揚げするや、翻訳劇や歴史劇、宗教劇や歌舞伎劇など、多彩な演目に果敢に挑戦し、またたく間に劇壇の風雲児の座へと上り詰めました。特に『国定忠治』や『月形半平太』(ともに行友李風・作)などの剣劇は、迫真的な殺陣の魅力や人口に膾炙した名台詞の数々とともに、新国劇の代名詞とも呼ぶべき演目に成長しました。しかし1929年、公演中に発病した澤田は満36歳の若さで鬼籍に入ります。その後、劇団の命運を託された若手俳優の辰巳柳太郎(1905年‐89年)と島田正吾(1905年‐2004年)の活躍により、新国劇は新たな黄金期を迎え、創立70周年に当たる1987年に解散を余儀なくされるまで、様々な名作を世に送り出しました。映画やテレビでも活躍し、先年惜しまれつつ物故した緒形拳(1937年‐2008年)が、戦後の新国劇で俳優人生を歩み出したのもよく知られるところです。

 10月1日の初日を約3ヶ月後に控え、演劇博物館では現在、準備の最終段階を迎えつつあります。今回も色々な試みに挑戦しました。一例を挙げれば、世界的な映画史家である小松弘氏(早稲田大学教授)に貴重な映像をご提供いただき、澤田以下、初期の新国劇座員が出演した無声映画『国定忠治』(牧野省三監督、1924年)をデジタル化しました。また、今秋11月19日(水)に大隈講堂大講堂で催される演劇講座にもご期待いただければ幸いです。上述の通り、新国劇は1987年に終焉を迎えました。しかし、澤田以来の劇団の精神を継承すべく、俳優の笠原章氏(1969年新国劇入団)を中心に結成された劇団「若獅子」が公演活動を精力的に継続中です。すでに5月26日(月)の第77回逍遙祭では、笠原氏を講師にお迎えし、恩師である辰巳・島田の想い出を中心にお話しいただくとともに、澤田から辰巳へ、辰巳から笠原氏へと受け継がれた『国定忠治』の名台詞「赤城の山も今夜を限り…」をご披露いただきました。11月の演劇講座では笠原氏と同志の皆様を中心に、『国定忠治』(赤城山より小松原まで)と殺陣の芸術性を追求した『殺陣田村』(澤田正二郎・立案)という新国劇の財産演目を本格的に上演していただきます。晩秋の一日、日本演劇史に残る貴重な機会にご参集ください。

企画展『寄らば斬るぞ! 新国劇と剣劇の世界』
会期:
2014年10月1日(水)‐2015年2月4日(水)
会場:
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 企画展示室Ⅰ・Ⅱ
演劇講座『極付国定忠治』『殺陣田村』公演
日時:
2014年11月19日(水)15時00分‐18時00分(14時00分開場)
会場:
早稲田大学 大隈講堂大講堂(定員1000名)
出演:
笠原章ほか
入場:
無料(事前申込制)

中央:澤田正二郎(映画『国定忠治』国定忠治役[館蔵])

笠原章(『極付国定忠治』国定忠治役)

羽鳥 隆英(はとり・たかふさ)/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助手

1982年生。専門:映画学。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。共著に『映画のなかの社会/社会のなかの映画』(ミネルヴァ書房、2011年)、論文に「映画=テレビ移行期の映画スターに見る脱スタジオ・システム的共闘」(『演劇研究』、2014年)など。

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