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滑走路が回転!? 遅延ゼロの空港を ― エアバス「Fly Your Ideas 2017」出場

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菊池 航世/基幹理工学部 4年

人類の未知の領域にこれからもアタック、チャレンジしていきたい

 世界中の大学生を対象に、航空機メーカー「エアバス社」が未来の航空輸送を描く斬新なアイデアを募集するコンテスト「Fly Your Ideas(※)」。2年おきに開催される同コンテストにおいて、国内大学で唯一第2ラウンドに進出を果たしたのが早稲田大学の2チーム。今回は学部生のみで構成された「Rotating Airport(ローテティング・エアポート)」をチームリーダーとして率いた菊池航世さんに、コンテストのことや将来の目標について聞きました。

※今回5回目となる「Fly Your Ideas 2017」には世界89カ国から356チーム、5,499人が応募。第2ラウンド(準決勝)に進出したのは50チーム。その中からフランス・トゥールーズで行われた決勝ラウンドには5チームのみ進める狭き門。残念ながら早稲田大学の2チームは進出できなかった。

――「Fly Your Ideas」に応募したきっかけと提案内容について教えてください。

回転する空港のプロトタイプ

 3年生のときに航空管制や航空機の翼型の研究を行っている手塚研究室を選んだのですが、研究室での自分の課題に加えて、「こっちもやってみたら?」と指導教員の手塚亜聖先生(理工学術院准教授)に勧められたのがきっかけで、研究室の同期とチームを構成し、チャレンジすることにしました。

 メンバーと考えたアイデアは「Rotating Airport(ローテティング・エアポート)」です。飛行機は天候による影響を受けやすく、遅延することが多い乗り物です。また、電車のような振替輸送ができないため、遅延したときのダメージが大きく、その割合が下がれば安全性や利便性の向上、航空会社の信頼性を高めることができます。そのために僕たちは、遅延の大きな要因となっている“風”に着目しました。具体的には、横風が吹くと離着陸に影響するので、風の向きに合わせて滑走路がディスクレコードのように真ん中を中心に回転し、常に風向きが追い風となるような、飛行機の離着陸に影響を与える横風が吹かないシステムを考えました。航空管制は自分の研究対象ではないのですが、このアイデアだったら新しい航空管制の方法やシステム、空港の在り方が構築できるのではないだろうかと取り組みました。

――苦労したのはどんな部分でしょうか?

 技術的な部分、知識的な部分もありますが、一番苦労したのは英語です。インプットもアウトプットも全て自分の母国語ではない英語で行わなければいけないことが大変でした。日本語だったら簡単に伝えられるのに…と思うこともしばしばありましたし、なかなかうまく英語で説明できず、もどかしい思いをすることもありました。予選通過チームにはエアバスからフランス人の技術者がアドバイザーとして派遣され、アドバイスを受けながら実験などを進めて検証をしていくのですが、アドバイザーの話す英語はスピードも難易度も高くて、対応するのが大変でした。今回の経験を踏まえて、英語できちんと自分の考えを伝えられるようになることが必要だと思い、TOEFLの勉強など英語の勉強に力を入れるようになりました。

――「Fly Your Ideas」に出場してどんなことを学びましたか?

 このコンテストに参加して学んだことは、何か新しいものをつくることの楽しさ、そして難しさです。既存のものに何かを付け加えることとは違い、試作していく過程で思わぬトラブルが発生し、困ってしまうことが何度かありました。ですが、「こんなことができたらいいな」ということを試行錯誤を重ね現実化していくことがとても面白く、チームのみんなで協力して解決に向けて努力していくことの楽しさを実感しました。

 僕たちのチームは残念ながら決勝ラウンドにはたどり着くことができませんでした。それは、アイデアを現実化する部分に課題があったのが一番の敗因だったと分析しています。本戦に進んだ5チームのアイデアは、どれも奇抜でしたが実際に導入できそうな段階まで練られたアイデアでしたし、世界の航空業界でのニーズなどを十分に分析し、盛り込まれていたように思います。アイデアを実現化するためのロードマップもしっかり考えられており、すごいなと感じました。自分たちとの違いはそこだったと思いますし、これから自分の研究を進めていく中で、参考にしていきたいと思っています。

滑走路が風の向きに合わせて回転する空港のイメージ図

――大学卒業後の進路について教えてください。

 小さなころから飛行機や機械などが好きで、博物館などによく見学に行っていました。高校に入学し、物理や化学などの授業を通して自分の好きなものがどうやって動くのか、その動作原理について考えるようになりました。そして、大学に入学し基礎を学び、3年生で研究室に配属されてからは、研究者がどうやって研究を行うのか、どうすることで新しい技術やシステムが生み出せるのか、プロセスが分かるようになってきました。また、今回のコンテストを通じて、そのプロセスに対する理解が深まったような気がしています。今は、翼型のCFD(数値流体力学)解析により、性能の良い翼型の研究を行っています。このコンテストで得られた経験を生かして、大学院に進み、さらに研究を進めていきたいと思っています。

――将来の目標を聞かせてください。

 中学生のころ、小惑星探査機「はやぶさ」が何度もトラブルに見舞われながらもプロジェクトチームの懸命な努力によって何とか地球へ帰還した話を聞き、自分も将来は宇宙開発に携わりたいと考えるようになりました。ロケットや衛星の打ち上げなど、日本の宇宙システム事業は事業費の規模から考えても未発達の分野で、まだまだ知られていない宇宙のことを解き明かせるようになりたいと思っています。その中でも、地球から惑星などに飛ばす宇宙探査機のエンジン開発に携わるのが自分の目標です。そのためには、これからもいろいろなことを学んでいかないといけないと思っています。

(提供:早稲田ウィークリー

菊池 航世(きくち・こうせい)/基幹理工学部 4年

【プロフィール】
 茨城県出身。県立土浦第一高等学校卒業。航空や機械に興味を持っていたが、大学受験の時点で航空に絞り込んでいいのかという迷いがあり、入学前に学科を選ばず1年間基礎を学び、2年進級時に学科を選ぶ早稲田大学基幹理工学部のシステム(学系別入試制度)に魅力を感じて入学を決断。大学入学後1年間学ぶ中で、機械や航空に関することを学びたいと確信し、2年進級時に機械科学・航空学科を選択。研究中心の充実した毎日を送っている。

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