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国際商取引紛争の解決 「模擬仲裁」で学んだこと

略歴はこちらから

丸山 幹久/法学部 3年

「大事なことは、意思を押し通すことではない」

 国際商取引における紛争で、実際に起きうる事例を想定し、仲裁人に紛争当事者として自らの主張が認められるよう弁論する「模擬仲裁日本大会」(国際商取引学会主催)。今年3月4日(土)に同志社大学で行われた第10回大会には、全国の大学から64名が参加し、国際取引法の久保田隆ゼミから出場した丸山幹久さんが、最優秀弁論者(日本語の部)に選ばれました。チームが1位になれなかったため、受賞したときは素直に喜べなかったと言う丸山さん。ゼミの仲間と一緒に戦った大会への思いや、将来の話など聞きました。

――「模擬仲裁日本大会」について教えてください。

一緒に戦ったメンバーと。最前列中央が丸山さん(写真提供:丸山幹久)

 仲裁(※)というと、日本ではあまりなじみがありませんが、欧米では主流の国際商取引における紛争解決制度です。大会では、課題として約60ページの英文資料を事前に渡され、自分たちの主張や、相手方の主張に対する反論をまとめた書面を作成。当日は、4人編成のチームで原告(申立人)・被告(被申立人)に分かれ、仲裁人の前で自分たちの弁論を展開しました。

 今回の課題は、航空機の部品であるファンブレードの取引についてでした。僕は被申立人の担当で、「支払いは、契約締結時と代金支払時のどちらの為替レートで行われるべきか」「課税は売り主、買い主のどちらが負担するべきか」という2点が争点となりました。

 資料が乏しく、英語の文献を探さなければならなかったので、法学学術院の読書室や国会図書館まで探しに行きました。また、英語で書かれた課題や判例を読解し、事案や論点を分析するのも大変で、ゼミに入った2年生の後期から半年間は、仲間と一緒に教室にこもって頑張りました。特に、僕は英語が苦手なので、CNNニュースをまとめた本を毎月買い、電子辞書を片手に勉強したりもしました。

※)仲裁は、裁判と並ぶ強制的紛争解決手段で、自主的に紛争を解決することを目的とする制度。裁判では、当事者が裁判官を選ぶ権利はないが、仲裁の場合、当事者がその事案に精通した法律家を仲裁人として選ぶことができる。

――最優秀弁論者に選ばれたのは、どのようなところが評価されたのでしょうか。

練習大会で訪れたニューヨークにて。左から3番目が丸山さん(写真提供:丸山幹久)

 仲裁人との対話を大事にして弁論を進めたことだと思います。日本大会の数日前に、米国ニューヨークの練習大会に出場したのですが、英語が得意ではないこともあり、作った原稿を暗記して、自分の意見を突き通すことに専念しました。仲裁人役の方は、米国で活躍されている弁護士や仲裁人の方なのですが、終わった後に「仲裁というのは自分の意見を通すことではない。もっと相手との対話を重視しなさい」とフィードバックされました。確かに、弁論がどんなに良くても、相手が納得しなければ意味がありません。日本大会では、僕は日本語の部に出場しましたが、準備した内容より、仲裁人とコミュニケーションを取ることに重きを置きました。

――表彰式で最優秀弁論者として名前を呼ばれたときは、どんな気持ちでしたか。

大会で使用した資料

 最大の目標は、チームとして日本一になることでした。でも、僕たちのチーム(日本語の部)は2位でした。そのことがすごくショックで、全員が落胆しているときに最優秀弁論者として自分の名前が呼ばれ…。もちろんうれしかったのですが、チームの目標を果たせなかったことの方が悔しくて、素直に喜べませんでした。

 大会では個の力も大事ですが、それよりもチーム力を見られます。例えば、仲裁人の質問に戸惑ったら、他のメンバーが書面の該当箇所をメモに書いて渡したり、一人15分の持ち時間内で弁論を収めることも大きな評価となるので、タイムキーパー役のメンバーもいます。僕たちは1位になるためにずっと頑張ってきたので、チームとしての勝利にこだわっていました。

――ゼミの仲間と良い関係を築いているのですね。ところで久保田ゼミを選んだのはなぜですか。

 高校生のときから法学部に入ることは決めていましたが、僕は民間企業に就職したいと思っているので、判例やその解釈より、もっと実践的なことを勉強したいと考えていました。久保田先生は、日本銀行で実務経験を積まれた方なので、先生の話から得るものがたくさんあると思いました。毎年模擬仲裁の大会に出場していることにも興味を持ちました。それから、先生や先輩の雰囲気がとても明るいところにも引かれました。

 僕は高校のときに軟式野球部に所属していて、練習がつらくても、メンバーと同じベクトルを持って、一体感を抱きながら頑張るのがすごく楽しくて好きでした。実際にゼミに入り、仲間と信頼関係を築いて一つの目標に向かって頑張ることは、部活と同じ。勉強でも楽しめるということが分かりました。

――今後の目標を教えてください。

 今回の大会を経験して、将来は大きなプロジェクトチームに関わりたい、という気持ちが大きくなりました。まだ業界は決めていませんが、大学で学んだ知識を生かして、仲間と一緒に社会に貢献したいと考えています。抽象的な言い方ですが、国民の暮らしを豊かにすることを軸に仕事を選んでいきたいです。

 ゼミでは、今年の11月に3、4年生で「大学対抗交渉コンペティション」に出場します。このところ入賞から遠ざかっている大会なので、今年はぜひ入賞したいですし、もちろん優勝を狙いたいです。その上で、個人賞も取りたいですね。

昨年秋に行われたゼミの新歓パーティーで。最前列中央が久保田先生。丸山さんは最前列右から3番目(写真提供:丸山幹久)

撮影=商学部 5年 笹津敏暉

(提供:早稲田ウィークリー

丸山 幹久(まるやま・みきひさ)/法学部 3年

【プロフィール】
 東京都出身。早稲田大学高等学院卒業。高校時代は軟式野球部に所属。現在は友人とチームを作り、練習している。体育の授業をきっかけにゴルフも始めた。「大学では法律ばかり勉強していますが、一番楽しいのはゼミ」と話す。今年は、秋学期からゼミに入る2年生の採用も担当した。

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