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第17回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」授賞作品決定

 10月27日、第17回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」最終選考会を行い、下記の通り授賞作品を決定しました。後日贈呈式を開催します。

 早稲田大学は、建学以来多くの優れた人材を言論、ジャーナリズムの世界に送り出してきました。先人たちの伝統を受け継ぎ、この時代の大きな転換期に自由な言論の環境を作り出すこと、言論の場で高い理想を掲げて公正な論戦を展開する人材を輩出することは、時代を超えた本学の使命であり、責務でもあります。

 「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」は、このような背景のもと、社会的使命・責任を自覚した言論人の育成と、自由かつ開かれた環境の形成への寄与を目的として2000年に創設され、翌2001年より毎年、広く社会文化と公共の利益に貢献したジャーナリスト個人の活動を発掘、顕彰してきたものです。

 大賞受賞者には正賞(賞状)と副賞(記念メダル)および賞金50万円が、奨励賞受賞者には正賞(賞状)と副賞(記念メダル)および賞金10万円が贈られます。また受賞者には、ジャーナリストを志す本学学生のための記念講座に出講いただく予定です。

第17回(2017年度)
公共奉仕部門 大賞
受賞者名
NHKスペシャル「ある文民警察官の死」取材班 代表 三村 忠史(日本放送協会 大型企画開発センター チーフ・プロデューサー)
受賞作品名
NHKスペシャル「ある文民警察官の死 ~カンボジアPKO 23年目の告白~」
発表媒体名
NHK総合テレビ
発表年月日(期間)
2016年8月13日
授賞理由
カンボジアPKOに派遣された日本の文民警察官が武装勢力に銃撃されて死んだ(1993年5月4日)。停戦合意が成立しており、危険はないはずだった。何があったのか。長い歳月が流れ、沈黙を守っていた隊員たちが重い口を開き始めた。現地の宿舎は電気も通信手段もない小さな家。武器は持たされず、武装解除を拒否するポル・ポト派の襲撃に脅えながらの日々。事件は起こるべくして起きた。しかし、プノンペンの国連当局は「正体不明の武装勢力の犯行」と言うだけで、日本政府も「停戦合意は崩れていない」との立場を変えなかった。「国際貢献」の理想と現実、国連や政府の「組織の論理」と個人の運命…。取材班は、多くの資料と関係者の証言を集めて、限りなく「真実」に近づいた。殉職した若い警察官への鎮魂の記録でもある。(秋山耿太郎)
受賞者コメント
集団的自衛権の行使容認など、戦後日本の安全保障政策が大きく転換する中で、日本の国際貢献とは何かを考察したいと思いながら制作したのがこの番組です。フェイクニュースがはびこる昨今の情勢の中で、事実とは何か、事実を伝えていくことは何かを突き詰めたこの番組が評価されたとしたならば、望外の喜びです。
草の根民主主義部門 大賞
受賞者氏名
「新 移民時代」取材班 代表 坂本 信博(西日本新聞社編集局社会部デスク兼遊軍キャップ)
受賞作品名
「新 移民時代」
発表媒体名
西日本新聞
発表年月日(期間)
2016年12月7日~現在継続中
授賞理由
コンビニ、飲食店、語学学校、工場に外国人がいる。漁港や畑や介護施設にもいる。私たちのまわりに若い外国人の姿が増えたことは、誰もが気づいている。だが、彼や彼女たちはどこから、どんな経緯できたのか、日本でどういう暮らしをしているのか、私たちはほとんど知らない。本作品は彼らが学び、働き、暮らしている現場だけでなく、出身国の送り出し機関まで取材し、その荒んだ実情を次々に明らかにしていく。根本にあるのは、異文化に不寛容なまま、3K仕事の人手不足を補うため、「留学生30万人」のかけ声の下、低賃金労働力だけを集めようとする日本政府の政策である。「労働力を受け入れたつもりだったが、来たのは人間だった」。私たちの側には、彼らを人間として見、人間としてつきあう準備がまったくできていない。そして、この多様性を拒絶し、周縁に押しやって、見て見ぬ振りをする姿勢自体が、この国の経済や政治や文化が活力を取りもどす機会を失わせているのではないか、という指摘は鋭い。(吉岡忍)
受賞者コメント
途上国からの留学生や技能実習生が事実上の労働移民として日本を支える現実。定住外国人を生活者と捉えない「移民ネグレクト」の国策。アジア各国との最前線に根差す九州の新聞として、足元の移民問題を追いました。受賞を励みに、見えにくいものに目を凝らし、小さな声に耳を澄まして社会に伝える責任を果たしていきます。
文化貢献部門 大賞
受賞者氏名
林 典子
受賞作品名
『ヤズディの祈り』
発表媒体名
書籍(赤々舎出版)
発表年月日(期間)
2016年12月31日
授賞理由
イラクのシンガル山に住むヤズディと呼ばれる人々は、異教徒としてIS(ダーシュ)による凄まじい殺戮と暴行にさらされた。林典子さんの『ヤズディの祈り』は、この悲劇の人々を、どこまでも敬意といたわりの心をこめて記録し続けた作品だ。いわゆる戦争写真の激しさは無いが、写真の静けさが、沈黙の中の怒りと無念さを伝えている。迫害のゆえに顔をさらせない幾人もの女性は、逆光の光とシャドウの中で、あるいはにじむ光の中で匿名性を貫く。林さんの4年前の作品「キルギスの誘拐結婚」は、世界最大のフォトジャーナリズム祭VISAで、世界の主だったメディアの編集長やフォトエディターたち審査員全員によって、金賞に推された。すぐれたフォトジャーナリストの仕事というのはこういうものだと、全員の意見が一致した。そして『ヤズディの祈り』は、さらに研ぎ澄まされた表現力をまとって現れた。この作品は、日本で長く不在とされた世界的レベルのフォトジャーナリストの登場を予感させるできごとであり、この作家の大賞受賞が、それを後押しする役割を担うなら喜ばしいと思う。(広河隆一)
受賞者コメント
受賞をとても光栄に思います。ヤズディの悲劇を速報的なニュース報道としてではなく、故郷を失い世界各地に散ることになった小さな共同体であるヤズディ一人ひとりの存在や個人の記憶の欠片、彼らに残されたものを記録し残したいと思い、取材をしてきました。彼らの日常は今も日々変化しています。今回の受賞を励みに、これからも取材を続けていきたいと思います。
公共奉仕部門 奨励賞
受賞者氏名
「枯れ葉剤を浴びた島2」取材班 代表 島袋 夏子(琉球朝日放送 記者)
受賞作品名
「枯れ葉剤を浴びた島2 ~ドラム缶が語る終わらない戦争~」
発表媒体名
琉球朝日放送
発表年月日(期間)
2016年4月25日
授賞理由
2013年6月、嘉手納基地に近い市民サッカー場の地中から発掘されたドラム缶には、ベトナム戦争時に枯葉剤に用いられた猛毒性ダイオキシンが残留していた。本番組は、この一件から米軍基地問題の根深さに迫った。「戦争は一度始めたら終わらない」という番組内の言葉が重く印象に残る。クラウセヴィッツ流の政治手段としての戦争が終わりを迎えた後も、戦争の技術は人々を痛めつけ続ける。新興の地方局でありながら海外取材を含めて本格的な調査報道を敢行した点は大いに評価したい。報道すべき問題は、財力豊富な報道機関のお膝元だけに存在するわけではもちろんない。地域の事情に精通した地元メディアだからこそ深められる取材もあるだろう。迷惑施設を特定地域に押しつけて済ませるNIMBY(Not In My Backyard)気分を乗り越える議論の扉を開く報道が、地方メディアには求められている。今後への期待を込めて奨励賞に値すると判断した。(武田徹)
受賞者コメント
返還軍用地の土壌汚染問題は、ずっと後回しにされてきました。沖縄の人たちは毎日のように起きる米軍絡みの事件事故に振り回され、足元を見つめる余裕がなかったのです。難解な調査報告書を読むのには苦労しました。しかし、わからないままでいることは、何より悔しいことだと思いました。今後も地道に取材を続けたいと思います。
最終候補作品

※応募受付順

【候補者】
「精神障害とともに」取材班 代表 小田 裕徳(南日本新聞社編集局報道本部長)
【候補作品】
「精神障害とともに」
【発表媒体】
南日本新聞
【候補者】
奥山 俊宏(朝日新聞社報道局編集委員)
【候補作品】
『秘密解除 ロッキード事件 ~田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか~』
【発表媒体】
書籍(岩波書店)
【候補者】
アーサー・ビナード
【候補作品】
『知らなかった、ぼくらの戦争』
【発表媒体】
書籍(小学館)
【候補者】
FACTA編集部
【候補作品】
『東芝 大裏面史』
【発表媒体】
書籍(文藝春秋)
【候補者】
BuzzFeed Japan WELQ取材班 代表 古田 大輔
【候補作品】
「DeNAが休止した『WELQ』などメディアと信頼性に関わる一連の報道」
【発表媒体】
BuzzFeed Japan
【候補者】
「水俣病60年」取材班 代表 石貫 謹也(熊本日日新聞社会部編集委員)
【候補作品】
「水俣病60年」
【発表媒体】
熊本日日新聞
【候補者】
乗松 優(スポーツ社会学者・関東学院大学兼任講師)
【候補作品】
『ボクシングと大東亜 ~東洋選手権と戦後アジア外交~』
【発表媒体】
書籍(亡羊社)
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