年金はいつから、いくらもらえるのか
お金の心配を取り去ると、自由に、自分らしく生きることができるようになります。この考え方を「ファイナンシャル・フリーダム」と言いますが、皆さんにもなるべく早くに安心を手に入れていただきたいとの思いで、「40代からはじめる定年後の準備」というテーマにさせていただきました。
日本の公的年金制度は2階建てになっていて、1階は誰もが入っている国民年金(基礎年金)です。国民年金に加入している人の職業・立場によって1号、2号、3号と分かれており、1号は自営業、フリーランス、学生。2号は会社員や公務員のように、雇われて働いている人。3号は一般的に専業主婦と表されますが、正確には2号の被扶養配偶者という言い方をします。つまり会社員、公務員に扶養されている配偶者ですね。
1号と3号の方は1階の国民年金だけを、基本的に65歳から受け取ることになっています。2号だけが2階建てになっており、会社員の方は厚生年金、公務員や私立学校の教職員の方は共済年金に入っています。
皆さんの一番の関心事は、「年金はいつから、いくらもらえるのか」という点でしょう。会社員の場合、特別支給という形で今までは60歳から年金をもらえました。男性は昭和16年4月1日以前、女性は昭和21年4月1日以前に生まれた方の場合、満額の年金を60歳からもらえたことになります。一方、今年度で50歳以下の男性、45歳以下の女性は、65歳までは年金をまったくもらえません。公務員の場合は、女性の方も男性と同じスケジュールになります。
自営業の方(1号)は国民年金だけを65歳から受け取ります。専業主婦の方(3号)も同様です。ただし、昔会社に勤めていたという人は注意が必要です。今は専業主婦や自営業、フリーランスだったとしても、一時的には2号だったということです。その場合は基礎年金の受給資格を満たしたうえで、条件次第で厚生年金を受け取ることができます。まず、2号だった期間(厚生年金に加入していた期間)が1か月以上ある場合は、65歳から老齢厚生年金を受け取ることができます。さらに、1年以上厚生年金に加入していた場合は、前述の特別支給に当たる老齢厚生年金を65歳まで受け取ることができます(支給開始年齢は段階的に上がっていきます)。年金は自分で請求しないかぎり自動的には振り込まれませんので、ぜひ忘れずに請求してください。
次に年金受給額ですが、これは年金定期便を見ればおおよその額が分かります。ねんきんネットというwebサイトでも、年金をいつから、どのくらいもらえるかが試算できますので試してみてください。年金の収入年表をつくると、老後の計画が立てやすくなります。
年金だけには頼れない時代 早期の資産運用が大切
現在、「社会保障・税一体改革案」として年金制度を巡る改革が議論を呼んでいます。たとえば、今年の10月から実施が検討されているものとして物価スライド特例分の解消があります。現在の受給者への年金支給額は本来の金額よりも2.5%高い水準となっており、この特例措置を解消し減額しようというものです。このほか、パートタイムなど短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大や、会社員と公務員の年金の一元化、年金支給開始年齢の引き上げなども検討課題に上がっています。
40代からはじめる定年後の準備で重要なことは、マネープランとキャリアプランを合わせて考えることです。どのような生活を送りたいのかを描いたうえで、その生活に必要な額を確保していく方法を考えるべきでしょう。資産運用をプラスアルファとして考え、早期に始めることをお勧めします。資産運用は早期に始めるほど選択肢が広がるからです。
公的年金だけではゆとりある老後生活を送るのは難しい状況といえます。今後は自助努力によって自分の人生を切り拓く時代。働き方を再考して収入アップを図る、あるいは支出やライフスタイルを見直す、さらにはお金にも働かせるとの発想から効率的な資産運用を考えたいものです。
時間分散、地域分散などでリスクを軽減した投資
資産運用とは、ひとことで言えばリスクを引き受けることにほかなりません。価額が変動するものに投資しますから、預貯金とは違って元本割れすることもあり得ます。ここ数年、運用環境は決して芳しいものではありませんが、運用が上手でない人ほど市況が下がっているときに売ってしまう傾向があります。資産運用は安く買って高く売るのが基本。これはなかなか難しいことではあるのですが、狼狽売りを避けるためにも運用にあたってはご自身のリスク許容度を考えることから始めたいものです。
リスク許容度には2つの側面があり、1つは物理的な資産額です。余裕資金が多ければその分、リスク許容度が高いといえますが、もう一つの精神的な側面も考慮する必要があります。つまり、投資したもののなかなか思うような結果にならず、価額が下がることに耐えられない。そうした人は資産額に余裕があっても精神的なリスク許容度が低いわけですから、それに見合った資産運用を選ぶべきでしょう。
その上で運用可能額を把握していきましょう。お金を1年以内に使う短期資金、2〜5年以内に使う中期資金、当面は使う予定のない長期資金に分け、この資金を図のように国債や株式、投資信託などに振り分けるのです。その際、ある程度まとまったお金があったとしても、時間分散を図って一定額ずつ時間をずらして投資することがポイントです。さらに、リスク分散を図るために銘柄の分散、さらに外貨投資であれば地域分散なども考える必要があります。
ただし、この地域分散も注意すべき点があります。異なる国々に分散投資をしているつもりでも、それぞれの通貨の動きを見るとほとんど同じ動きをしているケースがあり、その場合は地域分散の効果は少なくなってしまいます。過去の値動きも比較検討したうえで、違う値動きをするものに投資することが大切です。
人口ボーナス指数の大きな国ほど長期的成長が期待できる
資産運用ではよく「身近なところに投資を」といわれますが、私自身はその考えに疑問を持っています。むしろより俯瞰的に、それこそ宇宙から地球を眺めるくらいの気持ちで、どの国が成長するのかといったスタンスで臨むべきだと思います。その際大きなポイントになるのが人口構成です。日本は少子高齢化で人口減少時代を迎えていますが、経済成長のためには、人口の年齢構成が若いことが条件として挙げられます。いわゆるピラミッド型の人口構成の国は生産年齢人口が多く、経済成長が期待できる「人口ボーナス指数(※)」が高いといわれます。人口ボーナス指数は「2」以上がボーナス期とされており、日本の場合は2010年時点で「1.80」、2030年には「1.40」と予測されています。反面、2030年時点で「2」を超えているのはインド、中国、インドネシア、ベトナム、ブラジルといった国々です。また、世界の人口が増加すれば資源が足りなくなることが考えられますから、どんな資源を多く持っているのかということも、国の将来性を予測する材料となります。
新興国、資源国は成長が望める半面、値動きが荒くリスクも大きい点に留意すべきでしょう。マーケット規模はコップのサイズのようなもので、水を注いだ時に、規模が小さいとあっという間に水位が上がり、場合によってはあふれてしまいます。たとえば政情不安、インフレ、投資過熱、法律の未整備、税制の突然の変更など、カントリーリスクがあることを知っておきましょう。
国際分散投資は決して万能ではありません。資産の価額が上昇したとしても円高による為替損失を被る可能性もあります。またグローバリゼーションの進展により各国がより緊密になり、互いに影響しあう時代にもなっています。さらにはインターネットの普及によって、国境を越えて瞬時に情報が伝わってしまうため、かつてほど国際分散投資の効果が期待できなくなりつつあります。とはいえ、ユーロなどを見ても分かる通り、南欧のギリシア、イタリアは苦境に陥っているもののドイツは比較的堅調であるなど経済状況には違いがあり、国際分散投資にも一定の効果が期待できるのは確かです。
資産運用にあたっては、それぞれご自身がどの程度のリスクを引き受けるのか。資産の種類によってどんなリスクがあり、どの程度のリターンが望めるのか。それぞれが思い描くライフプランに応じた資産運用を考えるといいでしょう。
※人口ボーナス指数=生産年齢人口(15〜64歳)÷従属人口(0〜14歳、65歳以上)
日本と比べて、海外には高い経済成長を誇る国が多くあります。各国の2016年の経済成長見通しを見ると、日本が1.19であるのに対して、諸外国、特に新興国と呼ばれる国々は総じて高い数字であり、投資対象としても魅力的です。国内への投資だけでなく、こうした海外への国際分散投資を行うことで、リスクコントロールにつながります。さらに、異なる値動きをする傾向にある株式と債券を上手に組み合わせることで、よりリスクを抑えることができます。
投資信託や債券、外貨運用など、海外に投資する手段は多岐にわたります。商品によってリスクも異なりますから、投資対象国の将来性も考えながら、上手に国際分散投資を行いたいものです。
かな老後を送るための資産形成法の一つとして、近年注目されているのがJリートです。マンションなどへの不動産投資の場合、まとまった金額が必要ですし空室リスクもあります。Jリートはこうした実物不動産投資のネックを解消し、数万円から10万円前後の資金で不動産投資を可能にした金融商品です。多くの投資家から資金を集めて賃貸不動産を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に分配するものです。不動産運用の専門家が複数の物件に投資して運用しますから、リスク分散効果が期待でき、昨今の平均分配金利回りは5〜6%と高い水準を維持しています。
Jリートは2011年12月30日現在、東京証券取引所に34銘柄が上場されています。株式と同様、全国の証券会社を通して東証で売買でき、証券会社によってはネット取引も可能です。どの銘柄を選べばいいかわからない、といった方にはJリート市場全体に投資する方法として、東証REIT指数連動ETFの2銘柄を検討してもいいでしょう。ただし、投資上のリスクがいくつかあります。まず、元本および配当金が保証されているわけではないことです。また保有不動産の価格変動や入れ替えなどにより、利回りが変動することもあり得ます。そのほか自然災害や環境問題、不動産に関する法規制の変更、需給要因などにより期待した利回りが得られないケースも考えられます。投資にあたってはこうしたリスクを十分理解しておくことが大切です。
より詳しいことを知りたい方は東証Jリート情報サイト『Jリートview』をご覧ください。
※主なリスク/投資元本・分配金が保証された商品ではありません。
Jリートの市場価格は、市場における需給の状況、不動産市況や金利情勢の見込み等、様々な要因により変動します。
※ 株式・債券等の投資商品は、為替相場や金利水準の変動等によって、投資元本を損うことがあります。








