
虚偽報告容疑で神奈川県警、本社を捜索
横浜市で2002年1月、三菱自動車(昨年1月、商用車部門が三菱ふそうトラック・バスに分社)製大型車のタイヤが脱落し母子3人が死傷した事故で、神奈川県警と横浜地検は6日、宇佐美隆・前三菱ふそう会長(63)ら元幹部5人について道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で、元部長ら2人について業務上過失致死傷容疑で逮捕状を取り、出頭要請した。取り調べ後、容疑が固まり次第、7人を逮捕する。
また、同県警などは同日午前、三菱ふそう本社(東京都港区)に対し3度目の捜索に着手。欠陥車が引き起こした死傷事故は、最高幹部らによる企業犯罪に発展した。
逮捕状が出ているのは、道路運送車両法違反容疑が、宇佐美前会長と三菱自の花輪亮男(あきお)・元常務(63)、品質保証担当の越川忠・元執行役員(61)、望月進・元品質統括部長(54)、柿沼彰・元品質情報部長(54)の5人。業務上過失致死傷容疑は、村川洋・元市場品質部長(58)と三木広俊・元市場品質部員(56)の2人。法人としての三菱自についても、虚偽報告容疑で書類送検する方針。
調べなどによると、同社製大型車の車軸周辺部品「ハブ」破損によるタイヤ脱落事故は、1992年以降、横浜市の死傷事故までの間に計33件発生。同社の品質保証部門の元部長ら2人は、遅くとも99年6月、広島県内で高速バスのタイヤ脱落事故が発生した時点で構造的な欠陥を認識し、放置すれば重大事故を招くことを予見しながら必要な対策を怠り、横浜市の死傷事故を招いた疑いが持たれている。
また、事故当時、同社副社長でトラック・バス部門の最高責任者だった宇佐美前会長や、社内調査班の責任者だった花輪元常務ら5人は2002年6月、横浜の死傷事故を受け、国土交通省が立ち入り検査を行った際、自主回収したハブの中から無作為抽出した約3割に構造的欠陥が疑われる亀裂(ヘアクラック)が見つかったデータを把握していたにもかかわらず、同省に虚偽の報告をしたほか、今年3月、同省にリコールを届け出るまでの間、再三虚偽報告を行った疑い。
三菱ふそうへの捜索は、昨年10月と今年1月に続き3度目。宇佐美前会長らは横浜の事故後、刑事責任が三菱側に波及するのをかわすため、ハブ破損の原因について、強度不足以外の要因でまとめるよう指示するなど証拠隠滅を指示した疑惑もあり、捜査当局は宇佐美前会長らの逮捕後、これについても引き続き捜査する。
問題の事故は2002年1月10日、横浜市瀬谷区の県道で発生。走行中の大型トレーラーの左前部のタイヤ1本(直径1メートル、重さ約140キロ)が外れ、神奈川県大和市の主婦岡本紫穂さん(当時29歳)の背中を直撃して岡本さんが死亡、4歳と1歳だった長男、二男も軽傷を負った。
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道路運送車両法 自動車の安全性の確保などを目的に1951年に施行。三菱自動車による「リコール隠し事件」を受け、2003年1月施行の改正法で罰則などが強化された。国交省への虚偽報告の場合、法人が罰金2億円以下、個人は懲役1年以下または罰金300万円以下の罪に問われるが、今回の事件では、旧法(法人、個人とも罰金20万円以下)の適用となる。
(2004年5月6日 読売新聞 無断転載禁止)
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