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Vol.110MAZDA VERISA

けっこうな幸せ気分
運転の楽しみと快適な乗車感覚を詰め込んだマツダ ベリーサ

運転の楽しみと快適な乗車感覚を詰め込んだマツダ ベリーサ

 ベリーサは、国内専用車だ。

 そして、肩の凝らない、試乗後の感じのよいクルマだった。

 ベースとなったのは、デミオだという。デミオがフルモデルチェンジをしてからすでに2年が過ぎている。この間に、マツダの走りはさらに進化した。

 運転を楽しめる喜びと、快適に乗れる心地よさとのバランスのいいクルマに、ベリーサは仕上がっていると思った。

 スタイルも、なかなか存在感がある。

 ドアの窓ガラスのサッシ部分の枠がやけに不恰好ではあるが、全体的には独特の雰囲気を備えたスタイルだと思う。

 運転席に座って、天井の高いクルマだなぁ〜と感じた。ミニバンと同じくらいに、頭上にゆとりがある。それでも、車体の背は1.5メートルちょっとだから、立体駐車場に入れる高さに抑えられている。

 きっと、シートの着座位置が低いのだなと思った。

視野が水平に広がる前部シート

視野が水平に広がる前部シート

 たしかに、座った印象は、上から見下ろすというより、水平に視野が広がっている感じだ。フロントピラーも少し離れていて、死角は少なそうに見える。いかにも抵抗の少なそうな空力スタイルではなく、フロントウィンドウが比較的立ったデザインだから、ピラーも遠く離すことができたに違いない。

 ダッシュボードのデザインは左右対称を基本として、水平が強調されるようになっていて、黒とベージュのツートーンの色分けがそのままドアトリムにも連なり、そうした色使いが室内の雰囲気を窮屈に思わせない工夫といえるだろう。

 5ナンバーのクルマでもこれだけ快適に思わせるインテリアデザインがあるのだということを教えてくれる。

 四角いクッションのシートも同じベージュ色で、室内を明るくしている。見た目にもクッションの厚みが感じられ、座り心地の良さそうなシートだ。

4人が快適に座れるよう配慮した、都会的な後部座席

4人が快適に座れるよう配慮した、都会的な後部座席

 後席にも座ってみた。けっこう広いなという印象があった。というのも、ワゴンスタイルのクルマであるにもかかわらず、荷物をたくさん積もうというより、4人が快適に室内に座れるようにしようといった都会派の室内空間を重視しているからだろう。

 かといって、ラゲッジルームが小さすぎるということではないはずだ。

 運転をはじめると、テンポのいい調子で、クルマに親しめる。

 1,500ccのエンジンで十分だという、事足りた満足感を味わえる。

 リズミカルに走るから、このまま遠出をしてみたくもなる。

 乗り心地を十分に考慮したサスペンションだが、ハンドルを切れば俊敏なフットワークを楽しめ、また、ブレーキの利きがドライバーの思い通りに反応するので、「ひとつコーナーでも攻め込んで見るか」というスポーツドライビングモードに心も入り込める。

 この、乗り心地と、運転の快さとが、2年前のデミオ発売当時に比べ格段に成熟したと思わせた。

テンポのいいエンジンはマニュアルシフトで運転したくなる

テンポのいいエンジンはマニュアルシフトで運転したくなる

 同じ1,500ccエンジンを積むアクセラでも思ったが、こういう爽快な走りのクルマであるなら、マニュアルシフトで運転したいという気持ちになってくる。

 それほど走って、快いクルマなのだ。

 とはいえ、若干の難点もある。

 ダッシュボード中央のオーディオやエアコンの操作面は、見栄えの良さにこだわりすぎたデザインなので、スイッチ操作の仕方がわかりにくい。試乗はあいにくの雨模様の日だったが、室内が暗いと、どれがどのスイッチだか、そしてどっちに動かすと何が起こるのかが、瞬時に判別できない。

ダッシュボードの操作性に課題が残っている

ダッシュボードの操作性に課題が残っている

 ドアミラーは、スタイルを格好よく見せるため外側の端が細くなっていて、実は、そこがもっと見たいという後方視界を悪くしている。ほんのわずかな鏡の面積の違いなのだが、それが運転を不安にさせる。

 マツダは、カラーコーディネイトのセンスのいい自動車メーカーだと思ってきたが、レザーパッケージの黒と青を使ったインテリアカラーと、木目調のステアリングホイールの色使いが、バランスを欠いていると思う。これなら、標準のままで乗ったほうがセンスのよさをうかがえる。

 それ以外は、試乗後にとてもいい心持ちの余韻を残すクルマだった。

 そして、もし自分のクルマにするのなら……と、ボディカラーを選ぶ楽しみもベリーサには備わっている。

 個人的好みを言えば、オリーブメタリックか、ラディアントエボニーマイカのどちらかだ。スノーフレイクホワイトパールマイカも捨てがたくはある。

 具体的にそんなことを考えさせるほど、欲しい気持ちを起こさせるクルマだった。

 これで、153.3万円の単一車種である。

 けっこう幸せ気分になれるかもしれないと思った。