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Vol.115BMW 1 Series
2BOXコンパクトカークラスで唯一のFR車として開発された「1シリーズ」 BMWの1シリーズが、日本導入となった。これまでBMWの中でもっとも小型なクルマは3シリーズだったが、「これに替わるエントリー・クラスになる」と、BMWは1シリーズのことを説明する。 1シリーズは、2BOXスタイルのコンパクトカーで、この世界で言えばVWゴルフに相当するクラスとなる。BMWには、3シリーズにtiと呼ばれる2BOXスタイルがラインアップされるが、2BOXスタイルで最初から開発されたという意味では、1シリーズがBMW初といえなくもない。 そして、この1シリーズ最大の特徴は、2BOXコンパクトカークラスで唯一のFR車であることだ。つまり、後輪駆動なのである。 ボディ全長が4メートルちょっとで、幅が1.6〜1.7メートルほどの中に、大人が4〜5人乗れる十分な空間を確保するには、前輪駆動のFFとするのが合理的だ。その中で、新しいゴルフVなどは、快適な運転感覚を実現している。だが、1シリーズを運転してみれば、「後輪駆動は楽しい」との思いが、心の底から溢れるように沸き起こってくる。 しかしそれは、BMWが単に後輪駆動方式を1シリーズに与えたからというほど簡単なものではない。それに加えて、前後の重量配分を50対50にする努力が払われ、また、新設計の剛性に優れたボディと、新設計のサスペンションが組み合わされ、そして走りこんで仕上げられた成果として、運転の喜びが与えられたのだ。
客室側に押し込まれた格好で塔載されている直4エンジン たとえば、前後50対50の重要配分を実現するため、直列4気筒エンジンは極力客室側に押し込まれた格好で塔載されている。ボンネットフードを開けてエンジンルームをのぞくと、フロントグリルと直列4気筒エンジンの先端との間に大きな空間がある。「これなら、直列6気筒エンジンも載るだろう」と想像できるほど、エンジンは後方へ追いやられている。 万一の前面衝突時に、エンジンが客室に飛び込んで乗員に傷害を及ぼさぬようにと考えれば、果たしてここまでエンジン搭載位置を後方へ攻め込めただろうか?しかしBMWは、そうした万一の事故に対して十分な安全を見込んだ上でなお、エンジンのような重量のかさむものを車体中心に寄せ、前後50対50の重量配分の実現にこだわったのだ。 そうしたこだわりの一面を、このようにエンジン搭載位置から目の当たりにする。そして、運転席に座って走らせてみれば、BMW1シリーズは壮快にワインディングを駆け抜けるのである。 一方、たしかに後席の空間は、他の2BOXカーに比べ窮屈な雰囲気がある。リアハッチゲートを開けたラゲッジスペースも、すごく容量が大きいとは見えない。だが、そのパッケージングに不都合があるわけではない。アルファ156のスポーツワゴンにしても、ワゴンでありながらラゲッジルームは広いわけではない。それでも、スタイルの美しいワゴンであるし、運転を楽しませるワゴンであるのだ。同様に、BMW1シリーズは、「このまま遠くへ出掛けたい。運転をこのまま続けていたい」と思わせることを大切にした2BOXカーなのである。他のメーカーにできない特徴を持っている。便利さが大切ならば、他の2BOXカーを選んでくださいという、潔さがある。
ランフラットタイヤは、走行性能の高さ、乗り心地の面も改善されてきた BMW1シリーズの特徴としてもうひとつ、このクルマは全グレードに、ランフラットタイヤを標準装着する。ランフラットタイヤとは、パンクをして空気圧がゼロになっても走り続けることのできるタイヤだ。 BMWでは、ランフラットタイヤをこれまでスポーツカーで採用し、また一部車種でも選択可能としていたが、この1シリーズで全車に標準としたのだ。 ランフラットタイヤはその構造上、走行性能の高さと乗り心地の両面で、万一のパンクに対処する事との両立が難しかったが、タイヤメーカーも開発に力を注ぎ、またBMWのように積極的な採用を行う自動車メーカーの後押しによって、近年ではその性能が大きく改善されている。 そして、BMW1シリーズを運転する限り、ランフラットタイヤであることによる運転感覚への不満や、乗り心地に対する不快感など、まったく感じることはなかった。いよいよ、ランフラットタイヤ普及の時代がやってきたことを実感した。 ランフラットタイヤであれば、高速道路でパンクをしてもハンドルを大きく取られるなどの危険が回避できるし、また、交通量の多い危険な場所でタイヤ交換をする必要もない。あらゆる点で安全が向上するタイヤなのである。
366万5000円という価格も、乗る機会が多い人ならそう高く感じないはずだ BMW1シリーズのさまざまな性能からすれば、その価格は十分な価値をともなったものであろう。しかし、その金額、120iで366.5万円は、けっして安い買い物ではないのも事実だ。かつての自分の仕事の仕方のように、頻繁に一人で何百キロも運転をし続けて国内のサーキットを取材して回るというのであれば、それでも買おうとするだろう。つまり、日々クルマの運転と切っても切れない人には、やがてその価格と手に入れられる価値とのバランスが取れてくるのではないだろうか。 またBMWでは、購入後の維持管理費用を削減する努力を積み重ねており、たとえば1シリーズの場合、エンジンオイル交換は25,000キロでいいのである。距離を走る人ほど、その恩恵は大きくなる。 こうなれば、BMW1シリーズを買う意味も大きくなる。クルマとしては、まさにBMWのスピリット通り「駆け抜ける歓び」に満ちた出来栄えなのであるから。 |
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