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Vol.116OPEL ASTRA

自然体で乗ろう
肩意地張ることなく、自然体で運転できる「オペル アストラ」

肩意地張ることなく、自然体で運転できる「オペル アストラ」

 新型OPELアストラに乗ってきた。ドイツ車の中でも個人的にオペルは好きなメーカーであり、アストラも気持ちよく試乗を済ませてきたところだ。

 オペルの気に入っているところは、肩意地張ることなく、自然体で運転でき、それでいてクルマを走らせる心地よさが伝わってくるところだ。また、自分が天邪鬼のせいもあるだろう、日本で乗っている人が少ないのも気に入っている。

 今度のアストラは、旧型よりややボディサイズが大きくなっている。ボディの幅が広いので、3ナンバーとなってしまうが、それでもほぼ5ナンバーサイズの、日本で扱いが手頃な大きさの2BOXカーだ。

 エンジンは、排気量が1,800ccと2,000ccターボの2種類で、1,800ccエンジン搭載車には、CDとスポーツの2モデルがある。2,000ccターボエンジンはスポーツの1グレードで、これには6速マニュアルトランスミッションが組み合わされる。

 この2,000ccターボエンジンを塔載したアストラ2.0ターボスポーツが、素晴らしい仕上がりになっている。日本で、マニュアルシフトの輸入車に乗れる機会は少ない上、このターボエンジンは低回転からフラットトルクの特性を与えられたため、すごく運転しやすい。それでいて、アクセルを全開にすれば猛然たる加速をする。

低回転からフラットトルクの特性を与えられた2,000ccターボエンジン

低回転からフラットトルクの特性を与えられた2,000ccターボエンジン

 そうした豪快な走りをさらに満足させるのが、スポーツプログラムという走行モードの設定だ。ダッシュボード中央のスイッチをオンにすれば、ロールを抑えたサスペンション設定となり、切れ味のある運転を楽しめる。それでいて、乗り心地を悪くしないのが、自然体の走りを得意とするオペルの面目躍如たるところだ。

 インテリアデザインも、控えめながらちょっと洒落たセンスをうかがわせるところが奥ゆかしく、永い年月を乗り続けても飽きがきにくいだろうと思わせる。一度クルマを買ったら永く乗るのが自分のスタイルだから、そういうことも気になる。

 そして運転中、このアストラはいやな気分にさせないのがいい。しかしある人は、「刺激が少なくて、つまらなくないですか?」と評したが、そこがオペルのいいところなのだと私は思う。とにかくこのクルマに乗って、遠くに出掛けたくなる。その間、高速道路を飛ばす気分を邪魔しないクルマだし、それでいて、リズムよく距離を消化していく嬉しさがオペルにはある。

パワーステアリングは一時的に不自然な感触を覚えることもあった

パワーステアリングは一時的に不自然な感触を覚えることもあった

 とはいえ、ちょっとだけ苦言を呈しておこう。電動油圧パワーステアリングの感触が、一時的に不自然なときがあった。それは、1.8スポーツを運転中、例のスポーツプログラムをオフにして40km/hくらいのスピードでカーブを曲がろうとしたときだった。ステアリングから手に伝わるフロントタイヤのグリップ感が、ふっと瞬間的に失われ、切り込み過ぎそうになったり、また戻しそこないそうになったりしたのだ。

 スポーツと名のつく1.8と2.0の両モデルには、偏平タイヤが装着されており、これがパワーステアリングの操舵力との調和が取れていないのではないか、と思う。ならば、標準サイズのタイヤを装着する1.8CDだと、この不自然さはないことになるが、残念ながら試乗車が用意されていなかったので確認できていない。これが、心残りだ。試乗会には、たとえ1台でも標準グレードを揃えて欲しいものだ。自動車メーカーは、えてして上級の豪華に見えるクルマだけをPRしようとする姿勢が見られがちである。

 ヨーロッパのコンパクトカーは、ごく標準のグレードをしっかり作りこんでくるので、これが一番のお勧めである。ところが日本市場では、見た目の格好よさが優先されるので、インチアップタイヤがアルミホイールとともに装着されることになる。だが、過去の経験からすれば多くの場合、標準サイズのタイヤがスチールホイールに組み込まれ、ホイールキャップで飾られているスタンダードグレードがもっともバランスがいいことになっている。

5ナンバーサイズに限りなく近いボディを持った2BOXカー

5ナンバーサイズに限りなく近いボディを持った2BOXカー

 ほかに、新型アストラはリアドアのサイドウィンドウが後方へ寄ったデザインになっているため、狭い場所で後席に乗ろうとドアを開けると、ウィンドウ部分のドアが自分の顔をめがけて開くため、うっかりすると顔をヒットされかねない。ドアを開けてしまえば逆に乗り降りのしやすい開口部が現れるのだろうが、日本の狭い駐車場の状況では、その開け閉めでやや不便を感じることがあるかもしれない。

 とはいえ、多くの部分でオペル好きには納得のいくクルマに仕上がっていた。そして、ボディカラーに、明るく淡いブルーと、鮮明な赤が用意され、新型アストラをいっそう引き立ててくれる。

 走行性能と乗り心地のバランスにはうならされたゴルフVではあったが、見るからに貧相な内装の仕上げにはガッカリさせられた。となると、このアストラはあらゆる面で満足度の高い2BOXカーといえる。しかも、ベーシックグレードのアストラ1.8CDは、ゴルフ1.6Eより5万円以上安いのである。これは、「買い」のクルマではないかと思う。