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Vol.342 BMW アクティブハイブリッド7L

大排気量エンジンにハイブリッドシステムの組み合わせ

 「駆け抜ける歓び」を標榜するドイツのBMWから、初のハイブリッドカーが誕生した。最上級4ドアセダンである7シリーズに追加車種設定された、アクティブハイブリッド7Lがそれだ。

 排気量4,400ccのV型8気筒エンジンを搭載する750Lを基本に、出力15kW(キロワット)のモーターを併用するハイブリッドシステムが組み込まれている。

 モーターは、薄い円盤状のものがエンジンとトランスミッションの間に挟まれるように組み込まれている。バッテリーはリチウムイオンを使用。

 このハイブリッドシステムは、メルセデス・ベンツS400ハイブリッド・ロングと同じ部品を使う。とはいえ、メルセデス・ベンツS400が、排気量3,500ccのV型6気筒エンジン車に組み合わせるのに対し、BMWアクティブハイブリッド7は、上記のように、より大排気量の高性能エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせるという違いがある。また、リチウムイオンバッテリーを搭載する場所も、メルセデス・ベンツがエンジンルームであるのに対し、BMWはトランク内である。これにより、前後重量配分が損なわれずに済むだろう。

 運転中にハイブリッドの作動状況を画面で見せるモニター表示についても、BMWでは、アクセルペダルを深く踏み込んだ強い加速をさせるとき以外は、あまりモーターの補助力を使っていないとわかる画像が採用されている。

 BMWの説明によれば「あくまでターボチャージャーの代わりのように、モーターは加速の補助として使う程度に考えているためです」ということだ。メルセデス・ベンツのモニター画面では、ちょっとした加速でも頻繁にモーターを活用している画像が映し出される。

 とはいえ、「画像には表れなくても、エアコンの稼働などに回生で得られた電気を活用しているので、走行全体のエネルギー効率としては、ハイブリッド化により燃費が改善されています」と、BMWは解説を付け加える。

 実際、カタログ諸元のうえでは、750Lの10・15モード燃費が6.6km/Lであるのに対し、アクティブハイブリッド7Lは9.3km/Lなのである。燃費改善には、トランスミッションが750Lでは6速ATであるのに対し、アクティブハイブリッド7Lが8速ATという違いも関係しているはずだ。

運転を楽しめるBMWらしさ

 前置きが長くなったが、アクティブハイブリッド7Lを試乗した印象は、ほとんどハイブリッドカーらしさを運転中に感じないことだった。これはBMWの狙いでもあり、「あくまでこれまでのBMW車と同じ様に運転を楽しめるクルマであることが重要だからです」とのことである。

 そうはいっても、ハイブリッドらしさがないことはなく、停車すればアイドリングストップをする。しかも、試乗したのは酷暑日となった東京近郊の日中で、外は猛烈な暑さであったが、エアコンディショナーを利かせたまま問題なくアイドリングストップを繰り返したのである。限られたバッテリー電力を、走りで使い切るのではなく、装備の稼働で生かすようにしたBMWの思想の一端が、この酷暑日のアイドリングストップ効果に表れていた。

 また、ハイブリッドシステムの利用率を知らせるモニター画面を見ると50%前後で推移し、ときに80%を超える場面もあった。走行中にハイブリッドらしさを体感することはあまりなかったが、クルマの電化は、エアコンディショナーを含めクルマ全体で燃費向上策に生かせることを改めて知った。

 実際の燃費だが、東京近郊の高速道路と市街地の両方あわせ70kmほどを2時間くらい走行した結果、走行前より約0.5km/L平均燃費が改善され、この間、平均燃費表示が悪化することはなかった。つまり、ごく日常的な運転をする限り、やはりハイブリッド効果は相当にあったということである。

 いつも通り運転しながら、知らぬ間に燃費が改善されているうれしさがあった。しかも、走行感覚はいつものBMW車そのままである。駆け抜ける歓びにこだわり続けるBMWらしいハイブリッドカーの登場だ。

プロフィール

御堀直嗣  みほり・なおつぐ
 1955年 東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
2010年9月3日  読売新聞)
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