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Vol.70HONDA ACCORD EURO-R
アコードにスポーティな走りを追求したユーロRがラインアップされたのは、前モデルから。そして、7代目新型アコードにもユーロRは用意された。 ホンダには、シビック、インテグラ、そしてNSXにタイプRがあり、それらはレースのベースモデルといえるほど速い走りに特化した仕様だ。対するユーロRは、サーキットで速さを示すというより、一般公道での速さを求めたクルマで、タイプRを知るものにとってはどこか中途半端との声もあった。 しかし、個人的にはユーロRはスポーティな乗り味のなかにも快適さを損なわない乗り心地を備えた大人の味わいが気に入っていた。シビックは、セダンもあるが、元気な走りが身上の2BOXカーが基本であり、インテグラは2ドアクーペ、NXSは言わずと知れたミッドシップスポーツカーである。4ドアセダンのアコードより、スパルタンなイメージが合うのは当然だ。 新型アコードのユーロRは、それでも相当にパフォーマンスを高めている。2リッター直列4気筒エンジンは、リッター100馬力を超える220馬力を最高出力とし、インテグラのタイプRに搭載されているエンジンと同様といえるが、これに、バランスシャフトを追加して、振動を抑えている。
なるほど、運転してみると低回転域から非常に滑らかにエンジンは回り、4気筒エンジン特有のパンチ力を利かせた加速というより、6気筒エンジンに通じるようなスムーズさがユーロRのエンジンの特徴だ。とはいえ、エンジン性能そのものはインテグラのタイプRと同じだから、たちまちのうちにスピードはとてつもない領域に達する。その中に、やや落ち着いた雰囲気があるのは、インテグラより大柄なボディと、200kgほど重くなる車両重量のせいだろう。 前モデルより大きくなったボディの四隅にある215/45R17サイズのタイヤは、ステアリング操作にしたがって確実にクルマの向きを変えていく。フロント外側のタイヤがカーブに沿って弧を描いていく様子が手に取るようにわかる、そんな手応えが、動きの切れ味のよさを伝え、クルマとの一体感を増していく。 かなりハードに固められたと感じるサスペンションだが、一般公道の路面変化にうまく追従していき、車体が跳ねてしまうことによる不快な乗り心地を与えない。しっかりとしていながら、しなやかという、絶妙の乗り心地にまとめあげられている。 この、妥協を許さず本物であることを追求した乗り心地は、スカイラインGT−RのMスペックで味わった感動に通じるものがある。今、こうしたスポーティかつ、日々の運転にも使えるサスペンションセッティングを上手にできるのは、国産自動車メーカーで言えばホンダと日産だろう。 新型アコードは今回、ヨーロッパ仕様と同じボディを持ち、国内ではメルセデスベンツCクラスやBMW3シリーズをライバルと考えている。何もクルマはドイツ車というつもりはないが、アウトバーンを持つドイツの道路事情の中で、200km/h近いスピードで長時間快適に運転し続けることができる操縦安定性と乗り心地の両立は、走行性能の追求を行う上で一つの指標となる。アコードはそれに挑戦し、そしてユーロRはさらに運転する嬉しさを求めたセダンなのである。 新型アコードのユーロRは、6速マニュアルシフトのみの設定。前モデルからユーロRの走行感覚は好きだが、オートマチックで運転したいとの声があったことから、今回、24Sという、エンジンは2.4リッターの直列4気筒で、他のモデルと同じでありながら、サスペンションの設定をユーロRと同じとしたモデルがラインアップされた。レカロのシートや、アルミのスポーツペダルなどはないが、ユーロRと同様の切れ味の鋭い運転を楽しむことができる。 ユーロRは、セダン好きの自分にはとても魅力的なクルマに仕上がっている。ぜひ、6速マニュアルで乗りたい。しかし、唯一気掛かりなのは、メルセデスベンツCクラスやBMW3シリーズより大柄な3ナンバーボディと、回転半径の大きさである。ドイツ車2台がFRであり、アコードがFFであるとはいえ、長年5ナンバーセダンを乗り継ぐ者には、そうした諸元の差が、日々の使用にはボディブローのように効くからだ。
セダンより遅れて発売されるワゴンは、ボディの寸法は諸元上旧型とほとんど変わらないものの、旧型は実は5ナンバーサイズのセダンを基本にオーバーフェンダーっぽく安定感を強調した3ナンバーボディを架装したため、室内の広さは十分に3ナンバーサイズを活かしたわけではなかった。しかし新型アコードは、セダンも3ナンバーサイズとなったことで、そのサイズを十分に使った広い室内が生まれている。 また、ホイールベースが従来より長く、リアのオーバーハングも延ばされている。したがって、後ろのラゲッジスペースは相当に広い。 その広さを実感するのは、リアゲートを開けた時だ。ステーを全く見せない構造とした結果、リアゲートを開けると大きな空洞が口を開けたようにラゲッジスペースが目の前に広がる。そのすっきりと何もない空間は感動的でさえある。 そのリアゲートは、全車電動での開閉が標準装備で、もちろん、万一の挟み込み防止機構を備える。 後席のワンモーションシートは、本当に後席背もたれのレバーを操作するだけで、ヘッドレストがたたまり、バックレストを前方へ倒しこむとシートクッションが自動的に持ち上がって、平らなラゲッジルームの床面積を広げることができる。この、片手で一回の操作でのシートアレンジを実現するため、後席3点式シートベルトは肩ベルトもシート内蔵タイプとなっている。 ワゴンのエンジンは全て2.4リッターで、その中に、200馬力と160馬力2つの仕様がある。160馬力のエンジンはワゴン専用で、燃費・排出ガスともに低公害車に与えられる優遇税制に合致する。 セダンより約100kg重くなるワゴンの走りは、乗り心地の面でもう一踏ん張りの詰めが欲しい印象だ。セダンに比べ車両重量の増加と、荷物室に物を満載した場合を想定して強化したサスペンションのバネで、快適な乗り心地と操縦性の両方を満足するのは、実際、難しい話であると思う。その点、よりスポーティな走りを重視したスポーツパッケージ仕様は、ダンパーの減衰が効いていて、ワゴンの中では走りのバランスがいい。だが、乗り心地としては硬いと感じる人もあるだろう。そこで、もう少しソフトな雰囲気を求めた場合に、強化されたバネと、振動の吸収の面で折り合いがつかない面がある。その点、セダンは非常に高級な走りと乗り心地がバランスよく仕上がっている。 とはいえ、基本の素性は作り込まれていると感じるので、あとはちょっとした味付けの磨き込みだろう。イヤーモデルでクルマが進化していくホンダ車であるから、時間を追うに従いワゴンも洗練されていくことに期待したい。 |
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