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Vol.99CHRYSLER CROSSFIRE
ダイムラー・クライスラーの、北米クライスラー部門から、クロスファイアという全く新しい二人乗りクーペが登場。昨年の東京モーターショーにも出展されており、アメリカ車好きの人なら、チェック済みかもしれない。 そういう私は大のアメリカ車ファンであるため、ショー会場ですぐにこのクルマが目に留まったものだ。 アメリカの2ドアクーペらしく、おおらかで、大胆なスタイルが一辺に気に入ってしまった。客室の存在を示すガラスエリアが小さく、スピード感に溢れるデザインだと思う。そして、ショー会場で見るより、道路を走るクロスファイアは見る角度や光のあたり具合によって、ハッと息を飲ませる新鮮な形を見せるのである。
ドライバーズシートに座り、眺めるインテリアは、毒々しいほどのメタリック調の輝きを持ったステアリングホイールの装飾やメーターリングの輝きが、いかにもアメリカ車っぽい派手さで迫りくる。これが、嫌いだという人がいれば、それはそれで結構。こういう思い切ったデザインが、アメリカ車のクーペでは嬉しいのである。 ところが、おやっ?と思うのは、オートマチックのシフトゲートや、ウインカーレバーにどこか見覚えがあり、「ああそうか、これはメルセデス・ベンツと同じだ」ということに、間もなく気がつく。 なるほど、ダイムラー・クライスラーとして、共通部品を活用することで、少しでもコストを下げる努力を払ったのだろうと納得する。 2ドアクーペの売れ行きは、アメリカでもそれほど思わしくないようで、GMのカマロやファイアーバードはすでに姿を消している。そういう市場にあえて2ドアクーペを新たに投入するのだから、コスト削減の努力があって当然といえるだろう。 さっそく走りに出掛けた。アクセルを踏み込んで、スピードに乗っていく様を体で感じ、うんッ??と、不思議な気分になる。
インテリアパーツに、メルセデス・ベンツとの共通部品を使っていたとしても、その走り味はあくまでアメリカ車のものだろうと、勝手に想像していたのだが、どうやらそうではないらしい。 シャキッとして、カチッとして、トトトンッと衝撃をいなし、振動をたちまち減衰してしまう。 どうもこれは、アメリカ車ではないらしいという思いが、頭をもたげる。 そういえば、センターコンソールのデザインもどこかで見たような・・・と、さらに思い起こして見ると、アッ! メルセデス・ベンツSLKだ!と、気が付いた。 慌ててメディア資料を読めば、「ドイツ工場で製造されたV型アルミエンジンを搭載」とある。160kWの最高出力、310Nmの最大トルク値も、メルセデス・ベンツSLK320そのままである。2400mmのホイールベースも同じだ。フロントのダブルウィッシュボーンサスペンション、リアのマルチリンクサスペンションも同じ・・・ つまり、中身がメルセデス・ベンツSLKで、外側がクライスラーのアメリカ車テイストのクーペというわけだった。中身という意味で、インテリアもイタリアのデザイナーに託されたものであるという。 では、そのことを知って失望したのかといえば、そうではない。伝統的アメリカ車の味わいではないものの、かといって、走行感覚の全てがドイツ車風というわけではなく、アメリカ大陸的ゆるさというか、おおらかさは残されていると感じた。 そして、こういうクルマもありえるな、というのが結論である。 クルマを所有するという点で、アメリカ車の風味をスタイリングなどから堪能できるし、その独特な姿は、決してヨーロッパ車のものではない。また、アメリカ車のなかでも、クライスラーらしさを表現したデザインだと思う。
一方、運転している感触は、ドイツ車ほど硬さを覚えることもなく、かといって、高速で運転してもクルマに全てをゆだねてしまえる安心感がある。このまま、長距離ドライブに出掛けるのもいいと思える、確かさが体に伝わってくるのである。 面白いクルマだなぁと思った。 そして、単に新しいアメリカ車のクーペが出たという興味以上に、このアメリカとドイツの混血のクーペが、さらにどのようなドライビングの世界を見せてくれるのか、興味が湧いてきた。
一度、じっくり乗って見たい。 そういう好奇心を起こさせ、かつ、他にはない個性を備えた魅力的な、今日では、希少車といえるFRクーペである。 |
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