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Vol.14TOYOTA PRONARD
トヨタの新車といっても、アメリカ生れの輸入車の紹介だ。すでに新聞広告などで目にしているであろうプロナードは、排気量3000ccのV6エンジンを搭載したFFセダンである。アメリカでは、アバロンの名で売られ、アメリカで最多販売台数を競うカムリを売っているトヨタ店系列で、その最上級車種として販売されている。そして発売以来、すでに毎月8,000〜9,000台を売る人気車となっている。 日本にやってくると、プロナードはクラウンより大型のボディで、その存在感は圧倒的だ。運転席に座ると、その着座位置はいわゆる高級セダンより若干高く、ミニバンのようなRV感覚がある。その点を開発陣に尋ねると、従来からのセダンの座る位置より2.5cm着座位置を高くしているという。 たった2.5cmと思うかもしれないが、実際に座ってみると、その違いは誰にでもわかるはずだ。見晴らしが良くなることによって、それだけでも窮屈さから解放され、プロナードの室内に心地よさをおぼえるだろう。ミニバンが好まれる理由のひとつは、そうした開放感だ。プロナードは、その良さを、何気なく上手に感じさせるセダンなのである。 後席に移ってみると、これはもうリムジンのように足元が広々としたゆとりに溢れており、クラウンはもとより、セルシオの後席より寛げそうだ。走行中の静粛性や乗り心地などといった快適さも、電子制御サスペンション仕様のプロナードであればセルシオに引けを取らないと思わせる。もし、私が運転手付きのセダンを選ぶ立場であったなら、迷うことなくプロナードを選ぶ。 では、自分で運転をしてみるとどうなのか?エンジンを始動したはずなのに、アイドリングの音や、わずかに体感するはずのエンジン振動も伝わってこない。騒音や不快な振動の対策は十分に行ったと言う開発陣の言葉に嘘はない。いま一度、スターターモーターを回しそうになるくらい、プロナードは穏やかに佇む。 オートマチックのシフトレバーをDレンジに入れ、走り出すと、凪いだ湖の上を滑るカヌーのように、プロナードはなめらかにスピードを上げていった。「キャデラックやリンカーンより高級だな」。これが、ファーストインプレッションだ。実際、日本に輸入をされているキャデラック・セビルや、リンカーンLSといったクルマは、スポーティさを重視したクルマ造りであり、運転は楽しい。しかし、一方で、アメリカ車が持つ独特の高級さは薄れたというのが、やや残念な思いにさせられるところだった。 プロナードは、アメリカのケンタッキー工場で生産されるとはいえ、日本のトヨタのクルマであることに間違いはないのだが、アメリカ車特有の、ゆとりに贅を尽くした高級イメージは、いまやこのプロナードが表現しているといえる。しかも、コラムシフトにベンチシートという、アメリカのセダンの典型といえるスタイルも用意され、フロアシフトのセパレートシート仕様とともに併売される。アメリカ車の魅力を一杯に詰め込んだ高級セダンがプロナードなのである。 発売以来、アメリカで爆発的に人気を博している訳がこれでわかった。プロナードは、アメリカ人の高級車に対する心を最も理解したセダンなのだ。しかも日常的に使い始めてみると、故障が少ない日本車はアメリカで貴重な存在だ。一歩都市を離れれば荒野へ放り出されるアメリカの大地では、途中でクルマが故障すれば命取りになりかねない。あるいは都会の物騒な地区では、クルマが身の安全を保証をしてくれる。クルマが問題なくきちんと走り続けてくれることが、アメリカでは日本以上に重要な意味を持つのである。 そのうえ、プロナードの燃費は10.2km/lを達成し、輸入された日本国内での価格でも315〜380万円と、高級セダンとしてはお値ごろ。ここまで至れり尽くせりのセダンが、アメリカで人気を得ないはずはない。 たしかに、日本の道路ではややボディが大きすぎると感じるだろう。しかし、久し振りにアメリカ車らしいアメリカのセダンに乗ることができて大満足。ボディの大きさをさして厭わぬアメリカ車ファンに、プロナードはおすすめの一台である。 |
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