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F1対決 トヨタ「商機」×ホンダ「技術」

 自動車レースの最高峰、F1世界選手権で、トヨタ自動車とホンダがメンツをかけた戦いを繰り広げている。20日の第2戦マレーシアGPではトヨタのヤルノ・トゥルーリ(イタリア)が2位に入り、トヨタはF1参戦4年目で「初の表彰台(3位以内)を絶対に実現して欲しい」(張富士夫社長)という至上命令を達成した。2台ともリタイアという結果に終わったホンダも「できるだけ早い時期の優勝」(福井威夫社長)に向けて巻き返しを誓う。年間数百億円を投じて1000分の1秒単位を競い合う両社の狙いは何か。(小島 雅生)

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マレーシアGPで2位表彰台に上がったトヨタのトゥルーリ(パナソニック・トヨタ・レーシング提供)

背水の陣

 トヨタは今季から新ドライバーに実力派のトゥルーリとラルフ・シューマッハー(ドイツ)を起用。低迷脱出のため腕利きのエンジニアを多数引き抜き、万全の布陣で臨んだ。

 参戦当初は3年以内の表彰台を「公約」していたが、過去3年の最高位は5位。このままでは世界的なトヨタ車の人気にかげりが出る可能性もあった。

 一方、F1では先輩格のホンダは今季はやや不振だが、昨年はチーム順位を2位まで上げ、トップが見える位置まで来ている。今季からはエンジンを供給してきた「ブリティッシュ・アメリカン・レーシング」(BAR)に45%出資。37年ぶりにチームのオーナーとして参戦し、こちらも「背水の陣」をしく。

2つの狙い

 両社とも、参戦の意義を「走る楽しさ、車文化の追求」と説明する。しかし、「トップを狙うには年間300〜400億円の予算と、1000人のスタッフが必要」なF1に、ここまで本腰を入れる狙いは異なる。

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マレーシアではリタイヤに終わったBARホンダ(ホンダ提供)

 オートバイメーカーだったホンダにとって、F1は四輪車の技術力を高める「走る実験室」。最高峰レースへの挑戦は、今や「ホンダのDNA」(福井社長)だ。回転数に合わせてエンジンを制御する「VTEC」システムや、燃料の混合比を理想的に保つセンサーはF1向けに開発され、市販車に応用されてホンダ車の人気を支えている。

 対するトヨタはラリーを含めた数々のレースを経てF1に参戦したが「現状ではF1を市販車に応用する体制にはない」(モータースポーツ推進室)。主眼はF1人気が高い欧州でのシェア獲得だった。

 トヨタは参戦前年の2001年、フランスで欧州戦略車ヤリス(日本名ヴィッツ)の生産を始め、欧州シェア(市場占有率)が3%に届かない「耐えられない状況」(冨田務常務=当時、現F1チーム代表)の打破に本腰を入れ始めた。F1はトヨタのブランド力向上には不可欠だったわけだ。

誘致の思惑も

 加えて今季の両社には、F1日本グランプリ誘致という目標もある。トヨタは子会社が運営する富士スピードウェイ(静岡県小山町)を200億円かけて改修し、F1誘致に意欲を見せるが、国内の開催権は2006年までホンダの子会社が運営する鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)が握っている。07年以降の誘致に向け、互いに負けは許されない。

 F1で技術を磨いてきたホンダだが「今ではF1の技術が先端化しすぎて、直接市販車に導入するのが難しい」(ホンダ広報部)状態だ。トヨタはF1効果もあって、昨年の全欧州シェアを5%まで伸ばした。しかし、環境問題への関心が高まり、馬力や走行性能をアピールするだけでは車は売れなくなってきている。

 レースをどう本業に結びつけるか。内なる課題を抱えつつ、両社は残り17戦に挑む。

(2005年3月28日  読売新聞)

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