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電動自転車パワー倍増

 新型の電動アシスト自転車が、まもなく各社から登場する。昨年末に道路交通法施行規則が改正され、モーター出力をこれまでの2倍の強さまで高めることが認められたためだ。今まで以上に楽に走れるという新型車に、早速試乗してみた。(岩崎拓、庄野和道)

楽な坂道発進 下りで充電も

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急な坂道でも楽に上れる電動自転車(6日、東京・港区で)=杉本昌大撮影

 新型の電動アシスト自転車が、まもなく各社から登場する。昨年末に道路交通法施行規則が改正され、モーター出力をこれまでの2倍の強さまで高めることが認められたためだ。今まで以上に楽に走れるという新型車に、早速試乗してみた。(岩崎拓、庄野和道)

 これまでのアシスト自転車は、ペダルを踏み込んだ力と同じ力でモーターが補助してくれたが、今回の規制緩和で、時速10キロ・メートル未満で走っているときに限って、踏み込んだ力の2倍までモーターが手助けできるようになった。「高齢者でも、重い荷物を積んで坂道を楽に上れるようになる」(三洋電機広報部)という。

 そこで、本当に急坂でも楽に乗れるのかを試してみた。実験の場に選んだのは東京都港区虎ノ門の「江戸見坂」。坂のふもとの道路標識によれば傾斜は20度で、スキーの中級者向けゲレンデ並みの急坂だ。ここでアシスト無し、新型アシスト車、従来型アシスト車の3通りの乗り方をしてみた。

 まず、アシスト機能をオフにしてチャレンジ。車重が普通の自転車よりも2〜3キロ・グラム重いこともあり、見上げるような急坂に助走をつけて挑むが、全く前に進めない。

 次にエネループバイクに乗ってみる。平地で軽くペダルを踏むと、モーターの補助で車体がぐんと進み、体が前に引っ張られるようだ。助走をつけて坂にさしかかると、いったんは速度が落ちるが、まもなくアシストが強くなっていくのを感じる。ペダルの軽さは平地並みとはいかないが、立ちこぎをせず、腰を落としたまま坂を上りきれた。

 印象的だったのが坂道発進がスムーズな点だ。自転車はこぎ始めが一番大変だが、平地でスタートするぐらいの力でペダルを踏んでも、車体は楽に坂を上り始める。

 最後に従来型のアシスト車も乗り比べた。坂を上っている最中の乗り心地は新型車とほとんど変わらない。ただ、坂道発進のこぎ出しはやや重く感じた。買い物の荷物を積んで小さな子供と二人乗りをするなら、新型車の方がこぎ出しの時にふらつかず、安全そうだ。

 エネループバイクにはブレーキをかけたときや下り坂の走行時、モーターが発電機に切り替わって電池を充電する「回生充電機能」もついている。充電時はモーターがエンジンブレーキの役割も果たす。江戸見坂を下ってみると、発電機に切り替わったモーターの回転音がわずかに強まって下りの加速が緩やかになり、軽くブレーキレバーを握るだけで下りきれた。別の緩い坂ではブレーキをかけなくても、ほぼ一定の速度でゆっくり下れた。

 累計出荷290万台スポーツタイプも

 電動アシスト自転車が初めて登場したのは、1993年11月にヤマハ発動機が発売した「ヤマハPAS(パス)」だ。道路交通法では、電気モーターで動く二輪車は原付きバイクの一種と見なされ、運転するには免許やヘルメットが必要だ。しかし、「ペダルをこぐのをモーターが手助けする」という形にすれば、自転車の扱いになるのではないか――。バイクより手軽で自転車より楽な交通手段を研究していた技術者の思いつきから、80年代後半に開発が始まった。

 初代のヤマハPASは10時間の充電で20キロ・メートルの走行が可能だった。価格は15万3470円と一般的な自転車の3倍以上だった。

 自転車としては高額だが、原付きバイクほどのスピードは出ない。社内では「誰が買うのか」という疑問の声が上がり、販売目標は年1万台と控えめだった。しかし、予想に反して高齢者を中心に人気を集め、発売翌年の94年には3万5000台と予想外の売れ行きになった。

 三洋電機やパナソニックサイクルテック、ブリヂストンサイクルなども相次いで参入し、2000年ごろから各社が主婦向けのテレビコマーシャルを始めると、市場はさらに広がった。最近では男性向けのスポーツタイプや、6万円台の廉価版も登場している。性能も向上し、エネループバイクのように3.5時間の充電で100キロ・メートル走行できるモデルも現れた。

 自転車産業振興協会の調べでは、08年の出荷台数は30万台を超え、累計出荷台数は290万台に達する見込みだ。「都市部の家庭で、一家に一台普及するのもそう遠くない」(ヤマハ発動機広報部)と、すっかり生活の足としてなじんでいる。

(2009年1月22日  読売新聞)

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