ソフトボール:上野由岐子の投球フォーム
瞬発力が生む“体感160キロ”
上野由岐子 22(日立&ルネサス高崎)
何しろボールが速い。腕を風車のように回転させるウインドミル投法から繰り出される速球で、「今年の日本リーグ第1節で117キロをマークしました」と上野。世界でも最速クラスのスピードだ。野球の18メートル44より5メートル以上短い距離でこの速球がくると、バッターボックスの体感では「160キロ」に相当するという。
2002年の国際大会から、投手板から本塁までの距離が40フィート(12メートル19)から43フィート(13メートル11)に変更されたが、その約1メートルの距離の延長をものともしないのが、すごい。
小学校3年生のときからソフトボールをはじめ、福岡・九州女子高時代にはエースとして国体で優勝。実業団に入ってから迎えた2002年世界選手権では、4勝0敗で奪三振24、防御率0・31。日本のアテネ五輪出場権獲得に大きく貢献した。当時20歳の上野はこんなことを話している。「球速は110キロぐらいかな。筋力は全日本の中でも下のほうなんです。自分でも何でこんな速い球が投げられるか分からない」。この2年間に、最高球速が117キロまで伸びたわけだ。
なぜ、速い球を投げられるのか。
高校時代に上野を指導した九州女子高ソフトボール部の粂本健監督は、「骨格がしっかりしているし、筋肉のバランスがとれている。1年生のときに健康診断を担当してくれた主治医の先生がひと目見て、ピッチャーに理想的な体格と言ったのを思い出す」という。
一方、日本ソフトボール協会の三宅豊・前技術委員長は図解を見て、〈1〉で通常の投手より深く前傾し、十分なためを作っているが、これは、強い下半身と背筋力に支えられている。〈2〉、〈3〉の踏み出しの瞬発力が素晴らしく、パワーを生み出している――と指摘する。
自身のセールスポイントを「笑顔とスピードボール」という上野。アテネで両方を存分に見せてくれるはずだ。(山岸 均)
(2004年7月28日付 読売新聞 無断転載禁止)