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「円安は最大で140円」って本当?

 3月の76円台から、新たな円安基調が始まったのでしょうか。気の早い話ではありますが、仮にそうだとしたら、経験的には2013年夏にかけて108円に向かう円安シナリオが基本になりそうです。

 1988年以降で円安・ドル高基調は4回ありました。その継続期間は、1年5か月〜3年4か月で平均2年4か月でした。その中でのドル上昇率は、22〜83%、平均42%でした。こういったことからわかるのは、円安基調は最短でも1年5か月、平均は2年4か月続き、その中でドルは最低でも22%、平均42%上昇するということです。

 これを3月の76円台から円安基調が始まっているとして当てはめてみると、今回の円安は、もっとも控えめに見ても2012年8月にかけて93円程度まで続く見通しになります。平均的な円安シナリオが展開するなら、2013年7月にかけて108円まで円安が続くといった見通しになるわけです。

 一方、今回調べた中で「最大の円安」は、1995年4月から1998年8月にかけて80円から147円まで円安となったものでした。この円安基調は3年4か月続き、その中でドルは何と8割もの上昇となったのです。初めて100円を突破した円高、「超円高」が起こった後の反動局面でした。

 今回はその時の円高・ドル安記録を更新、「超円高」再現となりました。「超円高」の反動だけに、円安も3年4か月、ドルは8割も上がるなら、2014年7月にかけて140円近くまで円安・ドル高が続くといった計算になります。


 ところで、別の尺度で見てみたらどうでしょうか。

 ドルは1980年代半ば以降、日米の生産者物価で計算した「購買力平価」(注)が基本的に上限となってきました。

 為替の適正水準の目安である購買力平価は、現在105円程度(購買力平価は、例えば国際通貨研究所で見ることができます)。その意味では、今回の円安・ドル高基調も、目一杯展開しても110円を大きくドルが上回ることは考えにくいということになりますが、果たしてどうでしょうか?

(注)購買力平価
 同じ物は、世界中どこで買っても同じ値段といった考え方から、為替の適正水準を計算する方法。たとえば、同じコーヒー1杯が、日本なら200円、米国なら2ドルだとすると、2ドル=200円、1ドル=100円といった計算になる。英語では「Purchasing Power Parity」。PPPと略されることもある。

プロフィル
吉田 恒(よしだ・ひさし)
 1962年、青森県生まれ。85年、立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)入社。同社代表取締役社長。投資情報事業を展開するT&Cグループの持ち株会社・T&Cホールディングス取締役などを歴任。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行う。FX会社が主催する投資教育プロジェクト、「FXアカデミア」の学長も務める。

<主な著書など>
 「さよなら円高」「YENの悲劇」(ともに廣済堂出版)、「投資に勝つためのニュースの見方、読み方、活かし方」(実業之日本社)、「FX7つの成功法則」(ダイヤモンド社)、共著に「通貨大動乱」(総合法令)、DVDに「こうすればFX予想は当てられる!」(パンローリング)がある。

2011年4月12日  読売新聞)
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