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ステマとFX

FXはステマ先進業界?

 FXはステマ先進業界では――。昨年末から話題になっている「ステマ」。ステルス・マーケティングの略で「ブログなどでクチコミを悪用して宣伝とは思わせずに何かを売り込む行為」といったところの意味だ。

 FXブログでは、多くのブログにFX会社のアフィリエイトが貼られている。ブログの執筆者自身が実際に利用して「この会社は読者に勧めたい」と思ったFX会社を推奨しているケースがほとんど。純粋なクチコミだが、なかにはステマもある。読者にとって有用かどうかよりも、読者がアフィリエイトを通じて口座を開設してもたらされる報酬だけを目当てにブログを執筆するケースだ。こうなるとクチコミというよりはステマ。その情報は信頼性に欠ける。

ブログ内容すべてが虚構の場合も……

 だが、この程度のステマは序の口。少なくとも、そこには読者を呼び込むだけの魅力がブログにあって成り立つ話だからだ。ステマの前提には、「ブログに書いてある内容が取引に役立つ」「ブログの執筆者が自分の好きな芸能人」などなど、少なくとも「訪問したいと思うコンテンツ、動機」がある。

 FXがステマ先進業界だと感じるのは、「訪問したいと思うコンテンツ」ですら虚偽である場合があるからだ。つまり、ブログに書かれている内容のほとんどが虚偽である場合だ。「そんなバカな」と思うかもしれないが、画像編集ソフトを使ってありもしないトレード履歴をでっちあげる「億トレーダー」は実際に存在している。「1億円も稼いでいるんだ。だったら信頼できそうだから、この人の推奨するFX会社に口座を開いてみよう」と誘惑するのが目的だ。ところが、「1億円を稼いだ」実績はまったくの虚偽……。こうなると、もはやステマというより詐欺に近い。

クチコミでブログの評判確認を

 こうした虚構にダマされないためにはどうすべきか。鶏と卵のようなだが、もっとも信頼できるのは、やっぱりクチコミだ。信頼できる投資家が紹介している投資家はやはり信頼性が高い。また、そのブログの名前などで検索してみる作業も有効。悪質なブログは掲示板で話題になっていたりする。ただし、ここにも厄介な罠がある。最近の手口では、核となるブログと、核となるブログを絶賛するファンブログを複数立ち上げておき、「このブログ、評判がいいから信頼できそう!」と思わせる、周到なケースがあるからだ。

 こうして評判を確認した上で、さらに自分でブログの内容を精読してみよう。取引の根拠が合理的に説明されているかどうかを確認するのだ。虚偽のトレーダーは、景気のいい取引履歴だけを表示して、本文ではあたりさわりのない解説で済ませてしまうことが多い。

 とはいえ、謡が出せばキリがないのがステマ。FXの取引は自己責任。他人の情報はあくまでも参考にしかならない。ステマ騒動が教えてくれたのは「クチコミもいいけど、結局頼れるのは自分だけ」ということなのかもしれない。

プロフィル
高城泰(たかぎ・やすし)
 早稲田大学政治経済学部卒業。編集プロダクション「ミドルマン」所属。「週刊SPA!」や「ダイヤモンドZAi」など雑誌や書籍を中心に活動するマネーライター。「超カンタン一点突破FX」(扶桑社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作ったiPhoneでFX入門!」(ダイヤモンド社)などFX書籍のプロデュースを多数手がけている。

2012年2月23日  読売新聞)
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