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足元の相場は、円・ドル・ユーロの順に軍配か?

1 概況:軟調に推移

 先週のドル円相場は76円台後半でオープン。週初6日は、一時週安値の76.50円まで下落するも、その後、ギリシャ支援協議の動向を睨みながら方向感のつかみにくい展開となり、76円台後半を中心とした小幅レンジとなった。

 翌7日は、ドル買いフロー等からドル円が底堅く推移すると、その後、ギリシャ緊縮策の合意観測に対する期待感からユーロ円が買われる動きに、ドル円も連れ高となり77円手前まで上昇した。

 週央にかけては、国内2011年12月の経常黒字幅が前年比で大幅に減少したことや、ギリシャへの第二次支援を巡る連立与党の党首間協議が合意間近との一部報道からドル円が上伸し、77円台前半を示現。

 翌9日は、日米金利差拡大が意識される中、米新規失業保険申請件数の良好な結果やギリシャ緊縮策合意との報道にリスク許容度の改善が進み、ドル円は77円台後半をつけた。週末は、5・10日の国内実需勢のドル買いフロー等から、週高値の77.81円をつけるも上値は限定的となり、その後、77円台後半で越週している。

2 見通し:ドル円の上値は重い展開か

 今週のドル円相場は上値の重い展開を予想する。先週のドル円はギリシャ問題に一喜一憂する中、好調な米経済指標を受けた米金利上昇等から底堅く推移するも、節目である78円丁度は抜けられず77円台後半で留まっている。

 国内輸出企業が今年度下期に想定する為替レートは、77円台後半から78円台前半に集中しており、78円前半レベルからは本格的なドル売りのフローが予想され、ドル円の上値を抑えるであろう。

 ただし、先週末発表されたIMM投機筋先物取組では、若干減少したものの依然として円ロング・ポジションが確認されており、ポジション調整時の巻き戻しには円売り地合いとなることが予想される。

 また、今週は、米経済指標の発表が多く控えており、14日に米1月小売売上、15日に米2月NY連銀景況指数、16日に米1月住宅着工件数、17日に米1月消費者物価指数等、が予定されている。これらの指標が市場予想を上回り、好調な米経済の内容が確認されればドル円がサポートされ78円半ばを窺う展開には留意したい。

3 ズバリ:今週の予想レンジ

予想レンジ
77.00〜78.50円

国債の格下げによる「負の連鎖」

 昨今の相場の主役は欧州であるが、足元の日米欧の個別事情を見てみると……。

 欧州では金融危機に関する「薄氷を踏む」展開が続いている。ギリシャ、イタリア、ポルトガル等、毎回「主役」となる国は変わり、細かい背景や事情は異なれども、テーマと言えば、いつも同じ、金融と財政の危機だ。

 先週、紆余曲折の末、ギリシャにおいて欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)支援に関する緊縮財政法案が同国の閣議で承認された。ギリシャは金融不安を払拭するための前提条件を整えつつあり、引き続き波乱含みではあるものの、まずは、一段落か。そう思った矢先に、今度はまた、先月までの「主役」であったイタリアで金融危機が再燃し始めている。

 先週10日に、米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)がイタリアの銀行34行の格下げを実施。先月のイタリア国債格下げに続く措置であり、債務の借り換え能力の低下等を理由にしている。欧州の銀行が大量に保有している国債が格下げされると、評価損から資本不足に陥り、金融システムの不安を呼び起こす。それが景気を悪化させ、再び国債の格下げを招く。

 こうした「負の連鎖」は、ソブリン問題が解決に向けて進展するにつれ、少しずつ緩和されると思われるが、残念ながら今後も継続することが予想される。

 一方、欧州債務危機の波及を懸念した米国では、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、2月の下院予算案の公聴会で米財政赤字の拡大に警鐘を鳴らしており、財政再建に向けて舵を切るよう訴えている。米国では少しずつ景気の足取りに自信を取り戻しつつあるも、異例の低金利政策の継続を掲げ、引き続き慎重な姿勢を崩していない。

 また、日本では、昨年3月の東日本大震災から11か月がたち、輸出企業の海外への製造移転が進む中、国内原発54基中51基のエネルギーをLNG・石油等で代替しており、貿易赤字が定着し始めた。

 さらに、深刻と言われて久しい財政赤字については、その主たる要因である社会保障費の財源として消費税の引き上げが議論されており、財政再建に向けて討議が始まったばかりである。しかし、長き渡る低インフレ(デフレ)や日銀による低金利政策、および、従来までの貿易・経常黒字とその蓄積である世界最大の純資産等から、歴史的な円高が継続している。

 為替レートは、異なる通貨間の交換比率であり、相対価格であると言われている。短期的な要因としては、金利差が意識されると言われているが、足元の日米欧の経済環境を比べてみれば、「負の連鎖」から脱しきれない欧州と、危機に備えながら万全を期す米国、そして「基礎体力」が低下するも過去の蓄積に支えられる日本。長期的には別にしても、足元の相場では、円・ドル・ユーロの順に軍配が上がるといえるのかもしれない。

 ※ドル円相場は、みずほコーポレート銀行の取引によるものです。

プロフィール
高田 裕  (たかだ・ゆう)
みずほコーポレート銀行 国際為替部


みずほコーポレート銀行国際為替部の為替ディーラーが執筆を担当します。(「先週」「今週」などの表記は、執筆日を基準にしています)
2012年2月13日  読売新聞)

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