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西武グループ打撃 「鉄道株」上場廃止

資金調達に影響も ホテル経営 イメージ低下懸念

 西武鉄道株の上場廃止が16日決まったことで、西武鉄道グループの経営にも大きな打撃を与えるのは必至だ。グループ各社が保有する西武鉄道株の値下がりや、ホテルやゴルフ場などグループ企業のイメージ低下が避けられないとみられる。西武鉄道は同日、新興企業向け市場ジャスダックへの上場を目指すことを表明したが、実現性は不明だ。同グループは12日、グループ企業再編などを目指す経営再建策を公表し、具体策づくりを急ぐ考えを示したばかりで、今後の再建にも影響を与えそうだ。

ジャスダック上場目指す

上場廃止を受けた会見を終え頭を下げる小柳・西武鉄道社長(中央)ら
上場廃止を受けた会見を終え頭を下げる小柳・西武鉄道社長(中央)ら(16日午後9時50分、東京証券取引所で)
 今回の上場廃止で、中長期的なグループ経営への影響は大きい。第一に、今後の資金計画への影響が懸念される。西武グループには、コクドやプリンスホテルなどの企業もあり、ホテルやスキー場などの開発を全国各地で進めてきた。施設は百数十か所に上り、開発資金はほぼ金融機関からの借り入れで賄ってきた。

 グループの有利子負債は2004年3月末で1兆2000億円以上に達するが、「上場企業で信用力のある西武鉄道が窓口となり、グループの事業資金調達を支えてきた」(アナリスト)と指摘されている。このため、今後も金融機関が従来通りの融資姿勢を続けるかは不透明だ。

 グループの中核会社であるコクドも、保有する西武鉄道株の含み益などを「担保」に借り入れを行ってきただけに、上場廃止による西武鉄道株の価値下落は大きなダメージとなる。リストラを進める中で、金融機関から子会社のプロ野球球団・西武ライオンズの売却を求められる可能性も消えていない。

 上場廃止で、グループの社会的信用も損なわれることになり、イメージが客足に響くホテルやスキー場、ゴルフ場などレジャー事業への影響も予想される。新たな経営再建策では、都市型ホテルも中核事業に位置づけており、ホテルの営業に打撃が及べば、グループへのダメージは大きい。プリンスホテルは「現状で顧客にキャンセルなどの動きはないが、先行きは全く読めない」(営業企画部)と不安感を募らせている。ただ、鉄道運行への影響については、鉄道では利用者が交通機関を変更することが難しく、運賃収入も毎日現金で入るため、今のところ、「鉄道事業への影響はない」(国土交通省)とみられる。

「個人名義株 組織管理」 東証

西武鉄道グループの主な資本関係
 東証が、不適切な情報開示という理由による異例の上場廃止を決定したのは、筆頭株主のコクドが実質的に保有しながら申告していなかった個人名義の株式の管理に「西武鉄道による組織的な関与があったと判断できる」(長友英資・東証常務)ことを問題視したためだ。東証は、こうした名義貸しは「47年前からあった」とみている。

 東証によると、西武鉄道は、個人名義株を大量に作るための印鑑の管理や、コクドへの配当金の支払いなどといった「異常な事務処理」(同)も続けてきたという。株式事務の担当者は、その後、経営中枢にまで昇格するケースもあり、こうした事実も組織的な関与をうかがわせるものだと、指摘している。

 最終的には、西武鉄道がコクドなどの持ち株比率を有価証券報告書に過少に記載したうえ、これらの問題を知り得ながら是正しなかった事実が上場廃止基準に抵触する「投資家を裏切る行為」(同)と東証では判断した。

無効求める訴訟「専門家に相談」 西武鉄道社長

 西武鉄道の小柳皓正社長は16日、上場廃止を受けた会見で、「世間を騒がせ、株主に多大な心配をかけ、心からおわび申し上げます」と深々と頭を下げた。一方、東証の決定を無効とするよう求める訴訟に踏み切るかどうかとの質問に対しては「専門家に相談したい」として検討する考えを示した。

 上場廃止に至った自らの経営責任については「新興企業向け市場ジャスダックへの上場を目指すことに全力を挙げたい」と述べるにとどまった。

3行協調で支える みずほなど

 西武鉄道の上場廃止が決まったことについて、みずほコーポレート銀行、東京三菱銀行、三井住友銀行の3行は16日、「3行の協調体制の下、西武グループの取り組みに対し引き続き協力していく」とのコメントを連名で発表した。市場でも、「鉄道事業は堅調で、取引金融機関への影響は小さい」(アナリスト)との見方が強い。

 ただ、9月末時点の金融機関の西武鉄道向け融資残高は7262億円に上るほか、コクド、プリンスホテルを加えた主要3社向けの合計だけでも約1兆1400億円を超えている。今後の動向次第では、引当金の積み増しなど、取引金融機関の財務面に思わぬ打撃を与える可能性も否めない。

 金融機関にとって最大の焦点は、西武鉄道と関係深いコクドの経営状態だ。

 コクドは、西武鉄道株の48・6%を保有している。有価証券報告書の虚偽記載が発覚以降、西武鉄道株は急落しているが、上場廃止により含み益の一段の減少は避けられない。

 コクドは豊富な不動産の含み益を背景に黒字を確保してきたと見られるが、非上場会社だけに実情は不透明な部分が多い。地価下落の影響もあり、「財務体質がかなり悪化している可能性もある」(アナリスト)との指摘も根強く、今後、グループ全体の経営改善に伴う資産査定の結果、不動産などの含み益の減少が確認されれば、グループ全体にとっても大きな痛手となりかねない。

 西武グループ主要3社に対する融資残高は、主力行のみずほコーポレート銀行を含めたみずほグループが約2875億円、三菱東京グループが約1888億円に及んでいる。

西武グループ主要3社に対する主な金融機関の融資残高(2004年9月現在)
銀行融資残高
みずほグループ2,875
三菱東京グループ1,888
三井住友銀行678
UFJグループ665
その他の金融機関5,317
合計11,425
単位・億円

文化放送も購入

 西武鉄道が筆頭株主コクドの持ち株比率を有価証券報告書に虚偽記載した問題で、文化放送の佐藤重喜社長は16日の定例会見で、9月初めにコクド幹部から「経営の透明性を高めるため、グループの保有比率を下げたい」と持ちかけられ、西武鉄道株を購入したことを明らかにした。

 文化放送は、西武鉄道やコクドと資本関係はないが、プロ野球の西武ライオンズの試合を中継する「ライオンズナイター」など業務面でのつながりがある。

 文化放送は元々、自己資本充実のために増資を計画中で、西武鉄道株を購入する代わりに、コクドに第三者割当増資を引き受けてもらう予定だったが、同株購入後に、事件が発覚したため、増資計画を再検討することにした。購入株数や金額は明らかにしていないが、購入価格での買い戻し請求を含め、コクド側に協議を申し入れているという。

購入株買い戻し 松下電器が請求

 松下電器産業は16日、西武鉄道グループの中核会社であるコクドに対し、西武鉄道株の買い戻しを請求したことを明らかにした。松下電器は、200万株を約22億円で購入していた。

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2004年11月17日  読売新聞)
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