「一文無しになってもやるぞ」 安定株主不在狙う楽天の三木谷浩史(ひろし)社長は16日午前、テレビ朝日の報道番組「サンデープロジェクト」に出演した。田原総一朗キャスターから「テレビ朝日や日本テレビではなく、なぜ(経営統合を申し入れた相手が)TBSなのか」と問われ、「実現可能性があるかどうかが重要なポイントだった」と答えた。 どうして「実現可能」なのか―― 他の民放キー局と異なり、TBSは安定的な大株主が少ないからだ。 これには、歴史的な経緯がある。TBSの前身、ラジオ東京の創立は1951年。当時の株主構成は、設立者の読売、朝日、毎日の新聞3社と電通などが均等に3・33%ずつを保有していた。 テレビ放送を開始し、60年には東証1部への上場を果たす。70年代に入ると、新聞社とテレビ局の系列整理で、読売と朝日が株式を譲渡し、毎日新聞が約10%を保有する筆頭株主となった。しかし、社員には「毎日系という意識はなかった」という。 その後、毎日がTBS株の大部分を手放したため、大株主がいない状態が長期にわたって続く。 「TBSは他社と違って大株主を持っていなかった。大株主、株主だからうんぬんということにあまり慣れていない」 楽天とTBSは今年初めごろから、業務提携の話し合いを続けてきた。その席で、TBSへの資本参加を希望する楽天の三木谷社長に対し、TBSの井上弘社長は、株式を大量に持たれることに強い拒否反応を示したという。 楽天が経営統合を申し入れた13日夜に緊急会見した井上社長は「実に唐突な印象を受けている。正直、少々心外な気持ちがする」と述べ、突然の大株主の出現に戸惑いを隠さなかった。 ライブドアとフジテレビの攻防が続いていた今年3月。すでに井上社長は「あちこちから、次はTBSが危ないと言われているが、上場している企業は簡単に舵(かじ)が切れない」と、苦しい胸の内を語っていた。 16日のテレビ番組で、三木谷社長は「TBSはドラマ、報道など番組編成のバランスがよく、魅力がある」として、統合相手に選んだ理由を、株取得の容易さだけではないと強調した。 「昨日、家族会議を開き、かみさんに『おれは一文無しになってもやるぞ』と言った」と、経営統合の実現に強い決意を込める三木谷社長。一方、TBS幹部は「(統合の申し入れに)すぐに返事はできない」と憮然(ぶぜん)とする。不慣れな大株主を相手に、どう対応するのか、TBSの苦悩は深まるばかりだ。
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(2005年10月17日 読売新聞)
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