特例高金利で対立 貸金業規制法改正案
多重債務「防止に抜け穴」 政府内にも批判の声
■後藤田政務官が辞意
金融庁案は、改正法の施行後3年間を、出資法の上限金利を引き下げるまでの猶予期間として灰色金利を継続する。猶予期間が終わった後も、最長5年間は特例の高金利を認める。改正法の施行後、最長8年間、高金利が温存される内容だ。 個人向けの特例は、「1年以内、50万円以下」の短期、小口の融資には年28%の高金利を認める。出資法の上限に近い金利で融資が行われている消費者金融の実態に近い金利水準だ。 この特例は、金融庁が「金利が高くても借りたい」というニーズに一定程度は応じられるようにすべきだ、と判断して盛り込んだ。 しかし、特例の高金利が長く認められれば、今後、貸金業界の巻き返しによって「短期、小口」の範囲が広げられるなど、規制のなし崩しが図られる懸念も否定できない。法改正の影響で業者の淘汰(とうた)が進んだ場合、業者保護の声が高まる可能性もあるためだ。 日本弁護士連合会は「高金利の引き下げを求める国民の声に逆行するものだ」とする平山正剛会長の声明で、特例高金利の導入への反対を表明した。
■不十分な説明 ただ、現在のところ、なぜ最長8年間も高金利を認めるのか、明確な説明は行われていない。与謝野金融相も1日の記者会見で、「私個人は、そんなに長い期間が必要かなというのはある」と述べたほどだ。
金融庁「ヤミ金横行」懸念に配慮 多重債務者は、複数の業者から高金利で借り入れ、返済不能になってしまうケースが多い。この問題の解決には、融資の総量規制をルール化すると同時に、各業者が借り手の債務情報を共有する必要がある。 しかし、現状では、信販や銀行、消費者金融などの業界ごとに、使っている信用情報機関が異なり、零細業者は信用情報機関に加入していない。 金融庁は、信用情報機関への加入義務付けなどを進める方針だが、インフラ整備が不十分なまま特例の高金利が認められると、新たな多重債務問題を招く可能性もある。 金融庁の特例案は、規制強化への不満がくすぶる自民党の一部に金融庁が配慮した、妥協の結果と見る向きも少なくない。 秋の臨時国会に改正法案が提出されるまでには、なお曲折がありそうだ。
(2006年9月6日 読売新聞)
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