旧カネボウ株「適正価格」で対立
経営側「162円」少数株主「1578円」鑑定人「360円」 ◇対 立 問題となった株式の買い取りは旧カネボウが06年5月、「日用品」「食品」「薬品」の主力3事業を別会社に売却したことに伴うもの。産業再生機構から株式を買い取るなどして旧カネボウの大株主となった国内3投資ファンドが、役員を送り込んだうえで実施した企業再生策の一環だった。 しかし、反対する一部の株主が旧カネボウに対して会社法に基づく株式買い取り請求権を行使した。 少数株主側は、旧カネボウが示した1株162円の買い取り価格は低すぎるとして06年6月、東京地裁に適正な価格の決定を申し立てた。少数株主側は「旧カネボウが買い取り価格の根拠にした業績見通しは低く見積もられ、(価格を低くするという)結論ありきの操作が行われた」と指摘し、1株1578円以上が適正だと訴えている。 これに対し、旧カネボウ側は、事業売却に先立つ06年2〜3月に、ファンド傘下の投資会社が1株162円で行ったTOB(株式の公開買い付け)に1万人以上の株主が応じたことなどをあげ、提示価格には合理性があると反論している。 ◇焦 点 注目されるのは、地裁が選んだ鑑定人が07年11月、旧カネボウ側の提示価格の2倍以上にあたる「1株360円」を適正とする鑑定書を出したことだ。 今回は、焼き肉チェーン「牛角」を展開する「レックス・ホールディングス」のMBO(経営陣らによる企業買収)で、一部の株主が買い取り価格の決定を東京地裁に求めたケースと似ている。この時は、地裁が07年12月、買い取り価格は適正だったと判断した。 ただ、レックスの場合は、株主側が費用負担を嫌い、裁判所の鑑定人による価格算定が見送られた。 ◇影 響 近年、TOBやMBOを行う企業や投資ファンドは多いが、早大法学部の上村達男教授(会社法)は「過去に株主が買い取り価格を今回ほど争ったことはなく、買い手の企業に対するチェックは事実上、行われていなかった」と指摘する。 地裁の判断が持つ意味は大きく、企業法務に詳しい永沢徹弁護士も「地裁の判断の内容次第では今後、株式の買い取りを行う企業に価格決定の透明化など、少数株主への配慮を求める声が高まる可能性もある」と話している。
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(2008年2月26日 読売新聞)
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